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第二部 宰相閣下の謹慎事情
318 氷の魔王は頷かない
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
宰相副官がカチャカチャ音を立てつつティーセットを並べて、脱兎の如く執務室へと姿を消したのは、空気も読めているし、ある意味羨ましくもあった。
私はどう考えても、腰を上げる事すら許される空気にない。
――ひとえに隣の魔王サマのおかげで。
「我が国主導で事態の決着、か。その言い様だと、もうその落としどころも決めておると言う事か」
そのエドヴァルドは、シモンが扉を閉めたのを確かめる様にして、アンディション侯爵の問いかけに「ええ」と答えていた。
「先ほど五公爵間での総意と、陛下およびレイフ殿下の内諾も得ました。もちろん、第一王子とその一行が突然改心して言動を悔い改めでもしたら、その策は推し進められませんから、現時点ではあくまで『素案』なのですが」
それはもう、突然改心して悔い改めるとか、天地がひっくり返ってもありえないとか思ってる口調だ。
さもありなんと思っているのか、侯爵もそこは気に留めていないようだった。
「ほう?陛下はともかくレイフにも役割があると?あやつ、とうとう何ぞやらかしおったのか」
この国でレイフ殿下に対して敬語なく物が言えるのは、恐らくは国王陛下とこのアンディション侯爵だけだろう。
それだけ、いつ、何をやらかしても不思議じゃないと周りからは思われていたのかも知れない。
まあ、そう思われた時点で簒奪するにはアウトな気もするけど。
エドヴァルドもさすがに苦笑していた。
「まだ、それほど決定的な事にはなっていませんでしたよ。ただ、分かりやすすぎる獅子身中の虫など、この際遠くで別の角度から国の役に立って貰う方が良いでしょう。本人も意外にやる気ですしね」
「いったい何を吹き込んだのかね」
「――お聞きになりたいですか?」
最近気になっていなかったと言うべきか、慣らされていたと言うべきか、元々エドヴァルドは、表情筋の死滅した鉄壁宰相サマと言われているのだ。
これに冷気が漂えば、まさに〝氷の魔王〟降臨である。
さすがのアンディション侯爵も「……老い先短い身としては、深入りはすまいて」と、白旗を上げていた。
「いえいえ。真面目な話、この先は一時的にせよ『テオドル大公殿下』として公務に復帰していただく事を前提にお話しさせて頂きたいと思っているのですよ。そしてその為には、この後、事態がこちらに有利になるよう動かなくてはならない。それまでは、申し訳ないですが静観頂ければと思っているだけですので」
「ふむ……しかし、さすがに夕食会には第二王子と第一王女は同席させられんのだろう。第一王子と随行の公爵だけで、ボロなぞ出るのか――いや、出させるのか」
「出させますよ」
物騒な事をキッパリと言い切ったエドヴァルドは「…その為にも」と、アンディション侯爵と私とを見比べた。
「私が来るまで、何の話をしていたのかを聞いても?」
…やっぱり、うやむやにはならなかったようです。
「何の、と言われてもな……儂は其方が来るまでの時間潰し程度に、バリエンダール王家の話をしておっただけだからな」
「具体的には、王家の何を?」
「儂から見た、王や王太子の印象。サレステーデをどう捉えておるのかと言う辺りや、妻が耳にした、双方の後宮における噂話――まあ、レイナ嬢もわきまえておると見えて、国政に差し障りのある事までは踏み込んでこんかったから、儂も茶飲み話程度のつもりだったんだが」
そうして、二人ともの視線がこちらへと向いた。
「――レイナ。聞いてどうするつもりだった?」
「まあまあ。儂が思うに、既に手にしている情報があって、それの精度を上げるためと言ったところではなかったかな?聞きたいところが割にハッキリしておったからな」
助け舟のようでいて、アンディション侯爵も地味に逃げ道を塞いできている。
むしろエドヴァルドへの助け舟な気さえする程だ。
元王族と現役宰相閣下が二人して、しがない女子大生に圧をかけるとか、本当にやめて欲しい。
――そんなのは、白旗一択だ。
「あの…多分の話ですからね?あくまで一つの推測なんで、そのつもりでお聞きになって下さいね?」
私は天井を見上げて、大きく息をついた。
「多分、今回の事がなくとも、ミラン王太子は自分の代でサレステーデを併合する気でいたんじゃないかと思うんですよ。だから今回話を持ちかけるのであれば、最初は彼が良い気がしています」
何…?と、エドヴァルドの微かな声が耳に届く。
アンディション侯爵は、眉を少し動かしただけだった。
そのまま二人ともが続きを促している風なので、私は言葉を続けた。
「侯爵閣下が仰るには、ミラン王太子がサレステーデからの縁談を拒絶した理由の一つには『サレステーデの王族の血は誰一人として正しく受け継がれていない』と言う事があるんだそうです。最初は何の事かと思いましたけど、キリアン第一王子の父親が国王陛下じゃないかも知れないって言う話が、ファルコと侯爵閣下、全くの別方向からきている以上は信憑性も上がるし、ミラン王太子がそれ以上に詳細な情報をもっているって言う事にもなると思うんです」
「サレステーデの次代の王の血筋を否定して、自らの支配下に組み込む…か。だがレイナ、まだ第二、第三と王子はいるし、王女だっている。第一王子だけの事なら――いや、まさか」
多分ですよ?と、もう一度だけエドヴァルドに念を押しておく。
「全員がセゴール国王陛下の血を継いでいない可能性があって、その事に関して何らかの情報をミラン王太子が持っているんじゃないかと思うんです。例えばですけど、本当の父親と思われる男性が、王宮の使用人だったり護衛だったりなんかすれば、ミラン王太子としては、自分の縁談としてもミルテ王女の縁談としても受け入れられませんよね?」
「……確かに。しかしドナート王子やドロテア王女からは、そんな素振りは見えないぞ。それを他国の王太子が知るとか、有り得るのか?」
「サレステーデの情報弱者っぷりは、アンジェスの国情を正確に把握出来ていなかった点からも明らかですよ?それに多分、息子や娘の方が、母親が口をつぐめばそれで終わりですから、バレない可能性の方が高いです。外からの方が、乳母なり侍女なり抱き込めますから、かえって有利ですよ」
サレステーデは情報弱者。
その点ではエドヴァルドもアンディション侯爵も思うところがあったのか、何とも言えない表情になっていた。
「しかし、そうか……サレステーデの血統の話を、今回の騒動でこちらも把握したとミラン王太子に仄めかせて、アンジェスも一枚噛むと話を持ちかければ良いのか」
「ミラン王太子とて、王となって一人でサレステーデを叩き潰せば、間違いなくギーレンからは目をつけられますから、耳は貸すと思いますよ?その辺りの駆け引きは、ぜひアンディション侯爵閣下――いえ、テオドル大公殿下に頑張って頂ければと」
話の持っていきかた次第で、自治領の話と共にミルテ王女の縁談の話にだって、たとえ重度のシスコンだったとしても、首を縦に振らせる事が出来るかも知れない。
と言うか、むしろ縁談の話に灯が見えた。
「……イデオン宰相」
ちょっと前のめりになってしまった私に一瞬気圧されながらも、アンディション侯爵は口元に手をあてて、じっとこちらを見ていた。
「儂がバリエンダールに行くのは構わんが、レイナ嬢を補佐官として同行させる訳にはいかんかね?今、誰よりもミラン王太子の思惑を悟っている気が――」
「――生憎ですがお断りします。以前にも言いましたが、彼女をバリエンダールに行かせる事は絶対にしません」
はやっ!
エドヴァルドが、アンディション侯爵の言葉を一顧だにせず、秒で切って捨てているのには驚いた。
「ミラン王太子には、話し合いの為にアンジェスに来て貰うつもりです。テオドル大公殿下には、その為の特使として赴いてもらいますので、どうか誤解なきよう」
アンディション侯爵も、驚いた様に軽く目を瞠っていた。
「驚いた。一瞬の検討の余地もないのかね」
「今までもこれからも存在しない。だからこそ、殿下に復帰を乞うているのです。どうかお一人で任を果たして下さるよう願いますよ」
「………」
冷え切った空気の中、私もとても、海の幸を食べに行ってみたいとか、場にそぐわない事を言えずにいた。
多分、それを言ったら氷窟に置き去りだと心の底から理解していた。
宰相副官がカチャカチャ音を立てつつティーセットを並べて、脱兎の如く執務室へと姿を消したのは、空気も読めているし、ある意味羨ましくもあった。
私はどう考えても、腰を上げる事すら許される空気にない。
――ひとえに隣の魔王サマのおかげで。
「我が国主導で事態の決着、か。その言い様だと、もうその落としどころも決めておると言う事か」
そのエドヴァルドは、シモンが扉を閉めたのを確かめる様にして、アンディション侯爵の問いかけに「ええ」と答えていた。
「先ほど五公爵間での総意と、陛下およびレイフ殿下の内諾も得ました。もちろん、第一王子とその一行が突然改心して言動を悔い改めでもしたら、その策は推し進められませんから、現時点ではあくまで『素案』なのですが」
それはもう、突然改心して悔い改めるとか、天地がひっくり返ってもありえないとか思ってる口調だ。
さもありなんと思っているのか、侯爵もそこは気に留めていないようだった。
「ほう?陛下はともかくレイフにも役割があると?あやつ、とうとう何ぞやらかしおったのか」
この国でレイフ殿下に対して敬語なく物が言えるのは、恐らくは国王陛下とこのアンディション侯爵だけだろう。
それだけ、いつ、何をやらかしても不思議じゃないと周りからは思われていたのかも知れない。
まあ、そう思われた時点で簒奪するにはアウトな気もするけど。
エドヴァルドもさすがに苦笑していた。
「まだ、それほど決定的な事にはなっていませんでしたよ。ただ、分かりやすすぎる獅子身中の虫など、この際遠くで別の角度から国の役に立って貰う方が良いでしょう。本人も意外にやる気ですしね」
「いったい何を吹き込んだのかね」
「――お聞きになりたいですか?」
最近気になっていなかったと言うべきか、慣らされていたと言うべきか、元々エドヴァルドは、表情筋の死滅した鉄壁宰相サマと言われているのだ。
これに冷気が漂えば、まさに〝氷の魔王〟降臨である。
さすがのアンディション侯爵も「……老い先短い身としては、深入りはすまいて」と、白旗を上げていた。
「いえいえ。真面目な話、この先は一時的にせよ『テオドル大公殿下』として公務に復帰していただく事を前提にお話しさせて頂きたいと思っているのですよ。そしてその為には、この後、事態がこちらに有利になるよう動かなくてはならない。それまでは、申し訳ないですが静観頂ければと思っているだけですので」
「ふむ……しかし、さすがに夕食会には第二王子と第一王女は同席させられんのだろう。第一王子と随行の公爵だけで、ボロなぞ出るのか――いや、出させるのか」
「出させますよ」
物騒な事をキッパリと言い切ったエドヴァルドは「…その為にも」と、アンディション侯爵と私とを見比べた。
「私が来るまで、何の話をしていたのかを聞いても?」
…やっぱり、うやむやにはならなかったようです。
「何の、と言われてもな……儂は其方が来るまでの時間潰し程度に、バリエンダール王家の話をしておっただけだからな」
「具体的には、王家の何を?」
「儂から見た、王や王太子の印象。サレステーデをどう捉えておるのかと言う辺りや、妻が耳にした、双方の後宮における噂話――まあ、レイナ嬢もわきまえておると見えて、国政に差し障りのある事までは踏み込んでこんかったから、儂も茶飲み話程度のつもりだったんだが」
そうして、二人ともの視線がこちらへと向いた。
「――レイナ。聞いてどうするつもりだった?」
「まあまあ。儂が思うに、既に手にしている情報があって、それの精度を上げるためと言ったところではなかったかな?聞きたいところが割にハッキリしておったからな」
助け舟のようでいて、アンディション侯爵も地味に逃げ道を塞いできている。
むしろエドヴァルドへの助け舟な気さえする程だ。
元王族と現役宰相閣下が二人して、しがない女子大生に圧をかけるとか、本当にやめて欲しい。
――そんなのは、白旗一択だ。
「あの…多分の話ですからね?あくまで一つの推測なんで、そのつもりでお聞きになって下さいね?」
私は天井を見上げて、大きく息をついた。
「多分、今回の事がなくとも、ミラン王太子は自分の代でサレステーデを併合する気でいたんじゃないかと思うんですよ。だから今回話を持ちかけるのであれば、最初は彼が良い気がしています」
何…?と、エドヴァルドの微かな声が耳に届く。
アンディション侯爵は、眉を少し動かしただけだった。
そのまま二人ともが続きを促している風なので、私は言葉を続けた。
「侯爵閣下が仰るには、ミラン王太子がサレステーデからの縁談を拒絶した理由の一つには『サレステーデの王族の血は誰一人として正しく受け継がれていない』と言う事があるんだそうです。最初は何の事かと思いましたけど、キリアン第一王子の父親が国王陛下じゃないかも知れないって言う話が、ファルコと侯爵閣下、全くの別方向からきている以上は信憑性も上がるし、ミラン王太子がそれ以上に詳細な情報をもっているって言う事にもなると思うんです」
「サレステーデの次代の王の血筋を否定して、自らの支配下に組み込む…か。だがレイナ、まだ第二、第三と王子はいるし、王女だっている。第一王子だけの事なら――いや、まさか」
多分ですよ?と、もう一度だけエドヴァルドに念を押しておく。
「全員がセゴール国王陛下の血を継いでいない可能性があって、その事に関して何らかの情報をミラン王太子が持っているんじゃないかと思うんです。例えばですけど、本当の父親と思われる男性が、王宮の使用人だったり護衛だったりなんかすれば、ミラン王太子としては、自分の縁談としてもミルテ王女の縁談としても受け入れられませんよね?」
「……確かに。しかしドナート王子やドロテア王女からは、そんな素振りは見えないぞ。それを他国の王太子が知るとか、有り得るのか?」
「サレステーデの情報弱者っぷりは、アンジェスの国情を正確に把握出来ていなかった点からも明らかですよ?それに多分、息子や娘の方が、母親が口をつぐめばそれで終わりですから、バレない可能性の方が高いです。外からの方が、乳母なり侍女なり抱き込めますから、かえって有利ですよ」
サレステーデは情報弱者。
その点ではエドヴァルドもアンディション侯爵も思うところがあったのか、何とも言えない表情になっていた。
「しかし、そうか……サレステーデの血統の話を、今回の騒動でこちらも把握したとミラン王太子に仄めかせて、アンジェスも一枚噛むと話を持ちかければ良いのか」
「ミラン王太子とて、王となって一人でサレステーデを叩き潰せば、間違いなくギーレンからは目をつけられますから、耳は貸すと思いますよ?その辺りの駆け引きは、ぜひアンディション侯爵閣下――いえ、テオドル大公殿下に頑張って頂ければと」
話の持っていきかた次第で、自治領の話と共にミルテ王女の縁談の話にだって、たとえ重度のシスコンだったとしても、首を縦に振らせる事が出来るかも知れない。
と言うか、むしろ縁談の話に灯が見えた。
「……イデオン宰相」
ちょっと前のめりになってしまった私に一瞬気圧されながらも、アンディション侯爵は口元に手をあてて、じっとこちらを見ていた。
「儂がバリエンダールに行くのは構わんが、レイナ嬢を補佐官として同行させる訳にはいかんかね?今、誰よりもミラン王太子の思惑を悟っている気が――」
「――生憎ですがお断りします。以前にも言いましたが、彼女をバリエンダールに行かせる事は絶対にしません」
はやっ!
エドヴァルドが、アンディション侯爵の言葉を一顧だにせず、秒で切って捨てているのには驚いた。
「ミラン王太子には、話し合いの為にアンジェスに来て貰うつもりです。テオドル大公殿下には、その為の特使として赴いてもらいますので、どうか誤解なきよう」
アンディション侯爵も、驚いた様に軽く目を瞠っていた。
「驚いた。一瞬の検討の余地もないのかね」
「今までもこれからも存在しない。だからこそ、殿下に復帰を乞うているのです。どうかお一人で任を果たして下さるよう願いますよ」
「………」
冷え切った空気の中、私もとても、海の幸を食べに行ってみたいとか、場にそぐわない事を言えずにいた。
多分、それを言ったら氷窟に置き去りだと心の底から理解していた。
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