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断罪への誘い(6)

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「まず、お茶会の件ですね。あれは王妃様主催のお茶会になります。ですから、王妃様が選んだ人たちしか参加ができない茶会なのです。残念ながら、ミエルさんは王妃様に選ばれなかった。ただそれだけのこと」
 王妃が定期的に学園の生徒を誘って茶会を開いているのは、関係者であれば誰でも知っている。だが、仮にも王妃である。成績や家柄など、総合的に判断され選ばれた者だけが参加できるのだ。
「あとは、そう。腕輪でしたね。あれはミエルさんのほうからエリーサ様に、卒業パーティーでつけて欲しいと、涙ながらに訴えてきたものになります。エリーサ様は何度もお断りしておりましたが、あまりにもミエルさんがしつこかったため、受け入れるようにとわたくしが助言したまでです。だって、このようなみすぼらしい腕輪が、エリーサ様にお似合いになると思いですか?」
 リスティアは、他の者からも同意を得るかのように、ゆっくりと周囲を見回す。
「見る者が見ればすぐにわかりますよ。エリーサ様に不釣り合いな腕輪であることくらい。ですが、この腕輪も、オスレム家では貴重な財産でしたのよね?」
 小馬鹿にしたような言い方に、オスレム男爵の顔は沸点を越えそうなほど、赤くなっている。
「それから、階段で押した、でしたっけ? 残念ながらあれはエリーサ様ではございません。ミエルさんの身体を押したのはわたくしです。だけど、優秀な取り巻き、失礼。ロバート様がすぐに気づいてしまいましてね。残念ながら、ミエルさんは階段下まで転げ落ちることはありませんでしたの。ですが、あれだけのことで階段から落ちそうになるなんて。ミエルさんはよっぽど足がお悪いのですね。もしかしたら、服で隠れるようなところに怪我をされている、とか……」
 だが、それすらリスティアとウォルグが示し合わせて行ったものである。リスティアは、彼らからミエルがオスレム男爵から虐待を受けていないか確認してほしいとも指示を受けていた。
「人の娘をなんだと思っている」
 耳の先まで真っ赤にしたオスレム男爵は、わなわなと震えている。
「あら。それはわたくしのセリフです。あなたは、養子をなんだと思っているのですか? 血の繋がりはなくても書類上はあなたの子。あなたがきちんと養育する義務があるのです。虐げる権利があるわけではありませんわ」
 オスレム男爵もそれ以上何も言い返せないのか、悔しそうにぐぬぬぬと唸っていた。
「見損なったぞ、リスティア嬢」
 まさしく捨て台詞に相応しい台詞である。このセリフを引き出せたら、ある意味リスティアの勝ちだ。
「えぇ、見損なってくださって結構です。わたくしは悪役令嬢ですから、嫌われるのがわたくしの役割です」
 リスティアは怯まない。それもすべてはウォルグから受けた指導のおかげだ。
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