【本編完結済】婚約破棄された婚約者を妹に譲ったら何故か幼なじみの皇太子に溺愛されることになったのだが。~星の夢・表~

愛早さくら

文字の大きさ
50 / 75
4・これからの為の覚悟

4-9・再度の不調

しおりを挟む
 行為のダメージは、しかし思うほどには深刻なものにはならなかった。生々しく、痛みを伴ってはいたが、深い傷にまではなってはおらず、せいぜいが長時間、擦られ続けすぎた其処・・が擦り切れて、僅か血を滲ませていた程度。俺自身の治癒魔術ですぐに治せた。むしろ魔力が少しもとどまらなかった所為で、初めての時に覚えたどうしようもない怠さや倦怠感はなく、その代わりに別の種類の同じような不調はあったが、それだけ。
 いつも通り・・・・・ぐぽぐぽと言うあり得ない音とともに開かれた奥は、ひときわ強い違和感と疼きを俺に訴えかけてきたが、それだって2日も経つ頃には気にならなくなった。
 否、それどころでは、なくなったと言うべきだろうか。
 直接的な行為による影響がすっかり癒えていくのと引き換えに、今度は別の不調が俺に襲い掛かってきたのである。
 つまりは重篤な、魔力の欠乏症状が。
 腹の中で。子供が育つには魔力がいる。殿下からの魔力供給を俺が受け付けられない以上、子供を育てる魔力は俺自身からのみ提供されて。
 この子が、もしこれほどまでに育つのに魔力を必要としない子なら、おそらくは問題にはならなかった。俺の魔力保有量は他者より多く、少ない魔力で大丈夫な子供なら、それだけで事足りただろう。
 だが、今、俺の腹に宿っている子は違う。安定するまでにあれほど重篤な魔力欠乏を引き起こすほど、通常より、より多くの魔力を必要とする存在なのだ。それが今、あの時ほどには必要ではないとは言え、俺一人の魔力では到底、賄いきれるものではなく。
 俺は次第に体調を崩していった。数日のうちにまともに歩くこともままならなくなり、ベッドからすら起き上がれなくなった。そうして次には意識さえ、ぼんやりと霞みがかって、まともに保っていられなくなる。
 頭痛がした。頭痛と、怠さと、息苦しさと。
 それが止まず、ずっと続く。途方もない苦痛だ。
 だからと言って、どうしようもない。
 腹の中で。子供の存在だけが感じられた。どくどくと脈打つ熱。確かにそこにあるその子だけが、俺の自我を支えている。
 痛みとどうしようもない倦怠感の中で、俺の意識はぼんやりと漂い続けた。
 流石の殿下も、俺が魔力を受け取れないことをわかっていて、あんな行為に至るはずもなく。それには、少しだけ安堵した。多分、今の俺は。魔力の供給を得られないままのあの行為に、きっと耐えられないだろうから。
 ただ、それでも殿下は可能な限り、俺の傍にいてくれているらしかった。だって、いつ意識を取り戻しても俺の手は熱く。魔力を俺がとどめられないことをわかっていながら、殿下は俺の手を取り、魔力を注ぎ続けてくれているようだったから。
 殿下。
 俺は殿下を呼ぶことさえできない。
 意識が、すぐに揺蕩たゆたった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw

ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。 軽く説明 ★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。 ★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。

幼馴染が結婚すると聞いて祝いに行ったら、なぜか俺が抱かれていた。

夏八木アオ
BL
金髪碧眼の優男魔法使いx気が強くてお人好しな元騎士の幼馴染の二人です。

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

手切れ金

のらねことすていぬ
BL
貧乏貴族の息子、ジゼルはある日恋人であるアルバートに振られてしまう。手切れ金を渡されて完全に捨てられたと思っていたが、なぜかアルバートは彼のもとを再び訪れてきて……。 貴族×貧乏貴族

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

処理中です...