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第一章 悪の拠点づくり

22.傷を癒してもらおう

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 その後俺は無事マーカラの魔法によって、元の湯殿に送られた。
身体中の血が不足していて、文字通り貧血気味。やっぱりふらふらする。
 ふと、こういう時はステータスはどうなっているのだろうと思い、確認してみる。

◆Name : Kïtic

Caution注意勧告 : Abnormal state状態異常,Extreme case of hypoferric anemia極度の鉄欠乏性貧血

Age : 20
Level : MAX
HP : 5/∞
MP : 2/∞

STR強さ : 5/MAX   AGI敏捷性 : 5/MAX   DEX器用さ : 5/MAX   VIT生命力 : MAX
INT知性 : MAX   MND精神力: MAX   LUK : MAX

 なんだか、見事に貧血ってでてるね・・・。
しかも、無限のHPが残り5って・・・MPなんか残り2って・・・。
マーカラにどんだけ吸われたんだよ・・・。
 俺、えらい弱っちゃったけど、ファンタジーみたいに1晩寝れば治るのかな?
 などと考えているが、正直頭がふらついている。
もう立っていられな・・・・・。

「キチク!」

「ネ・・・ロ・・・。」

 すでに視界に力はなく、声だけでネロと理解する。
しかし、俺はそのまま意識を手放した。

「大丈夫かい!?」

 その場にうつ伏せに倒れた俺にネロが駆け寄ってくる。
俺はネロに抱きかかえられ、俺の部屋まで運ばれた。さすがは獣人、力持ち。
 それから気を失っていた俺は、眠りに着いた。
 数時間後、目を覚ました俺。
開けた視界にネロと女神がいた。

「目覚めてよかった。このまま、目を覚まさないかと思っちゃいました。」

 少しだけ目を輝かせて、女神は言った。

「いやねえ、びっくりしたよ。キチクが湯殿にいると思ったらいなくて、探してたらいきなり現れて倒れるんだからねえ。」

「ありがとう。ネロが運んでくれたんだよね。」

「いいさっ。裸のキチクをお姫様だっこするなんて中々いい気分だったさ!」

 お姫様だっこ・・・恥ずかし。
ブランケットの下が、いまだに裸なことに俺は気づいた。
 それはさておき、事の顛末を2人に説明する。

「なんだって!!!隔絶の吸血鬼マーカラだって!!」

 ネロは立ち上がって、驚愕する。やっぱり、有名人みたいだ。

「知ってるんだ?」

「知ってるも何も、恐怖の象徴みたいなもんさ!世界を支配するみたいな悪ではないが、ある日突然前触れもなく人をさらっていく。得体の知れない恐怖というやつさ。
 子供を躾けるのに、言う事聞かないとマーカラにさらわれるぞ!って言葉があるくらいだからねえ!」

「そうなんだ・・・マーカラさんはやっぱり恐れられてたんだ?」

『そうだ。妾は恐怖の対象でしかない。』

 部屋には俺とネロ、女神しかいない。
だが、どこからか声が聞こえた。俺にだけではない。ネロ、女神にも聞こえている。
 俺の手の指輪だった。
縁に嵌め込まれた無数の小さなアメジストが光を放っている。
外を見ると夜の帳が下りていた。

「今のは・・・?」

 ネロが狼狽している。想像がついているようだ。

「ああ、マーカラさんだよ。この指輪で交信できるらしい。
そうそう、俺たち友達になったんだ。」

「いーやーだーーーー!!」

 さらりと言った俺の声を聴いて、ネロは部屋を飛び出していった。

『これが普通の反応だろう。』

 マーカラは抑揚もなく、さも当然といった雰囲気で話す。

「マーカラさんですか、初めましてファラと申します。
私はキチクさんの所有物をしております。今は叛神で、以前は女神をしていました。」

 相変わらずな自己紹介をするファラ。指輪に向かって話した。

『所有物?女神?確かにお前は人ではない力を感じる・・・。
なるほど、道理で・・・。キチク、お前は本当に愉快な男だな。』

「ははは。自分では何とも言えないんだけど。
マーカラさん、ファラの事もよろしく。あと、さっきのは熊の獣人のネロ。
マーカラさんにとっては血を吸うことは食事なんだろうけど、俺たちの周りの人は勘弁してよ。
あと、おれの血吸いすぎですよ。MPなんて残り2しかなかったし。」

『クハハハ。よかろう、仲間には手を出さん。
お前の血は本当によかった。甘美で、そして濃厚で・・・。
おかげで身体中に魔力がみなぎるぞ。』

「はいはい。わかったから、今度は少な目でお願いします。もう通信切りますよ。
おかげでまだシンドイんだから。」

『よいだろう。ではな。』

 言葉と共に、指輪のアメジストの光が消えた。
俺はふうっとため息をつく。

「血を吸われたのですか?」

 心配そうに女神が聞いてくる。ちょっと興奮気味に見えなくもない。

「ああ。結構たっぷりと。しかも、首からだけじゃなくて俺の息子からも吸われた。
息子に牙の痕ついてるのなんかやだな・・・。」

「傷痕治しましょうか?」

「できるの?」

 女神はコクリと頷く。
そして、おもむろにブランケットをはぎ取った。
裸の俺は下半身も露わになる。

「女神の癒し・・・。」

 女神は唇に触れて、魔法を行使した。
女神は舌をニュッと出す。
するとその舌の周りを小さな魔法陣が浮いている。

「口で癒しますね。」

 舌を出したまま、変な発音で女神は言った。
そして、傷ついてぐったりとしている俺の息子を咥える。

「ああっ・・・。」

 傷が治る快感と舌が刺激する快感。
全く違う快感に思わず声が出てしまった。
 このサービスはすごくいい・・・。
昨日の湯殿でのファラの風俗店風なサービスの事を思い出しながら、俺はまた意識を放してしまった。


カオスゲージ
Law and order法と秩序 +++[70]++++++ Chaos混沌
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