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3・偽りの学園生活

3-41・情報収集

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 うっかりとミスティに捕まって、随分と苛まれた翌日。
 ティアリィを待っていたのは決してよろしくはない情報だった。
 つまり、あのキゾワリから、追加で使者がやってくるというそれである。
 ティアリィはそれを朝、登校前に部屋でピオラ達と共に、王宮からの伝令により知らされることとなった。
 当然その場にいるもの皆が、全くよくないことを聞いたとばかりに顔をしかめる。

「あらぁ……」

 困ったような顔で呟いたピオラの声が、ある意味では一番のんきだった。

「ティール様」

 護衛の中では一番年嵩としかさとなるハヌソファが、静かにティアリィへと指示を仰ぐ。
 ティアリィは頷いた。

「君は彼について王宮へ。もう少し詳しい話を聞いて来てくれ」

 この場に残っている、伝令に来てくれた王宮からの使者と共にそちらへ向かってほしいと告げると、頷いたハヌソファは早速、使者を促して王宮へと向かった。
 その背を見送ってから、他の者へと向き直る。
 今、ティアリィの手元にいる手勢は少ない。だが同時にこれだけいれば充分だとも言えた。

「キゾワリの現状の確認がしたいんだけど……あとは、出来ればリアラクタ嬢のことも調べたい」

 護衛をそう何人もここから離すのは得策とは思えなかった。せめて二人は残しておきたい。
 侍女も同じだ。
 ミデュイラが手を上げる。

「ご信頼頂けるようでしたらキゾワリの内情はうちで調べてみますが、いかがですか?」

 実家であるフデュク商会の力を借りてみるとの申し出である。
 ティアリィは少しだけ考えて頷くことにした。

「信頼できないなんてことはないよ。フデュク商会にはすでに充分お世話になっているしね。じゃあ、有難くそちらは任せよう」

 ミデュイラは頷いて、さっそくとばかりに部屋へと足を向けた。おそらく通信用の魔道具を使うのだろう。実家であるフデュク商会との連絡用に、彼女はそれを持っていたはずだ。

「後は……」
「リアラクタ様の周辺のご様子なら私が聞いてまいります」

 お任せ下さいと声を上げてくれたのは、ファルエスタから借り受けている侍女だった。ティアリィは彼女へとじっと見つめる。
 何かを見透かすかのように。だが、それも一瞬のこと。そもそも、この部屋にいるというだけでも信頼に値すると断じた。
 この部屋には、ナウラティスでよく使用されている防壁魔法が張られているのである。害意・・悪意・・のある者はそもそも入れない。ただ。

「ピオラ。彼女に結界を」

 追加で物理的な何かに対するそれをと指示すると、ピオラはにっこりと頷いた。
 ひとまずはこれで、何かがあった際、彼女に危害が及ぶ可能性は低くなる。
 申し出てくれた侍女が感極まったような顔でティアリィを見つめていることに気付かないままティアリィは、これからを考えて、思いっきり顔をしかめるばかりだった。
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