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229.何故そこに!?(スノーラ視点)

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 まずはしっかりと1匹踏み出した僕達。1歩出た所で止まります。これで振り返られたらビックリだし、もし振り返られそうになったら急いで戻らないと。

 でもいくら待ってもディアブナスはこっちを見ません。うん、大丈夫かな? みんなで頷いてもう1歩前に出てみます、それでまた止まって。少し待っても今度もディアブナスは振り向きませんでした。
 またまた1歩前に出る僕達。3歩目もディアブナスに変化はなし。倒れたままのコレイションにも変化はなくて、僕達は再度大きく頷き合って、今度は数歩前に進んでみます。

 それからは何回かそれを繰り返して、ちょっと後ろを振り向いたらかなり壁から離れていました。もう戻る事はできません。あとはどんどん進むのみ。これだけ進んでもこっちを見てくる様子はないから、完璧に僕達には気づいていないはず。あとはブローの魔法がきれるまで、そしてそれからは、どうしてか分からないけれど、気配を消せる僕達が進むのみ。

 僕達はもう止まらずに進み始めました。そっとそっと、でもディアブナスに気づかれないように急いで。足音も立てないように。これに関してはディアブナスがブツブツ何か言っているのと、周りに吹いている風の音、それから結界周りの魔獣達の鳴き声や動きのおかげで、あんまり気にしないで歩く事が出来ました。

 どんどんディアブナスに近づいて行く僕達。そしてここへ来てはじめての変化が。でもディアブナスにじゃありません。変化が起きたのはスノーラ達にだよ。
 僕達がディアブナスを気にしながら歩いているうちに、その向こうにしっかりとスノーラ達が見えてきたんだけど、スノーラ達もさっきよりは体を起こしていて。確かにディアブナス立ち上がろうとしているけど、その横からね見えたんだ

 そう、体の横からスノーラの顔が見えたんだ。そして僕達と目が合ったの。一瞬、本当に一瞬だけどスノーラが目を見開いた気がして、でもディアブナスが動いたから、すぐにまた顔は見えなくなっちゃいました。ただその後、スノーラがディアブナスに話し始めましたんだ。

 ブローが僕の耳元で、もしかしてディアブナスがこっちを見ないように、それから少しでも動きを止めようとして、話しかけてるのかもって。ならもっと気合を入れて進まなくちゃ! さらにしっかりと歩き始める僕達。待っててスノーラ。僕達が今行くよ。それでディアブナスに攻撃して力を漏れさせて、スノーラ達が動けるようにヒール?するから。だから待ってて。

      *********

 かなりボロボロの状態で、傷を治せていないのに、それでもまだ動けるディアブナスが、我々に止めを刺すために近づいて来て。何とか動こうとしたのだが…。
 これで最後なのか、ローレンスの合図でレン達が無事なのは分かった。それなのにこれ以上我々には、我には何も出来ず、ディアブナスに殺されてしまうのか。

 マサキと過ごした日々は素晴らしい物で、あれ以上素晴らしい物は2度と体験する事はないだろうと思いながら、ただただ毎日を過ごしていた。だがそこにレンが現れ、また我の生活に新しい光が生まれた。

 まだ少ししかレン達と生活していなが、それはとても幸せに満ち溢れた物だった。色々と異変が起きていたため、早く解決してさらに幸せな日々が続けばと、レン達が幸せに暮らせればと、それだけを思っていたのに。

 我々がやられれば、もう奴を止める者はいない。他の国にいるかもしれんが、それでも今回のディアブナスは…。
 どんどん近づいてくるディアブナスに、我は思わず目を瞑りそうになった。しかし…。

 そこであれが発動した。そう奴を止めるための封印の魔法陣が。しかし誰が? 我等を止めているこの奴の攻撃は、街中にされているはず。そう思い魔法陣を調べれば、そこからはエイデンの魔力を感じ。この状況でエイデンが? 1人で? こんな事を1人でやればエイデンは…。それを証明するように、魔法陣が完璧には発動していない事も分かった。そう、魔力が弱いのだ。

 だがエイデンのおかげで奴の動きは止まり、さらに我々は少しだが動けるようになった。完璧な魔法陣ならばすぐに動けたかもしれないが、ただここまででも、今までと比べれば全然。後は何とか我等が立ち上がり、ディアブナスを抑える。

 と、それができたら良かったのだが、どうにも上手くいかず。先に動き出したのはやはりディアブナスで。まだ動けるのか。我等から受けた傷も、全然癒えていないのに、我等よりも先に立ち上がろうとしている。

 ダメだ。そんな事は絶対にさせられない。さらに力を入れて立ちあがろうとした時だった。それを見て一瞬で目線をディアブナスに戻す。それと思わず声に出しそうになったが、それも何とか我慢をして。

 一瞬の事だ。ディアブナスには気づかれていないはずだが。全く何をやっているんだ! 気配がしなかったから、今の今まで全然気づかなかった。何故こっちへ来た。
 レン達がこっちに向かって歩いて来ていたのだ。本当に大人しくしていない、後でしっかりと説教をしなければ。が、今は。
 今やつに向こうを見られるわけにはいかない。我は奴の気を引こうと、奴に話しかけた。

『ふん、動きづらそうだな』

『………』

『それに傷も全然治せていないじゃないか。無理しない方が良いんじゃないか? 無理して動いたとしても、今までのようには動けないだろう』

『すぐに元に戻る。そしてお前達よりは動けている』

『どうだか? 立ち上がった所で、体が崩壊するかもしれんぞ』

 そう言ったのはエンだ。おそらくエンもレン達に気づいたはずだ。

『フンッ、お前達を倒した後でも、体はどうとでもなる』
 
 そうだ、そのままこっちを見ていろ。けしてレン達に気づくな。
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