300 / 785
第二部 宰相閣下の謹慎事情
382 銀狼殿下と万華鏡の瞳
しおりを挟む
※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
バリエンダールが海洋国家と呼ばれる所以は、アンジェスの様に、ただ海に面しているだけでなく、複雑に入り組む湾や入り江が、地域によっては王都から200kmくらい先でも、まだ続いていると言う所にある。
ゲーム上で見ていた限りは、多くのフィヨルドを抱えるスカンジナビア半島の先端付近が、バリエンダールの勝手なイメージではあるのだけれど。
とは言え〝転移扉〟を抜けた先は、バリエンダール王宮に直結するため、今、外の景色を確かめる事は出来なかった。
「テオ殿!」
案の定、若いながらも落ち着いた感じのする声が、到着後すぐさま耳に入ってきたので、私は周囲の目に触れないうちに、テオドル大公からは一歩離れて、マトヴェイ外交部長と共に視線を下げ、随行者らしい空気を形作った。
「久しいですな、殿下――いや、王太子殿下とお呼びすべきかな。やはり殿下の様な年代だと、6年も7年も会わぬと、雰囲気も変わるものですな。大きくおなりになられた」
「ははっ!其方にかかると私もまだまだ子ども扱いされてしまうようだ!」
やはりテオドル大公が、バリエンダール王家との、形式的ではない交流があると言うのは事実なんだろう。実の祖父にでも話しかけるかの様に「テオ殿」と相手から親しげに話しかけているからだ。
――ミラン・バリエンダール。
赤髪の王子様ことエドベリ・ギーレンに、如何にして対抗しうるか、乙女ゲーム〝蘇芳戦記〟運営側が頭を悩ませた結果の……〝万華鏡の瞳を持つ銀狼殿下〟だったんだろうなと、シャルリーヌと勝手な想像は膨らませていた。
うん、まあやっぱり私よりサラサラっぽい銀髪とか「セントラル・ヘテロクロミア」と現代なら言われる、内側はゴールドとグリーン、外側はライトブルーと、ひとつの目に異なる色彩が出ている〝万華鏡の瞳〟は、静止画の通りだった。
どうやら王家の色らしいので、この分なら現実のミルテ王女も静止画通りに同じ色を持っているんだろうなと、ひとりでちょっと納得していた。
ミラン王太子とミルテ王女との間には、確か私とエドヴァルド以上の年齢差があった。
エドベリ王子よりも幾つか上だった筈だ。
それもあって、バッドエンドが監禁ルートなどと言う物騒な設定になっていたのだろう。
あくまでシスコンが拗れ切っただけに留まっていたのは、運営側にも良心があったと言う事か。
閑話休題。
テオドル大公は政変後は、王宮から退いてアンディション侯爵領にいたと言うから、確かに5~6年は会っていないのかも知れないし、その頃はまだ、ミラン王太子も成人はしていても「王太子」ではなかったんだろう。
お互いが懐かしく思う側面があるのも、無理からぬ事だと言えた。
「テオ殿、早速で済まない。父である国王陛下も、ぜひ今回の顛末をテオ殿自身の口から聞きたいと、西の正面棟に最低限の人数での昼食会を用意させているのだ。お付き合い願えるだろうか」
「無論ですとも。世間話なら、夜でも明日でも出来る事ですからな。まずは本題を」
鷹揚に頷いたミラン王太子の目が、ここでようやく同行者の方へと向いた。
「さすがにユリア殿は今回は来られぬか。妹が、息災かどうかと気にしていたのだが」
「これは有難い。王女殿下に気にかけて頂いていると知れば、妻も喜びましょう。そうですな…息災にはしておりますので、また今回の事態が落ち着いたら、私的に来れるか陛下にお伺いを立ててみますとも」
「そうか。ならばそれだけでも妹には後で伝えておこう。それで――」
「ああ。今回は妻を連れて来れぬ代わりに、私が今、孫同然に目をかけている娘を紹介したいと思いましてな。バリエンダール語にもサレステーデ語にも不自由をしておりませんし、アンジェスとギーレン両国の商業ギルドに伝手を持っているので、話題にも事欠かぬ。書記官としてだけでなく、王女殿下の話し相手にも充分なれるかと。後はもう一人外交官と、残りは護衛の様な者と認識しておいてくれて構いませんぞ」
とりあえず、相手は一国の王太子。
視線は感じたものの、私は言葉は発さずに〝カーテシー〟で頭を下げるだけに留めた。
と言うかテオドル大公、マトヴェイ外交部長の方が本来ならば「外交官」で片付けられない人ですよね⁉
わざとですか、わざと皆の関心を私の方へと向けさせる事で、マトヴェイ外交部長にある程度の行動の自由を持たせるつもりですか⁉
「――名を聞いておこうか」
そんな私の内心の葛藤は、当然ながら誰に理解される事もなく、一応、最低限の礼儀は遵守されたと、王太子が理解したところで、案の定こちらへと話しかけてきた。
「レイナ・ユングベリにございます。大公殿下の仰られた通りに、現在ユングベリ商会の商会長をしております」
「ほう……女性の商会長か。まあどの国も商業ギルドや職人ギルドでは、女性が男性並みに仕事をしていると聞く。確かに妹も興味を示すかも知れないな。まして、テオ殿の推薦付ときている。これは、会わせぬ訳にもいくまい」
「光栄に存じます」
「昼食会には、元々『書記官』及び『外交官』の参加は認められている。事前にそのように連絡もあった事だし、どちらも国同士の対話の中においては参加必須とされる役職だ。まさかその片方が女性だとは聞き及んでいなかったが、テオ殿が認めた随行者と言う事で、誰も表立って非難はすまい」
これも、テオドル大公がこれまで積み上げてきた信頼と人脈の為せる業だろう。
ミラン王太子の声からも、とりたてて不快な感情は感じ取れない。
どちらかと言うと可もなく不可もなく、今のところはさほど関心がない――と言った感じだ。
まあ、サレステーデ王族が起こしている事件の詳細を知りたいと言う思いの方が、今は殊のほか強いに違いない。
「明日、妹主催の茶会…と言っても、テオ殿との面識がある者ばかりだが、昼間に開かれる予定だ。テオ殿にあてがわれた部屋には妹の手製の招待状が置かれているだろうが、妹には追加参加者の連絡を入れておくから、テオ殿と共に参加すると良い。護衛を見越して食事も飲み物も多めに用意されているだろうから、一人くらい増えたとて問題ないだろう」
「おお、ミルテ王女主催とは、それは光栄。もしや初めての主催では?」
もともと、着いた翌日は王族関係者との昼食会があるだろうと、テオドル大公は言っていた。
ただ年齢を考えると、主催が15歳の王女殿下とは思っていなかったのかも知れない。
それにゲーム設定では「病弱」だった筈で、主催自体可能なのか。
実際に、大公もちょっと驚いた声をあげていた。
「ああ。そのうち主催はせねばならないだろうが、侍女長が、テオ殿との茶会ならば肩肘張らずに良い練習になるのではないかと言ってきたからな。私と陛下も、それを了承したんだ」
「なるほど。では王女殿下の初めての主催を温かく見守る事といたしましょうか。確かにそう言う事ならば、妻も一緒に来られれば良かったのでしょうな」
「まあ、テオ殿が合格だと思えば、ユリア殿も交えての次の約束でもしてやってくれ。励みにもなるだろう」
……なんだろう、ここのところ、おかしな王族ばかりを見てきた所為か、ミラン王太子に後光が差している錯覚を一瞬覚えてしまった。
いや、本人の性格はまだ何とも分からないけど、少なくとも公務にはそれを反映させてこない、これまで見た中でもっともマトモな王族に見えるのは、私がだいぶ荒んでいるからだろうか。
「では、西の正面棟に案内させて貰おう」
そう言ってミラン王太子は身を翻した。
バリエンダールが海洋国家と呼ばれる所以は、アンジェスの様に、ただ海に面しているだけでなく、複雑に入り組む湾や入り江が、地域によっては王都から200kmくらい先でも、まだ続いていると言う所にある。
ゲーム上で見ていた限りは、多くのフィヨルドを抱えるスカンジナビア半島の先端付近が、バリエンダールの勝手なイメージではあるのだけれど。
とは言え〝転移扉〟を抜けた先は、バリエンダール王宮に直結するため、今、外の景色を確かめる事は出来なかった。
「テオ殿!」
案の定、若いながらも落ち着いた感じのする声が、到着後すぐさま耳に入ってきたので、私は周囲の目に触れないうちに、テオドル大公からは一歩離れて、マトヴェイ外交部長と共に視線を下げ、随行者らしい空気を形作った。
「久しいですな、殿下――いや、王太子殿下とお呼びすべきかな。やはり殿下の様な年代だと、6年も7年も会わぬと、雰囲気も変わるものですな。大きくおなりになられた」
「ははっ!其方にかかると私もまだまだ子ども扱いされてしまうようだ!」
やはりテオドル大公が、バリエンダール王家との、形式的ではない交流があると言うのは事実なんだろう。実の祖父にでも話しかけるかの様に「テオ殿」と相手から親しげに話しかけているからだ。
――ミラン・バリエンダール。
赤髪の王子様ことエドベリ・ギーレンに、如何にして対抗しうるか、乙女ゲーム〝蘇芳戦記〟運営側が頭を悩ませた結果の……〝万華鏡の瞳を持つ銀狼殿下〟だったんだろうなと、シャルリーヌと勝手な想像は膨らませていた。
うん、まあやっぱり私よりサラサラっぽい銀髪とか「セントラル・ヘテロクロミア」と現代なら言われる、内側はゴールドとグリーン、外側はライトブルーと、ひとつの目に異なる色彩が出ている〝万華鏡の瞳〟は、静止画の通りだった。
どうやら王家の色らしいので、この分なら現実のミルテ王女も静止画通りに同じ色を持っているんだろうなと、ひとりでちょっと納得していた。
ミラン王太子とミルテ王女との間には、確か私とエドヴァルド以上の年齢差があった。
エドベリ王子よりも幾つか上だった筈だ。
それもあって、バッドエンドが監禁ルートなどと言う物騒な設定になっていたのだろう。
あくまでシスコンが拗れ切っただけに留まっていたのは、運営側にも良心があったと言う事か。
閑話休題。
テオドル大公は政変後は、王宮から退いてアンディション侯爵領にいたと言うから、確かに5~6年は会っていないのかも知れないし、その頃はまだ、ミラン王太子も成人はしていても「王太子」ではなかったんだろう。
お互いが懐かしく思う側面があるのも、無理からぬ事だと言えた。
「テオ殿、早速で済まない。父である国王陛下も、ぜひ今回の顛末をテオ殿自身の口から聞きたいと、西の正面棟に最低限の人数での昼食会を用意させているのだ。お付き合い願えるだろうか」
「無論ですとも。世間話なら、夜でも明日でも出来る事ですからな。まずは本題を」
鷹揚に頷いたミラン王太子の目が、ここでようやく同行者の方へと向いた。
「さすがにユリア殿は今回は来られぬか。妹が、息災かどうかと気にしていたのだが」
「これは有難い。王女殿下に気にかけて頂いていると知れば、妻も喜びましょう。そうですな…息災にはしておりますので、また今回の事態が落ち着いたら、私的に来れるか陛下にお伺いを立ててみますとも」
「そうか。ならばそれだけでも妹には後で伝えておこう。それで――」
「ああ。今回は妻を連れて来れぬ代わりに、私が今、孫同然に目をかけている娘を紹介したいと思いましてな。バリエンダール語にもサレステーデ語にも不自由をしておりませんし、アンジェスとギーレン両国の商業ギルドに伝手を持っているので、話題にも事欠かぬ。書記官としてだけでなく、王女殿下の話し相手にも充分なれるかと。後はもう一人外交官と、残りは護衛の様な者と認識しておいてくれて構いませんぞ」
とりあえず、相手は一国の王太子。
視線は感じたものの、私は言葉は発さずに〝カーテシー〟で頭を下げるだけに留めた。
と言うかテオドル大公、マトヴェイ外交部長の方が本来ならば「外交官」で片付けられない人ですよね⁉
わざとですか、わざと皆の関心を私の方へと向けさせる事で、マトヴェイ外交部長にある程度の行動の自由を持たせるつもりですか⁉
「――名を聞いておこうか」
そんな私の内心の葛藤は、当然ながら誰に理解される事もなく、一応、最低限の礼儀は遵守されたと、王太子が理解したところで、案の定こちらへと話しかけてきた。
「レイナ・ユングベリにございます。大公殿下の仰られた通りに、現在ユングベリ商会の商会長をしております」
「ほう……女性の商会長か。まあどの国も商業ギルドや職人ギルドでは、女性が男性並みに仕事をしていると聞く。確かに妹も興味を示すかも知れないな。まして、テオ殿の推薦付ときている。これは、会わせぬ訳にもいくまい」
「光栄に存じます」
「昼食会には、元々『書記官』及び『外交官』の参加は認められている。事前にそのように連絡もあった事だし、どちらも国同士の対話の中においては参加必須とされる役職だ。まさかその片方が女性だとは聞き及んでいなかったが、テオ殿が認めた随行者と言う事で、誰も表立って非難はすまい」
これも、テオドル大公がこれまで積み上げてきた信頼と人脈の為せる業だろう。
ミラン王太子の声からも、とりたてて不快な感情は感じ取れない。
どちらかと言うと可もなく不可もなく、今のところはさほど関心がない――と言った感じだ。
まあ、サレステーデ王族が起こしている事件の詳細を知りたいと言う思いの方が、今は殊のほか強いに違いない。
「明日、妹主催の茶会…と言っても、テオ殿との面識がある者ばかりだが、昼間に開かれる予定だ。テオ殿にあてがわれた部屋には妹の手製の招待状が置かれているだろうが、妹には追加参加者の連絡を入れておくから、テオ殿と共に参加すると良い。護衛を見越して食事も飲み物も多めに用意されているだろうから、一人くらい増えたとて問題ないだろう」
「おお、ミルテ王女主催とは、それは光栄。もしや初めての主催では?」
もともと、着いた翌日は王族関係者との昼食会があるだろうと、テオドル大公は言っていた。
ただ年齢を考えると、主催が15歳の王女殿下とは思っていなかったのかも知れない。
それにゲーム設定では「病弱」だった筈で、主催自体可能なのか。
実際に、大公もちょっと驚いた声をあげていた。
「ああ。そのうち主催はせねばならないだろうが、侍女長が、テオ殿との茶会ならば肩肘張らずに良い練習になるのではないかと言ってきたからな。私と陛下も、それを了承したんだ」
「なるほど。では王女殿下の初めての主催を温かく見守る事といたしましょうか。確かにそう言う事ならば、妻も一緒に来られれば良かったのでしょうな」
「まあ、テオ殿が合格だと思えば、ユリア殿も交えての次の約束でもしてやってくれ。励みにもなるだろう」
……なんだろう、ここのところ、おかしな王族ばかりを見てきた所為か、ミラン王太子に後光が差している錯覚を一瞬覚えてしまった。
いや、本人の性格はまだ何とも分からないけど、少なくとも公務にはそれを反映させてこない、これまで見た中でもっともマトモな王族に見えるのは、私がだいぶ荒んでいるからだろうか。
「では、西の正面棟に案内させて貰おう」
そう言ってミラン王太子は身を翻した。
1,023
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?
和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」
腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。
マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。
婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。