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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

088★桜の主張、和輝の言い分

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 縋り付かれた和輝は、ガックリと肩を落とす。

 桜ぁ~…どぉ~して……
 そういう警戒心も羞恥心も
 無いようなコトを
 俺に言うかな………

 仮にも、お前は女の子
 その上、俺とお前は他人
 勘弁してくれよ

 和輝は溜め息をひとつ吐き、桜に教え諭すように言う。

 「ふぅー…あのなぁー…桜…
  俺は、お前の親類縁者でもない
  赤の他人なんだぞ

  まして、性別だって違うんだぞ
  
  そういうコトは出来ないの
  まぁ…桜が独りで寝るのが
  怖いって気持ちも、たしかに

  理解(わか)るけどなぁ
  身内じゃないんだから………」

 そんな、和輝の男の子の事情などお構いなしの桜は、教え諭すように言う和輝のまだ続きそうな言葉をぶった切って、自己主張する。

 「だって、怖いのよぉ
  また、身体が変になった時
  和輝が側に居てくれないと

  気が狂ってしまいそうなのよぉ~

  あんな痛み、初めてなのぉ
  かずきぃ~桜は怖いのぉ
 
 食べかけのプリンアラモードそっちのけで、腕にしがみついて自己主張する桜に、和輝はふかぁ~い溜め息を吐いた。

 「だぁーかぁーらぁー
  俺は、赤の他人の
  男なんだから………

  お前の…えぇーとぉ…
  紅夜…だっけか?

  は、桜がそんなコトしたら
  心穏やかじゃいらんねぇー
  だろぉーがよぉ

  俺としても、そういう
  人間関係がこじれるのは
  避けたいんだ………」

 理解(わか)ってくれと願う和輝をよそに、桜は平然と言い返す。

 「なんだ、そんなことか?
  大丈夫だぞ

  紅夜はそんなコト
  全然気にしないから
  桜も気にしないし

  だいたい、そんなコトを
  いちいち気にしていたら
 
  桜のこころなんて
  すぐに壊れてしまうわ

  それに、紅夜は俳優だから
  そういう類いの噂なんて
  日常茶飯事のコトだし

  桜の身体が弱いから
  《気》を集めるのに
  色々な者と寝ているし

  紅夜にとっては
  女と情交するコトなど
  呼吸するに等しいのよ

 そんなコトよりも
 桜は和輝に、一緒に
 居て欲しいのよ」

 和輝は自分がソファーから立ち上がった理由を忘れ、自分達は、一応年頃の男女なんだからと、理由を並べ立てて、借りた平屋に帰る権利を確保しようとする。
 が、とうの桜は、ひとりになりたくなくて、恋人の紅夜は気にしないとのたまうのだった。










 
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