愛されたい。

いちご食べたい人

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21(※改訂済)

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「ハァッ…ハッ  フゥ…」

森に捨てられてからどれくらい時間が経ったのだろうか。

置いていかれてからすぐには行動できず、ただ呆然としていた。
しかし、片足がない状態では普通に歩くこともままならないためまずは自分の背にあった長めの木の棒を地面を這いながら探した。

地面には草が生い茂っていたので、身体が擦れる痛みもさほどなかったのが幸いだった。

しかし、薄い葉で肌を切ることは防げない。

丁度いい木の棒を見つけた頃には、身体中切り傷だらけになっていた。

その後は、まず川探そうと涼しい風が吹いてくる方へ歩き出した。

川を探した理由は、熱中症の予防と痛む脇腹を冷やすためだ。

川水を直接飲むと危ないが、身体を冷やすだけでもマシな気がする。

その後も歩き続けていたのだが、
慣れない歩き方で何度も転んでしまうので余計に脇腹が痛む。

蹴られた脇腹は、酷いことになってそうで見れていない。
見てしまったら痛みが増してしまいそうだからだ。

しかし、ジクジクとした痛みがどんどんと強くなったように思う。肋骨が何本か折れているかもしれない。

痛みが強くなり、呼吸も苦しいがモタモタしていては日が暮れてしまう。

それに、全体重が乗っている片足も痛み出してきた。
早く川を見つけて、休める場所も探さなくてはいけない。

しばらく痛みと戦いながら歩いていると、川の音が聞こえてきた。

“水だ!!”

息を切らしながら急いで向かうと、大きな川流れていた。

川水は透き通るように綺麗だったため上流へ行き、湧水からなら飲み水が手に入るかもしれない。

その前に身体を冷やそうと、川に入るために身につけていた安っぽい服を脱いだ。
片足の断面に巻かれている包帯も汚れていて衛生上良くなさそうだったので一緒に洗うことにした。

足の方は黒曜の騎士団の宿舎で傷は癒えていたのだが、自分で傷口を見るのが苦手だったので見えないように巻いていただけだ。

横腹を恐る恐る見るとやはり蹴られた部位は紫色に変色していた。
本当に骨が折れているかもしれないと思ったが固定できる場所でもないので、どうすることもできない。

…とりあえず、川に入ろう。

流れが緩やかだったのが幸いだった。
川水は冷たすぎず緩いけでもなく丁度いい温度だったが、身体が擦り傷や切り傷だらけだったため少々傷に染みた。

包帯を手早く洗い近くの岩場に置いて乾かした後、涙目になりながら大きな岩に腰掛け川水に浸った。
しばらくすると痛みにも慣れてきた。

そんな時にボーッと空を見上げているとこれからどうすればいいのか…という考えが浮かんできた。

森や川の音しか聞こえない空間に1人でいると嫌でも考えてしまう。
そんなの嫌でも、考えなきゃいけないことだと理解はしているが今は少し休みたい気分だ。

「ハァ……」

川の流れる音に混じって、僕の大きなため息だけがその場に響いていた。


◇ ◇ ◇


頭の中でグルグル考え事をしているうちに日は落ち始めていた。

“まずい、暗くなる前に寝床探さなきゃいけないんだった!”

ずっと川水に浸かっていたため、余分に身体を冷やしてしまったようだ。
それに夜風も相まってとても寒く感じた。

身体を冷やしたおかげで身体の怠さも少しはとれた。

脇腹の痛みは相変わらずだったが、冷やす前よりは少しマシになった気がする。

洗っておいた包帯は、まだ湿っていたので付けずに乾くまで持ち歩くことにした。

僕は着替えを素早く済まし、寝床を探すべくこの場を後にした。

その後川沿いを歩いて、暗くなる前に上流へ辿り着くことができた。

上流の水は綺麗だと聞いたことがあるので飲んでも平気…だよね……

汚れた手を水で洗い流して綺麗になった手で川水を掬い上げ、その水を恐る恐る口元に近づけて飲んでみた。

“おいしいっ…!!”

久々に飲んだ水だったからか、とても美味しく感じた。
体の隅々まで沁み渡るとはこのことを意味するのかと思ったほどだ。

その後、幸運なことに休めそうなところも見つけることができた。

川の上流には大きな滝があり、その裏に洞窟を見つけることができたのだ。

こんなわかりづらくて流れが急なところに動物は来ないだろうと考え、安心して眠ることができるだろう。

お腹は空いていたが、長時間の移動で疲れていたようで気絶するように眠りに入っていた。

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