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4・これからの為の覚悟
4-9・再度の不調
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行為のダメージは、しかし思うほどには深刻なものにはならなかった。生々しく、痛みを伴ってはいたが、深い傷にまではなってはおらず、せいぜいが長時間、擦られ続けすぎた其処が擦り切れて、僅か血を滲ませていた程度。俺自身の治癒魔術ですぐに治せた。むしろ魔力が少しもとどまらなかった所為で、初めての時に覚えたどうしようもない怠さや倦怠感はなく、その代わりに別の種類の同じような不調はあったが、それだけ。
いつも通りぐぽぐぽと言うあり得ない音とともに開かれた奥は、ひときわ強い違和感と疼きを俺に訴えかけてきたが、それだって2日も経つ頃には気にならなくなった。
否、それどころでは、なくなったと言うべきだろうか。
直接的な行為による影響がすっかり癒えていくのと引き換えに、今度は別の不調が俺に襲い掛かってきたのである。
つまりは重篤な、魔力の欠乏症状が。
腹の中で。子供が育つには魔力がいる。殿下からの魔力供給を俺が受け付けられない以上、子供を育てる魔力は俺自身からのみ提供されて。
この子が、もしこれほどまでに育つのに魔力を必要としない子なら、おそらくは問題にはならなかった。俺の魔力保有量は他者より多く、少ない魔力で大丈夫な子供なら、それだけで事足りただろう。
だが、今、俺の腹に宿っている子は違う。安定するまでにあれほど重篤な魔力欠乏を引き起こすほど、通常より、より多くの魔力を必要とする存在なのだ。それが今、あの時ほどには必要ではないとは言え、俺一人の魔力では到底、賄いきれるものではなく。
俺は次第に体調を崩していった。数日のうちにまともに歩くこともままならなくなり、ベッドからすら起き上がれなくなった。そうして次には意識さえ、ぼんやりと霞みがかって、まともに保っていられなくなる。
頭痛がした。頭痛と、怠さと、息苦しさと。
それが止まず、ずっと続く。途方もない苦痛だ。
だからと言って、どうしようもない。
腹の中で。子供の存在だけが感じられた。どくどくと脈打つ熱。確かにそこにあるその子だけが、俺の自我を支えている。
痛みとどうしようもない倦怠感の中で、俺の意識はぼんやりと漂い続けた。
流石の殿下も、俺が魔力を受け取れないことをわかっていて、あんな行為に至るはずもなく。それには、少しだけ安堵した。多分、今の俺は。魔力の供給を得られないままのあの行為に、きっと耐えられないだろうから。
ただ、それでも殿下は可能な限り、俺の傍にいてくれているらしかった。だって、いつ意識を取り戻しても俺の手は熱く。魔力を俺がとどめられないことをわかっていながら、殿下は俺の手を取り、魔力を注ぎ続けてくれているようだったから。
殿下。
俺は殿下を呼ぶことさえできない。
意識が、すぐに揺蕩った。
いつも通りぐぽぐぽと言うあり得ない音とともに開かれた奥は、ひときわ強い違和感と疼きを俺に訴えかけてきたが、それだって2日も経つ頃には気にならなくなった。
否、それどころでは、なくなったと言うべきだろうか。
直接的な行為による影響がすっかり癒えていくのと引き換えに、今度は別の不調が俺に襲い掛かってきたのである。
つまりは重篤な、魔力の欠乏症状が。
腹の中で。子供が育つには魔力がいる。殿下からの魔力供給を俺が受け付けられない以上、子供を育てる魔力は俺自身からのみ提供されて。
この子が、もしこれほどまでに育つのに魔力を必要としない子なら、おそらくは問題にはならなかった。俺の魔力保有量は他者より多く、少ない魔力で大丈夫な子供なら、それだけで事足りただろう。
だが、今、俺の腹に宿っている子は違う。安定するまでにあれほど重篤な魔力欠乏を引き起こすほど、通常より、より多くの魔力を必要とする存在なのだ。それが今、あの時ほどには必要ではないとは言え、俺一人の魔力では到底、賄いきれるものではなく。
俺は次第に体調を崩していった。数日のうちにまともに歩くこともままならなくなり、ベッドからすら起き上がれなくなった。そうして次には意識さえ、ぼんやりと霞みがかって、まともに保っていられなくなる。
頭痛がした。頭痛と、怠さと、息苦しさと。
それが止まず、ずっと続く。途方もない苦痛だ。
だからと言って、どうしようもない。
腹の中で。子供の存在だけが感じられた。どくどくと脈打つ熱。確かにそこにあるその子だけが、俺の自我を支えている。
痛みとどうしようもない倦怠感の中で、俺の意識はぼんやりと漂い続けた。
流石の殿下も、俺が魔力を受け取れないことをわかっていて、あんな行為に至るはずもなく。それには、少しだけ安堵した。多分、今の俺は。魔力の供給を得られないままのあの行為に、きっと耐えられないだろうから。
ただ、それでも殿下は可能な限り、俺の傍にいてくれているらしかった。だって、いつ意識を取り戻しても俺の手は熱く。魔力を俺がとどめられないことをわかっていながら、殿下は俺の手を取り、魔力を注ぎ続けてくれているようだったから。
殿下。
俺は殿下を呼ぶことさえできない。
意識が、すぐに揺蕩った。
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