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お茶会への誘い(3)

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 食事を食堂でとる件については、いきなり環境を変えてしまうと周囲が不審がるという点で、リスティアが却下した。だからこそエリーサ主催のお茶会には、できるだけ都合をつけて参加しようとしていた。この場は情報交換の場にはもってこいなのだ。
 だが、そこにまれに王妃も姿を現すものだから、リスティアも緊張してしまう。それでも、緊張とは長く続かないもので、王妃と三度も顔を合わせると普通に会話をこなせるようになっていた。
 そうやって定期的にエリーサのもとを訪ねていると、図書館の地下書庫に来る回数も減ってしまう。今までは毎日足を運んでいた地下書庫だが、四日に三回の割合になっていた。
「昨日はエリーサと会っていたのかい?」
 禁帯出の辞典をいつものソファに座って読んでいると、頭の上から声をかけられた。
「ごきげんよう、ウォルグ様」
 顔をあげると、薄い茶色の瞳を細めているウォルグが微笑んでいる。
「こんにちは、リスティア嬢。隣に座っても?」
「ええ、もちろん」
 リスティアが笑顔で応えると、ウォルグも笑顔のまま隣に座った。
「最近、こちらに来ている回数が減っているようだな。エリーサと会っているのかい?」
「はい。エリーサ様のお茶会のほうに、参加させてもらっております。お友達も紹介していただきました。きっと、わたくしのいい取り巻きになってくださると思っています」
 リスティアの話を聞いたウォルグは、形のいい唇の端を持ち上げた。
「エリーサの友達なら間違いないだろう。彼女たちは信頼できる」
 そして取り巻きたちは、ここぞというときに悪役令嬢を裏切るのだ。それが本来の悪役令嬢の役目。だが、本に書かれている悪役令嬢とは、悪役令嬢の逆転劇である。取り巻き立ちは、悪役令嬢の味方となることも多い。
「ところで。ウォルグ様は、わたくしにどのような『悪役令嬢』をお望みですか?」
 ヒロインを破滅に導く悪役令嬢だろうか。それとも、本来の文字通りの悪役令嬢だろうか。もしくは――。
「どのような? それは立派な『悪役令嬢』だよ。では、次の指導にうつろうか」
 彼の瞳は金色に輝いていた。
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