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第1章・泣き止まない我が妃へ(ルナス視点)
17・君に捧げる花の色⑦
しおりを挟むそれから俺がどうしたのか。
答えはどうもしない、だ。
自分の狭量さに吐き気がする。
なんて自分のことしか考えていない人間なんだろうか。
それでも。
彼を手放すことなんて考えられなくて。その後もずっと、彼はあの塔に囚われたままだ。
不思議なことに彼は子供を生んで一年。王子の存在が安定した頃にまた俺の子を身ごもってくれた。
二人目。
どうしてかわからない。
一人目は、義務だとでも考えたのかもしれないと思っていたのだけれど、だったら一人で十分なはずだ。彼が産んだ子供は王子。俺の第一子、未来の王太子となる。
もしや彼は自由になる為にもいやいや早々に子供を作ったのかもしれないとさえ思っていたから余計に、二人目は本当に驚いた。
言い方は悪いのだけれど、予備、ということだろうか。わからない。
彼は泣いている。
ただ、俺の子を、再度、宿してくれたことそのものは、とても嬉しかったのは本当だった。
「ああ、リュディ」
抱きしめる。
泣いている彼は俺の腕の中で震えていて。相変わらず彼は小さくて、可愛くて、キレイで。
泣き顔以外が見たい、思っているのに、それはいまだに叶わない。だけど。
「陛下……」
微かな震える声で俺を呼んでくれる。
俺の子を産んでくれて、今また俺の子を身ごもってくれている彼。
俺を愛してはいない彼。
でも、もういいかもしれないと、最近俺は思い始めていた。
彼は俺が贈った物を、全て大事にしてくれていた。
花一輪、小物一つ、何もかも蔑ろになどしていない。
そこに彼の気持ちを、見出そうとしてはいけないのだろうか。
『愛してる』
明るい声音。今も耳に残っている。
たとえあの発言の通りに、彼の愛が、侍女にあっても。だけど体は俺の物。
俺の子供を宿してくれている彼。一人目の王子のことだって、こんな狭い塔の中なのに、精一杯大切に育ててくれている。
子守用の人材一人満足に寄越せない中、きっと慣れない子育ては大変だろうと思うのに、彼も侍女もひどく献身的に、蔑ろにするでもなく王子の面倒を見てくれていて。
たとえそこにある感情がどうであれ、その事実だけでもういいのではないかと、俺は次第に思うようになっていた。
彼を手放せない。
これは俺の罪だ。
王宮内の掃除は粗方終わっている。程なくして彼を塔から出しても問題はなくなることだろう。
俺の妃として正式に遇することが出来る。
だけど俺はそうするつもりはない。
子供たちはまた別だけれども、このまま、彼だけでも塔に留めていようと思っている。
何故ならここに居る限り、俺は彼を手放さずにいられる、そんな気がしているからだった。
それは吐き気がするほど悍ましい、彼へと送る俺の。愛の形だった。
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