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070★実際はラノベよりも………
しおりを挟む2人にお礼を言われて、気が大きくなった私は、言いました。
「全員揃ったんだから、中に入ってみようか?」
「「「「賛成」」」」
ということで、魔術師の塔と呼ばれる建物の前に立った私達が扉をあける前に、自動ドアのように扉が開きました。
そして、扉の開いた先には、私達の黒いローブと違う、真っ白に金の飾り縫いと房飾りが着いたローブを着たおじいちゃん?が立っていました。
「勇者殿と聖女殿、魔術師の塔へようこそ。貴方達の講義を受け持つ、セルディ・ディ・モリアーニと申します」
「「「「「………」」」」」
予想外の展開に、私達は驚いてしまい頷くだけでした。
そんな私達のセルディ様は、にこにこ笑っています。
慌てて私は言いました。
「よろしくお願いします」
「「「「お願いします」」」」
私に続いてハルト君達も言いました。
挨拶しておくことは大事ですから………。
すると、セルディ様は、にっこり笑って言いました。
「こちらこそ、よろしく、講義に入る前に、昨日約束していた神殿の聖女殿達と、会話する為に、まずは通信の間がある塔に行きますよ」
「「「「「はい」」」」」
思わず良い子の返事を私達は全員でしていました。
あの神官様は、魔法使い様に根回しをしていたようです。
講義の前に、彼女達と会話したいと言う必要が無くなってほっとしました。
そんな私達に、セルディ様は、さらりと言いました。
「通信の間のある塔は、ここからぐるっと回った場所にあります」
えっ…ここに無いんですか? 別の場所にあるんですね。
ここって、ラノベの定番もあるけど、結構、違いも多いって感じです。
そんなことを思いながら、私達はセルディ様の後をついて歩きます。
少し歩くと、5階建の建物が見えました。
私達が出て来た宿舎と瓜二つです………本当にそっくりでびっくりしました。
場所は、魔術師の塔を挟んで反対側って感じかな?
まさかこの建物じゃないよね? なんいう私の予想を裏切って、セルディ様はその建物に向かいます。
そして、その建物の扉に、手を翳します、すると静かに扉は開いていきました。
自動ドアのように………。
ファンタジーの世界に自動ドアは、違和感バリバリです。
私が嫌そうに扉を見ていると、ポンッと肩をジーク君が叩いてくれました。
そして耳元で囁きます……うっこれって、なんかかなり恥ずかしいわ。
「アリア、僕達の居た宿舎のグレードアップしたモノって思えば良いよ。ファンタジーってなんでもありでしょ。ねっ」
「うん」
確かに、ファンタジーってなんでもありだわ。
そう思って、セルディ様の後に続いて、私達は自動ドアもどきを潜った。
外観は似たり寄ったりでも、内部のグレードは、寄宿舎とホテル以上に違っていました。
玄関ホールを通って、広い廊下をとことこと歩いて行きます。
不思議なことに、その間にすれ違う人はいませんでした。
もう既に出勤して、各部屋で仕事をしているのかな? なんて思いました。
外観が同じだけで、内装が違うだけじゃなく、広さもかなり違うと思いました。
何度も廊下を曲がって、階段を上って降りてを繰り返して、やっと通信の間? に辿り着きました。
通信の間? の扉の前で、ゼルディ様は、手をローブの中に入れて、鎖についた水晶体を扉についていた飾りの穴に差込、それから薔薇の模様に手をつけました。
すると扉が静かに開きます。
セルディ様に続いて扉を潜ったときに、その扉の厚みに驚きました。
通信の間って、かなり厳重に守られているんだな………。
なんて思ったら、その部屋には何もありませんでした。
私達は首を傾げます。
そんな私達を他所に、セルディ様は、部屋の壁に描かれた模様の中にある薔薇を触っていきます。
何箇所も触っているセルディ様を黙って見ている以外何も出来ない私は、つい妄想してしまいます。
全部触り終えて、何か呪文を唱えると、別の場所に転移するとか。
部屋の中央がバクッと二つに割れて、何かがせりあがってくるとか。
部屋ごと地下に沈んでいく(エレベーターみたいなもの)とか、部屋ごと上に上っていくなんてあったりし…………。
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