転生先は海のど真ん中!? もふ強魔獣とイケオジに育てられた幼女は、今日も無意識に無双する

ありぽん

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5話 背中で始まる生活と満天の星空

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 アスピドケロンのケロケロ。ケロケロはポル君が命名。アスピドケロンにケロケロ……。可愛いからよし!!

 ライトノベルやゲームに出てくるアスピドケロンとほぼ同じで、海に浮かぶ島のような巨大な魔獣。背中には岩や草木が生い茂り、小さな魔獣や人が住むこともあるみたい。

 本には、穏やかで滅多に動かず、深い海を静かに漂いながら、すべてを包み込むように守る存在って書いてあったけど、ケロケロはよく動くって、グレイスたちが言ってたよ。

 グレイスウルはグレイス。グレイスもポル君命名。風の導き手と言われている狼型の魔獣。毛が揺れると白銀色に輝いて見えて、瞳の色は碧色ね。風の魔法と、他にも魔法が使えるって。それにグレイスは、魔法だけじゃなく格闘も得意みたい。
 
 ポルピネラのポル君。海の妖精と呼ばれていて、もふもふモコモコのサッカーボールに見えるけど、ネコに似ている魔獣なんだ。

 毛をかき分けると、まん丸でキラキラしている瞳と小さな耳があって、耳の内側が貝殻の内側みたいに、虹色に光って見えるんだ。
 好奇心旺盛で甘えん坊。水の魔法と風の魔法が得意。海の中でも陸地でも自由に動くことができるんだって。

 と、みんなから話しを聞いたり、本を読んでもらったりして、みんなのことを教えてもらったよ。浮き島に本? って思うでしょう? これがあったんだよ。

 ケロケロを紹介してもらったあと、ポル君お待ちかねの果物を食べた私たち。果物は全部、ケロケロの背中に生えている木から収穫した物で、他にも木の実や野菜が収穫できる時もあるみたい。

 そしてポル君は、果物や木の実の食べ頃が分かるらしく。最高に甘い果物を選んでくれたから、果物はとっても美味しかったよ。

 というか、あまりにも美味しくて、つい食べすぎちゃって。果物を食べたあと、グレイスがケロケロの背中を案内してくれることになっていたんだけど。
 私と同じく食べすぎたポル君と一緒に、動けなくなっちゃってさ。家族になって早々、グレイスに叱られたよ。

 なんだろう? 大人の舞だったら、こんなことはしないと思う。でも、体が子供になってるせいで、つい子供っぽい行動をとっちゃってるのかも? 子供に引っ張られてる感じ?

 と、まぁ、ちょっとやらかしたけど。休憩した後に、グレイスにケロケロの背中を案内してもらったら、思わぬものがいっぱいあってビックリしたんだ。というか、ケロケロたちの紹介の時よりも、こっちの方がある意味衝撃だった。

 大型ベッドに、テーブルやイス、お皿にランタン。人の生活に必要そうな物がひと通りそろっていたんだよ。
 ポル君のおもちゃも、自然の物はもちろん、人が使うようなおもちゃまでたくさんあったし。その中に、絵本や魔獣の図鑑なんかもあったんだ。

 なんでこんなに、人の物があるのか聞いてみたら。なんとケロケロとグレイス、2人とも人に変身できるらしくて。時々、人のいる場所に行っては、使いやすそうな物を見つけて買ってくるんだって。

 しかも、そうして人のいる場所に行くから、人の言葉も他の種族の言葉も覚えていて。だからポル君に、絵本や図鑑を読んであげられるんだ。

 3人とも、まさかの生活をしていたよ。ケロケロは海にいる時は、もちろんずっと海に浮いているんだけど。街では人と同じ生活をしているって。

『ベッドは大きいですから、あなたが1人増えても問題はありません。一緒に寝ましょう』

「……うん」

 でしょうね。キングサイズのベッドだもん。というか、こんな豪華なベッド、良く買えたな? この世界の物価って、どうなってるんだろう? 
 地球だったら、こんな立派なキングサイズのベッド、かなり高価だと思うんだけど。もしかして、この世界って意外と物価が安い?

 それとも、買うってことは、ケロケロたちはお金を持ってるってことだよね。魔獣なのにお金持ち? 家族になったばかりで、いきなりお金のことなんて聞けないしなぁ。
 う~ん、まあ、この様子だと、そのうち街に行くことになるだろうし。その時に、少し様子を見てみようかな。

 ちなみに荷物は、マジックバックに入れて運ぶから問題ないって。ケロケロもグレイスも、マジックバックを持っていたんだ。
 
 あっ! そうそう! 私のマジックバックだけど、あったんだよ!! 私がここに送られてきた時、どうやら木に引っかかっていたみたいで。グレイスがそれを見つけて、自分のマジックバックの中に大事にしまっておいてくれたんだ。

『とまぁ、とりあえずはこんな感じでしょうか。あとは、その時その時で説明しますね。それから、言い忘れていましたが、神はあなたに新しい人生を楽しんでほしいと。ですので……』

 私が別の世界から来たこと、本当は大人だったこと。そういった前の人生のことは、ケロケロたちだけが知っていればいいから。これから出会う人たちには話さず、この世界を自由に楽しんでほしい。そう神様は言っていたみたい。

 だから、これからは私のことを幼児として接していくって。そっちの方が、他の人たちにもバレにくいだろうから。

 うん、私もそれでいいと思う。些細なことで正体がバレたりしても面倒だし、どうせなら何も知らずに、今の新しい私として過ごしていきたい。だから、そのことについてはすぐに了承したよ。

 こうして、いろいろと衝撃的なことがあった、目覚めてからの異世界での1日目は、あっという間に過ぎていったよ。

 夜になってベッドに寝転び、空を見上げれば、そこには満点の星空が広がっていて。その美しい星々を眺めながら私は、仕事に追われていない、ひさしぶりのゆっくりとした眠りについたんだ。
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