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0175★とにかく、現状確認をしよう2
しおりを挟む聖樹の様子に、聖子の側に居た灰茨は気が付いたが、話しをしている聖子は気付くことなく続ける。
「そして、あの薄汚い男色(だんしょく)男
たしか、名前は藤原明宏でしたわね
あの男が、デモニアンとか言うグループから
聖樹お兄様を、当日に買ったらしいですわ
最初から、聖樹お兄様を狙っていたようですわ
あの男、おぞましいことに、自分の腹違いの
弟にも手を出していたようでしたので………
ふふふふふ………クスッ
だから、あの男から奪ってやりましたわっ
聖樹お兄様を奪われたっ
私達の気持ちを味わうと良いわっ……」
私情で脱線する聖子に、聖樹は苦笑いを浮かべる。
が、あえて口は挟まない。
〔クスクス…聖子は、かなり怒っているなぁ……
いや、あの男にされたことを考えれば………
俺だって、羞恥心で死ねるっと言うような
恥ずかことはされるわ
肛門を嬲られておぞましさと気持ち悪さで
マジで自殺したいって思ったし
あげくが、全身に刺青を彫られて
滅茶苦茶あちこち痛いし
刺青のセイで高熱だして苦しかったしで
散々だったけど………
今なら、愛しいモノを手に入れる為の
それらは全て試練だったって思える
そう、この愛しい紫皇(しおう)を
俺が手に入れる為の…………
そして、たぶん愛した女性に手酷く裏切られ
傷付いた朱螺を癒す為の試練だったんだ
だから、俺はもう一度あっちに行きたい
だからって、あの男のマンション? の
あのおぞましい部屋には戻りたくないけど
この特殊な血筋らしい神無月家になら
そういう文献あるかも知れないから………
後で、聖子に手伝ってもらって探そう〕
憤っているセイか、あちらで言う《生命力》が聖子の全身からほとばしり、その周囲をキラキラとさせる。
そして、聖樹は、ソレ(《生命力》のキラキラ)が視えるのは、自分だけだとすぐに気付いた。
〔あっ…もしかして…俺の瞳…あっち仕様?
聖子から発散される《生命力》が視える…
この視えるって何かに応用できないかな?
とりあえず、後で考えるか………
じゃなくて、あの男の弟攫って来たのか……
怒った聖子は、とても行動力あるなぁ………
あの男の弟には
嫌なこと言われたりされたりしたけど……
最終的に、引き寄せた紫皇(しおう)を
腹ン中に招くことが出来たのは
あの男の弟のお陰だからなぁ………
じゃなくて、聖子脱線しすぎ………
何時、訂正してやろうかな?〕
兄の寵愛を盗られたと思って、狂気に落ちかけていた青年の姿を思い浮かべ、聖樹は無意識の微苦笑を浮かべる。
そんな中でも、聖子の罵倒混じりの言葉は途絶えない。
「聖子、それで、俺って…………」
病室のドアが荒々しく開かれ、医師と聖樹の母・悠美が同時に飛び込んできた。
「遅れましてっ…患者が目覚めた………」
「………聖樹っ…………」
どのくらい自分は捕まっていたかという話しを振ろうとした時に飛び込んできた医師と母の姿に、聖樹は目を丸くする。
〔あっ…とぉ~…もしかしてぇ……はぁ~
全部バレてるのか? 俺が売られたこと……
うわぁぁぁ~…………母さんに
そういうことされていたって………
もしかしなくても…知しられちゃったのか?
落ち着け、俺……これは良い機会じゃん
父さんは、母さんのことを気にしていたし
母さんだって、自分を陵辱して貶めた
父さんのことを悪し様に呪うような言葉
一度も口にしていないんだから…………
って……あれ? もしかして、母さん……
父さんが躯を邪神に乗っ取られてたの
視ていたのかな?
この瞳の視るっていう能力って
母さんのだったりして………
はぁ~……現実逃避したいかも……
ここに、父さんの乱入とか無いと良いなぁ
点滴付けたカラカラを支えに握って
ヨロヨロと現われたなんて……〕
と、聖樹が思った時には、やはり悪性の末期ガンに酔ってやせ衰えた、神無月聖が聖樹の病室へと現われたのだった。
なって欲しくない時ほど、そういうことになるという典型的な状態に突入し、聖樹は思わず大きな溜め息を吐いてしまった。
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