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第二部 宰相閣下の謹慎事情
347 鷹の眼、特殊部隊、そして草
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
「お前は普段通りに仕事をしていれば良い。ただ、そのうち本家の誰か、あるいはルーデルスが王都に出て来る可能性がある。その事だけ頭の片隅に入れておけ。いざ、そう言う時が来ても驚きは少なくて済む」
兄長官にそう言われたヘルマンさんは、今ひとつ釈然としない表情のまま、渋々店舗の方へと帰って行った。
本当ならエドヴァルドに詳しく説明させたいけど、兄を飛び越して詰め寄る事は出来ない――そんな表情で。
「…閣下。ああは言いましたが、私は弟を基本的に本家と関わらせるつもりはありませんので、何かあれば、まずは私にお知らせ願えますか」
扉が閉まるのを見届けたところで、そんな言い方を兄長官はした。
「中途半端に会わせてしまえば、怒鳴り合いになる未来しか見えません。まとまる話とてまとまらなくなってしまう。ルーデルスの出方は私にも分かりませんが、少なくとも父や上の兄二人とは、来ても会わせたくはありません」
地方では、王都の情報が届く速度も正確性も微妙にずれているとかで、仕立て屋としての〝ヘルマン・アテリエ〟が王都においてどれほど称賛されているのか、領地の彼らは理解しきれていない筈だと言う。
下手をすれば、店を閉めて地に足をつけた仕事をしろ…くらいは言いかねない、と。
(え、ロイヴァスさんってツンデレ?実は弟を大事に思っているツンデレさんですか??)
「店舗開業の頃から、ほとんど変わっていないと言う訳か」
「そうですね。そのように認識頂いて構わないかと」
エドヴァルドが、やや呆れた感じに呟いているのも、それだけ過去に揉め事があって、エドヴァルド自身も少なからず関わっていたと言う事なんだろう。
「時折私でさえも領地に戻らない事をやり玉に挙げられますから、フェリクスでは相手になりませんよ。ただルーデルスは我々とは母親が違います。彼にとって血のつながりがある兄弟は、五男――フェリクスのすぐ上の兄のみ。領地でどのような教育を受けてきたかは私にも分かりません。もしかして普段から領主館に寄りついていないようなら、まだそれほど頭は固くないのかも知れませんが、あくまで楽観的希望論だとしか」
「なるほどな……おまえの言い分は承知した。スヴェンテ老公と話をする時には、そのあたり留意しておくことにしよう」
「恐れ入ります」
こう言うところが、兄長官が「イデオン公爵領に属する者と思われている」と微笑うところなんだろう。
最初は学園同期であるフェリクス・ヘルマンの為の兄の雇用だったかも知れない。だけどロイヴァス・ヘルマン自身が、それに甘える事なく、王宮内でがむしゃらに学び、働き、長官にのぼりつめるまでに結果を出した。
弟に失望されず、エドヴァルドの期待にも、同時に応える為に。
今では彼は、副官シモン・ローベルトとは別次元での、エドヴァルドの腹心的な存在に違いない。
「それで、そもそも公爵邸に来たのは、王宮内では口にしづらい、サレステーデ絡みの話があったからか?」
弟の話はここまでとばかりに声色を変えるエドヴァルドに、理解しているとばかりに兄――ヘルマン「長官」も、そこで頷いた。
「あ…でしたら、私は……」
曲がりなりにも「宰相」と「司法・公安長官」の会話となれば、おいそれと耳にして良いものでもない筈だ。
席を外そうとした私に、首を横に振ったのは意外にもヘルマン長官の方だった。
「通常ならば確かに席を外して頂くところですが、今回貴女はテオドル大公殿下と共にバリエンダールへ行かれるのでしょう。ある程度、サレステーデの現状は把握しておかれるべきかと」
確認するようにエドヴァルドを見れば、若干不本意そうには見えるけれども、頷いて、座りなおすように片手を振っていた。
「…正直、夕食会での一連の出来事に関しては現行犯も良いところですから、刑務官の誰が取り調べようと同じだと、こちらからすれば思うのですが――意外に手こずっていまして」
仕方なく元の場所に腰を下ろせば、そのタイミングに合わせるかの様にヘルマン長官が口を開いた。
どうやらキリアン第一王子とバルキン公爵は、不敬だなんだと喚くばかりで、事情聴取にロクに答えないまま、今に至っているらしい。
「ここに来る直前まで、シクステン長官もフォルシアン公爵も頭を抱えていらっしゃいましたね」
…今回フォルシアン公爵は、家族の事も含めて一番大変な目に遭っている気がする。
「……そのうち軍を動かすとか言い出しかねんな」
そう呟いたエドヴァルドも、きっと私と同じ心境にはなっているんだろう。
逸らした視線の先が、ちょっと遠い。
「公爵を怒らせると、後が大変なんだ。私よりも血筋は王家に近いから、根の部分で国王陛下を彷彿とさせる時がある」
え、それはサイコパス予備軍とか言う……。
「エリサベト夫人さえ絡まなければ、見たままの善良な当主と言えなくもないんだがな」
過去に「フォルシアン公爵夫人」を狙っていた貴族達との攻防部分で、とても表沙汰には出来ないような血の雨が降った事もあったらしい。
「た…確かに、目だけが笑っていらっしゃらない事も多々ありますけど……」
思わず身体を震わせながらそう溢した私に、ヘルマン長官が意外そうな目を向けていた。
「驚きました。ちゃんとフォルシアン公爵の闇の部分にお気付きなんですね」
「……闇」
「失礼。今のは聞かなかった事にして頂きたい」
ヘルマン長官は思わず口元を綻ばせかけて、慌てて咳払いをしていた。
「それとキリアン第一王子とバルキン公爵の他に、ビリエル・イェスタフと呼ばれている、夕食会の席に参加していて、レイナ嬢に刃を向けた件の男ですが、その男は二人とは逆に黙秘を通しているようですね。多少の薬にも身体を慣らしているようで、自白剤の濃度を三人それぞれに調整すべく、公安にも援助要請が来ています」
「…結局、三人共に薬を使用する事になったと、そう言う事か」
「フォルシアン公爵経由で陛下の許可は出ているそうです。まずは閣下にもその事をお伝え致したく」
直接的な「そうだ」とも「違う」ともヘルマン長官は言っていないけど、微笑んで頭を下げたのは、何よりの答えだ。
自白剤の濃度の調整って何――!と、日本の一般市民でしかない私は内心で悲鳴を上げたけど、もちろん、そこは誰も汲み取ってくれなかった。きっと、わざと。
「…しかし、万一壊れたらどうするつもりなんだ。サレステーデのセゴール国王は今病床の身、政務もままならないと聞いているが」
…宰相と長官の会話が心臓に悪いデス。
「潜り込ませた〝草〟によれば、バルキン公爵はあくまで『宰相代理』ですし、第一王子もまだほとんど実権は握っていなかった。今は宰相が実務を動かしつつ、今回限りとの条件で、臣籍降下が決まっている第三王子を名目上の国王代理に立てているようですよ」
「…なるほどな。それならば、第一王子が今回しでかした事を聞けば、目を剥いて倒れるかも知れんな。いや、むしろ自らが権力の奪取に動くか――?」
「その辺りの感触を、今〝草〟に探らせています」
どうやら公安にも、独自で抱える実働部隊があるらしく、彼らは総じて〝草〟と呼ばれていると、後でエドヴァルドからは教えられた。
なるほどイデオン公爵邸の〝鷹の眼〟や、レイフ殿下が抱える特殊部隊のようなものか。
所属が王宮にあるため〝鷹の眼〟ほどの絶対的な忠誠は、エドヴァルドに対して持っていないらしい。
ヘルマン長官の命で動く事がほとんどで、あくまでエドヴァルドは所属長程度の認識だろうとの事だった。
「状況次第では、こちらの〝草〟も、バリエンダールで情報を持って合流する可能性があります。面通しなどと悠長な事はしていられませんが、どうかレイナ嬢もその事を頭の片隅に留めおいて頂きたく」
「………」
あの、これってもはや、ただ現状をバリエンダールに伝える使者になってませんよね……?
「お前は普段通りに仕事をしていれば良い。ただ、そのうち本家の誰か、あるいはルーデルスが王都に出て来る可能性がある。その事だけ頭の片隅に入れておけ。いざ、そう言う時が来ても驚きは少なくて済む」
兄長官にそう言われたヘルマンさんは、今ひとつ釈然としない表情のまま、渋々店舗の方へと帰って行った。
本当ならエドヴァルドに詳しく説明させたいけど、兄を飛び越して詰め寄る事は出来ない――そんな表情で。
「…閣下。ああは言いましたが、私は弟を基本的に本家と関わらせるつもりはありませんので、何かあれば、まずは私にお知らせ願えますか」
扉が閉まるのを見届けたところで、そんな言い方を兄長官はした。
「中途半端に会わせてしまえば、怒鳴り合いになる未来しか見えません。まとまる話とてまとまらなくなってしまう。ルーデルスの出方は私にも分かりませんが、少なくとも父や上の兄二人とは、来ても会わせたくはありません」
地方では、王都の情報が届く速度も正確性も微妙にずれているとかで、仕立て屋としての〝ヘルマン・アテリエ〟が王都においてどれほど称賛されているのか、領地の彼らは理解しきれていない筈だと言う。
下手をすれば、店を閉めて地に足をつけた仕事をしろ…くらいは言いかねない、と。
(え、ロイヴァスさんってツンデレ?実は弟を大事に思っているツンデレさんですか??)
「店舗開業の頃から、ほとんど変わっていないと言う訳か」
「そうですね。そのように認識頂いて構わないかと」
エドヴァルドが、やや呆れた感じに呟いているのも、それだけ過去に揉め事があって、エドヴァルド自身も少なからず関わっていたと言う事なんだろう。
「時折私でさえも領地に戻らない事をやり玉に挙げられますから、フェリクスでは相手になりませんよ。ただルーデルスは我々とは母親が違います。彼にとって血のつながりがある兄弟は、五男――フェリクスのすぐ上の兄のみ。領地でどのような教育を受けてきたかは私にも分かりません。もしかして普段から領主館に寄りついていないようなら、まだそれほど頭は固くないのかも知れませんが、あくまで楽観的希望論だとしか」
「なるほどな……おまえの言い分は承知した。スヴェンテ老公と話をする時には、そのあたり留意しておくことにしよう」
「恐れ入ります」
こう言うところが、兄長官が「イデオン公爵領に属する者と思われている」と微笑うところなんだろう。
最初は学園同期であるフェリクス・ヘルマンの為の兄の雇用だったかも知れない。だけどロイヴァス・ヘルマン自身が、それに甘える事なく、王宮内でがむしゃらに学び、働き、長官にのぼりつめるまでに結果を出した。
弟に失望されず、エドヴァルドの期待にも、同時に応える為に。
今では彼は、副官シモン・ローベルトとは別次元での、エドヴァルドの腹心的な存在に違いない。
「それで、そもそも公爵邸に来たのは、王宮内では口にしづらい、サレステーデ絡みの話があったからか?」
弟の話はここまでとばかりに声色を変えるエドヴァルドに、理解しているとばかりに兄――ヘルマン「長官」も、そこで頷いた。
「あ…でしたら、私は……」
曲がりなりにも「宰相」と「司法・公安長官」の会話となれば、おいそれと耳にして良いものでもない筈だ。
席を外そうとした私に、首を横に振ったのは意外にもヘルマン長官の方だった。
「通常ならば確かに席を外して頂くところですが、今回貴女はテオドル大公殿下と共にバリエンダールへ行かれるのでしょう。ある程度、サレステーデの現状は把握しておかれるべきかと」
確認するようにエドヴァルドを見れば、若干不本意そうには見えるけれども、頷いて、座りなおすように片手を振っていた。
「…正直、夕食会での一連の出来事に関しては現行犯も良いところですから、刑務官の誰が取り調べようと同じだと、こちらからすれば思うのですが――意外に手こずっていまして」
仕方なく元の場所に腰を下ろせば、そのタイミングに合わせるかの様にヘルマン長官が口を開いた。
どうやらキリアン第一王子とバルキン公爵は、不敬だなんだと喚くばかりで、事情聴取にロクに答えないまま、今に至っているらしい。
「ここに来る直前まで、シクステン長官もフォルシアン公爵も頭を抱えていらっしゃいましたね」
…今回フォルシアン公爵は、家族の事も含めて一番大変な目に遭っている気がする。
「……そのうち軍を動かすとか言い出しかねんな」
そう呟いたエドヴァルドも、きっと私と同じ心境にはなっているんだろう。
逸らした視線の先が、ちょっと遠い。
「公爵を怒らせると、後が大変なんだ。私よりも血筋は王家に近いから、根の部分で国王陛下を彷彿とさせる時がある」
え、それはサイコパス予備軍とか言う……。
「エリサベト夫人さえ絡まなければ、見たままの善良な当主と言えなくもないんだがな」
過去に「フォルシアン公爵夫人」を狙っていた貴族達との攻防部分で、とても表沙汰には出来ないような血の雨が降った事もあったらしい。
「た…確かに、目だけが笑っていらっしゃらない事も多々ありますけど……」
思わず身体を震わせながらそう溢した私に、ヘルマン長官が意外そうな目を向けていた。
「驚きました。ちゃんとフォルシアン公爵の闇の部分にお気付きなんですね」
「……闇」
「失礼。今のは聞かなかった事にして頂きたい」
ヘルマン長官は思わず口元を綻ばせかけて、慌てて咳払いをしていた。
「それとキリアン第一王子とバルキン公爵の他に、ビリエル・イェスタフと呼ばれている、夕食会の席に参加していて、レイナ嬢に刃を向けた件の男ですが、その男は二人とは逆に黙秘を通しているようですね。多少の薬にも身体を慣らしているようで、自白剤の濃度を三人それぞれに調整すべく、公安にも援助要請が来ています」
「…結局、三人共に薬を使用する事になったと、そう言う事か」
「フォルシアン公爵経由で陛下の許可は出ているそうです。まずは閣下にもその事をお伝え致したく」
直接的な「そうだ」とも「違う」ともヘルマン長官は言っていないけど、微笑んで頭を下げたのは、何よりの答えだ。
自白剤の濃度の調整って何――!と、日本の一般市民でしかない私は内心で悲鳴を上げたけど、もちろん、そこは誰も汲み取ってくれなかった。きっと、わざと。
「…しかし、万一壊れたらどうするつもりなんだ。サレステーデのセゴール国王は今病床の身、政務もままならないと聞いているが」
…宰相と長官の会話が心臓に悪いデス。
「潜り込ませた〝草〟によれば、バルキン公爵はあくまで『宰相代理』ですし、第一王子もまだほとんど実権は握っていなかった。今は宰相が実務を動かしつつ、今回限りとの条件で、臣籍降下が決まっている第三王子を名目上の国王代理に立てているようですよ」
「…なるほどな。それならば、第一王子が今回しでかした事を聞けば、目を剥いて倒れるかも知れんな。いや、むしろ自らが権力の奪取に動くか――?」
「その辺りの感触を、今〝草〟に探らせています」
どうやら公安にも、独自で抱える実働部隊があるらしく、彼らは総じて〝草〟と呼ばれていると、後でエドヴァルドからは教えられた。
なるほどイデオン公爵邸の〝鷹の眼〟や、レイフ殿下が抱える特殊部隊のようなものか。
所属が王宮にあるため〝鷹の眼〟ほどの絶対的な忠誠は、エドヴァルドに対して持っていないらしい。
ヘルマン長官の命で動く事がほとんどで、あくまでエドヴァルドは所属長程度の認識だろうとの事だった。
「状況次第では、こちらの〝草〟も、バリエンダールで情報を持って合流する可能性があります。面通しなどと悠長な事はしていられませんが、どうかレイナ嬢もその事を頭の片隅に留めおいて頂きたく」
「………」
あの、これってもはや、ただ現状をバリエンダールに伝える使者になってませんよね……?
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