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005★私は自意識過剰でしょうか?
しおりを挟む私達とアルス達が、自己紹介をし始めると慌てたように、煌びやかな服装の美青年が話しかけてきた。
「勇者殿、聖女殿、此度の召喚について説明いたしますので、部屋を移ります。私と共に来てください。名乗るのが遅れましたね。私は、この国、グラムシールの王子、トリスタンと申します。質問は、別室にて………」
私は、突然声をかけてきた美青年を見て思った。
流石は、王子様って感じねって、ビッチ…いやいや、かの美少女達は、王子様を見てにこにこしている。
流石は、肉食系女子、王子様を落とす気になったわね。
でも、彼女達でも、かなり難しいと思うのよねぇ~……。
だって、あの王子様達って美少女達を軽く流し見ていただけだもの。
チンクシャの私なんて、視界にはいっていないなぁ~って感じがするしね。
いや、それはそれで助かるけど………。
だって、既に空手の王子様と弓の王子様が側にいるしね。
それに、たった今、私達が情報交換と相談をしようとしていたのを察して、強引に会話をぶった切ってくれるなんて、無作法すぎることを考えればねぇ………。
その上で、質問をここで受け付ける気は無いって、ニュアンスで言い切ったもんね。
ラノベの聖女召喚の定番だと、王子様や騎士様や神官様や魔法使い様が、現れた少女をちやほやするはずなのに?
私は、別としても、あの色とりどりの美少女達を、ちやほやしないなんて、絶対におかしいわよ。
私は、思考しながらも、ちょっとした違和感を感じて辺りを見回す。
あれ? ラノベの勇者召喚に付き物のお姫様がいないわ? はて?
周りを見回しても、女の人がいないわ?
なんか、スッゴイ違和感なんだけど?
ハルト君とジーク君どっちに聞いてみようかな?
う~ん…細かいコトにも、気が回りそうなジーク君に聞いてみようかな。
歩きながら、私は、小さな声でジークに話しかける。
「ジーク君、お姫様が見当たらないって、なんか変よね」
そう言うと、打てば響くように答えが返って来る。
「ああ、やっぱり君も感じていた? 僕も、違和感を感じていたんだ。王子様と王女様って、基本ワンセットだったよね。勇者や聖女を言いなりにさせる為にも……ハルトはどう思う?」
「俺も、違和感バリバリだな。あの美少女達に笑顔も優しい言葉も与えていないなんて、王子様らしく無いだろう。アリアは、俺とジークがベッタリだったから、話しかけるのを止めたんだと思ったけどな」
2人の会話を聞いていた私に、ハルト君が苦笑して視線を送ってくる。
その内容に、なるほどって思ったわ。
周りに会話を聞かれたくないから、ハルト君もジーク君も私の左右に屈んで耳元で喋っていたから………。
あれ? もしかして、この構図って、はたから見たら、私が2人を侍らせているかのように見えたかも………。
うわぁ~…なんか、スッゴク恥ずかしいんですけどぉ………どうしよう。
その後すぐに、名前について話す為に、3人で移動して良かったって心の底からソウオモッタワ。
強調する為に、カタカナにしてみたわ。
いや、本当にそう思ったし………。
3人で固まって会話していた姿を、私は美少女達に見られていたらどうしようと思った。 だから、そのコトを、私は2人に聞いてみた。
そう、困ったことになったらどうしようと………。
「あの…私が、ハルト君やジーク君と話しているのを、アルス君達や美少女達に見られていたと思う?」
私の問いかけに、2人は手のひらをちょいちょいと振りながら言う。
「「無い、無い。アイツ等は神官達? に、囲まれていたから」」
その言葉にほっとして、私は詰めていた息を吐き出したのだった。
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