546 / 785
第三部 宰相閣下の婚約者
608 突撃、お義兄様⁉
しおりを挟む
「こほん、それにしてもレイナちゃんは余程あの鳥がお気に入りなのね」
「え、だって可愛くないですか?」
淑女らしくないと一度は窘めたものの、私が素でそうやって小首を傾げれば、エリィ義母様も困ったとばかりに口を閉ざした。
「……そうね」
「本当は飼いたいんですけど、リファちゃんはレヴの飼い鳥だし、でもなかなか王都では他のコも見つからないみたいで」
そのまま放っておくと、私がまだまだリファちゃん愛を語りかねないと思ったのか、エリィ義母様はこほん、ともう一度咳払いをした。
……ちなみにコンティオラ公爵夫人は、会話についていけずに絶句したままだ。
「それはそうとレイナちゃん、今日の予定は店舗の確認だけだったかしら?」
トーカレヴァが、元特殊部隊の同僚に連絡を入れる為にリファちゃんを連れて出たのを見送って、エリィ義母様が私の予定を確認してきた。
そうですね、と私も体勢を慌てて切り替えて頷く。
「大体の希望はイフナースさんに伝えましたから、後は帰ってから業者選定のための日時をエドヴァルド様と要相談ですね」
もしかしたら今日明日は詐欺事件絡みで難しいかも知れないけど、きっと毎夕フォルシアン公爵家には顔を出すだろうから、そのうち時間は取れるだろうと思っている。
「分かったわ。なら、キヴェカス法律事務所の場所は知っていて?」
「……え」
思いがけないことを言われて、私はとっさに言葉を続けそこなった。
いや、元から「王都中心街に事務所がある」以上のことは知らないので、どのみち首を横に振ることしか出来ないんだけど。
無言のまま、私が扉近くにいたファルコとルヴェックを振り返れば、顔を見合わせた二人は、代表する形でファルコが「まあ一応」と片手を上げた。
「コンティオラ公爵夫人、お疲れかも知れませんがもう少しお付き合い頂けますかしら?邸宅へはその後で戻りたく思っておりますの」
「……私は……構いませんが……」
うん、まあ、コンティオラ公爵夫人としては、聞かれても困るだろうと思う。
基本的に選択肢はないと言っていい状態なのだから。
と、言うか。
「エリィ義母様、まさかキヴェカス法律事務所へ?」
尋ねた私に、エリィ義母様はあっさり「ええ」と答えた。
「一度邸宅に戻って愚息を呼びつけても良いのだけれど、こちらから赴いた方がキヴェカス卿に説明する手間も省けるでしょう?それに事務所に行く方が、他人から見ても立派な『依頼人』になり得るでしょうし」
「ええと……ただ、そう言うことなら……」
私の言いたいことが分かったのか、カール商会長代理が「ああ……」と、口元に手を当てて考える仕種を見せた。
「そこに私がいませんと、後で話に矛盾が出ますね」
「――と、思います」
さっき「私の紹介でキヴェカス事務所を頼る」と言う筋書きを立てたばかりだ。
カール商会長代理はしばらく頭の中で、自分の予定を整理しているようだった。
「……そうですね、一か所時間をずらして貰えば何とかなるでしょう。共に事務所まで行かせていただいて、その後は直接ギルドに行くようにすれば、自警団とも話は出来るでしょうし」
「大丈夫ですか?」
「ええ。ただまあ、淑女の皆様がたと同乗するのは畏れ多いので、こちらの商会の馬車で後ろから付いて行かせていただきますよ」
そう言ったカール商会長代理は、その一か所の商談の時間をずらして貰う依頼を出して来ると、一度部屋を後にした。
どうやらなし崩しで、ここからキヴェカス事務所に向かうことは決定したようだ。
「……お嬢さん、決定か?決定なら、ルヴェックを事務所に先触れに出すが」
「ええっと……」
そもそも予約を取っていない。
今から行きます、の先触れって意味はあるのかと思わなくもないけど、突然母親が事務所に来たらお義兄サマもさぞやビックリだろうから、ここは頷いておいた方が良さそうだった。
「うん、お願い。――で、いいですよね、エリィ義母様?」
「そうね……意味がないとか言いそうな気もするけれど、出さないよりはいいかしらね」
どうやら私と同じ事を思っていたらしいエリィ義母様は、だけど「仕方がない」と言った雰囲気満載で頷いていた。
……もしかすると、アポなし突撃で息子を驚かせたかったのかも知れないけど、そこはさすがに聞けなかった。
そうこうしているうちにカール商会長代理も戻って来たので、今度はファルコが馭者を務める形で、キヴェカス法律事務所に向かうことになった。
ファルコの隣に座る方が確実に気は楽だけど、さすがにそれは言えない。
ファルコ自身は、公爵夫人がたをエスコートしようと言う意識がそもそもないらしく、さっさと馭者席に腰を下ろしている。
そして逆に、慣れているらしいフォルシアン公爵家の護衛ステットが、馬車に乗り込むエリィ義母様とコンティオラ公爵夫人、おまけの私にまで手を差し出してくれ、三人で馬車に乗り込む形となった。
エリィ義母様が奥、コンティオラ公爵夫人がエリィ義母様の向かい側、最後私がエリィ義母様の隣――と言う順だ。
「痛みが強くなったり、御気分が悪くなられるようでしたら仰って下さいませね。この馬車で先にフォルシアン公爵邸にお送りすることも出来ますから」
本当なら、最初からそうすれば良いのだけれど、コンティオラ公爵夫人がいる方が、キヴェカス事務所の人間も信用しやすいのだ。
エリィ義母様や私だけでは、緊急性よりも嫌がらせを多く受け止められる可能性がある。
エリィ義母様もコンティオラ公爵夫人の体調を気にはしているので、馬車が動き始めてすぐのところで、一応の声がけを行っていた。
「お気遣い痛み入りますわ、フォルシアン公爵夫人。全く痛くないと言えば嘘になりますけれど、我慢出来ないほどではありません。察するに、私も同席した方が、話の通りが良いと言うことなのでしょう?元より処遇をお預けした身ですから、是非もありません」
そんな風にコンティオラ公爵夫人が気丈に答えている以上は、こちらとしてもやせ我慢の域に足を突っ込む前に気が付くよう、時折様子を窺っておくしかない。
気を付けるように、と言うエリィ義母様の無言の指示も感じたので、私は目配せをして了承の意を示しておいた。
ええ、私は空気は読めます、エリィ義母様。
「……そう言えばレイナちゃん、ウチの子になってから、まだユセフとは一言も話をしていなかったわよね?」
少し馬車が走ったところで、不意にエリィ義母様が私にそんなことを聞いてきた。
そこは悩む間もなく、私も「そうですね」としか答えられない。
「事務所に着いたら『お義兄様』と呼んでみてご覧なさい?一応手紙で知らせてはいるのだけど、何の反応もなかったから、ちょっと苦情を入れておかないとね」
「……いやぁ……」
それはどうだろう、と私は内心で苦笑した。
我ながら、事務所に山ほど仕事を投げている自覚はあるし、返事を書く暇なんかないか、返事のしようもなかったか、下手をすれば手紙そのものを読んでいないか……いずれにしても、それどころじゃない気が、ひしひしとしている。
私はむしろ「お義兄様」呼びへの反応より、更に仕事を持ち込んだことへの反応の方が、遥かに気になる。
(そろそろ「ぎゃふん」は出るかな……)
そのままのセリフが聞きたいわけではないのだけれど、とりあえず現状と反応が見たい。
三者三様の女性陣を乗せて、馬車は粛々とキヴェカス法律事務所に向かっていた。
「え、だって可愛くないですか?」
淑女らしくないと一度は窘めたものの、私が素でそうやって小首を傾げれば、エリィ義母様も困ったとばかりに口を閉ざした。
「……そうね」
「本当は飼いたいんですけど、リファちゃんはレヴの飼い鳥だし、でもなかなか王都では他のコも見つからないみたいで」
そのまま放っておくと、私がまだまだリファちゃん愛を語りかねないと思ったのか、エリィ義母様はこほん、ともう一度咳払いをした。
……ちなみにコンティオラ公爵夫人は、会話についていけずに絶句したままだ。
「それはそうとレイナちゃん、今日の予定は店舗の確認だけだったかしら?」
トーカレヴァが、元特殊部隊の同僚に連絡を入れる為にリファちゃんを連れて出たのを見送って、エリィ義母様が私の予定を確認してきた。
そうですね、と私も体勢を慌てて切り替えて頷く。
「大体の希望はイフナースさんに伝えましたから、後は帰ってから業者選定のための日時をエドヴァルド様と要相談ですね」
もしかしたら今日明日は詐欺事件絡みで難しいかも知れないけど、きっと毎夕フォルシアン公爵家には顔を出すだろうから、そのうち時間は取れるだろうと思っている。
「分かったわ。なら、キヴェカス法律事務所の場所は知っていて?」
「……え」
思いがけないことを言われて、私はとっさに言葉を続けそこなった。
いや、元から「王都中心街に事務所がある」以上のことは知らないので、どのみち首を横に振ることしか出来ないんだけど。
無言のまま、私が扉近くにいたファルコとルヴェックを振り返れば、顔を見合わせた二人は、代表する形でファルコが「まあ一応」と片手を上げた。
「コンティオラ公爵夫人、お疲れかも知れませんがもう少しお付き合い頂けますかしら?邸宅へはその後で戻りたく思っておりますの」
「……私は……構いませんが……」
うん、まあ、コンティオラ公爵夫人としては、聞かれても困るだろうと思う。
基本的に選択肢はないと言っていい状態なのだから。
と、言うか。
「エリィ義母様、まさかキヴェカス法律事務所へ?」
尋ねた私に、エリィ義母様はあっさり「ええ」と答えた。
「一度邸宅に戻って愚息を呼びつけても良いのだけれど、こちらから赴いた方がキヴェカス卿に説明する手間も省けるでしょう?それに事務所に行く方が、他人から見ても立派な『依頼人』になり得るでしょうし」
「ええと……ただ、そう言うことなら……」
私の言いたいことが分かったのか、カール商会長代理が「ああ……」と、口元に手を当てて考える仕種を見せた。
「そこに私がいませんと、後で話に矛盾が出ますね」
「――と、思います」
さっき「私の紹介でキヴェカス事務所を頼る」と言う筋書きを立てたばかりだ。
カール商会長代理はしばらく頭の中で、自分の予定を整理しているようだった。
「……そうですね、一か所時間をずらして貰えば何とかなるでしょう。共に事務所まで行かせていただいて、その後は直接ギルドに行くようにすれば、自警団とも話は出来るでしょうし」
「大丈夫ですか?」
「ええ。ただまあ、淑女の皆様がたと同乗するのは畏れ多いので、こちらの商会の馬車で後ろから付いて行かせていただきますよ」
そう言ったカール商会長代理は、その一か所の商談の時間をずらして貰う依頼を出して来ると、一度部屋を後にした。
どうやらなし崩しで、ここからキヴェカス事務所に向かうことは決定したようだ。
「……お嬢さん、決定か?決定なら、ルヴェックを事務所に先触れに出すが」
「ええっと……」
そもそも予約を取っていない。
今から行きます、の先触れって意味はあるのかと思わなくもないけど、突然母親が事務所に来たらお義兄サマもさぞやビックリだろうから、ここは頷いておいた方が良さそうだった。
「うん、お願い。――で、いいですよね、エリィ義母様?」
「そうね……意味がないとか言いそうな気もするけれど、出さないよりはいいかしらね」
どうやら私と同じ事を思っていたらしいエリィ義母様は、だけど「仕方がない」と言った雰囲気満載で頷いていた。
……もしかすると、アポなし突撃で息子を驚かせたかったのかも知れないけど、そこはさすがに聞けなかった。
そうこうしているうちにカール商会長代理も戻って来たので、今度はファルコが馭者を務める形で、キヴェカス法律事務所に向かうことになった。
ファルコの隣に座る方が確実に気は楽だけど、さすがにそれは言えない。
ファルコ自身は、公爵夫人がたをエスコートしようと言う意識がそもそもないらしく、さっさと馭者席に腰を下ろしている。
そして逆に、慣れているらしいフォルシアン公爵家の護衛ステットが、馬車に乗り込むエリィ義母様とコンティオラ公爵夫人、おまけの私にまで手を差し出してくれ、三人で馬車に乗り込む形となった。
エリィ義母様が奥、コンティオラ公爵夫人がエリィ義母様の向かい側、最後私がエリィ義母様の隣――と言う順だ。
「痛みが強くなったり、御気分が悪くなられるようでしたら仰って下さいませね。この馬車で先にフォルシアン公爵邸にお送りすることも出来ますから」
本当なら、最初からそうすれば良いのだけれど、コンティオラ公爵夫人がいる方が、キヴェカス事務所の人間も信用しやすいのだ。
エリィ義母様や私だけでは、緊急性よりも嫌がらせを多く受け止められる可能性がある。
エリィ義母様もコンティオラ公爵夫人の体調を気にはしているので、馬車が動き始めてすぐのところで、一応の声がけを行っていた。
「お気遣い痛み入りますわ、フォルシアン公爵夫人。全く痛くないと言えば嘘になりますけれど、我慢出来ないほどではありません。察するに、私も同席した方が、話の通りが良いと言うことなのでしょう?元より処遇をお預けした身ですから、是非もありません」
そんな風にコンティオラ公爵夫人が気丈に答えている以上は、こちらとしてもやせ我慢の域に足を突っ込む前に気が付くよう、時折様子を窺っておくしかない。
気を付けるように、と言うエリィ義母様の無言の指示も感じたので、私は目配せをして了承の意を示しておいた。
ええ、私は空気は読めます、エリィ義母様。
「……そう言えばレイナちゃん、ウチの子になってから、まだユセフとは一言も話をしていなかったわよね?」
少し馬車が走ったところで、不意にエリィ義母様が私にそんなことを聞いてきた。
そこは悩む間もなく、私も「そうですね」としか答えられない。
「事務所に着いたら『お義兄様』と呼んでみてご覧なさい?一応手紙で知らせてはいるのだけど、何の反応もなかったから、ちょっと苦情を入れておかないとね」
「……いやぁ……」
それはどうだろう、と私は内心で苦笑した。
我ながら、事務所に山ほど仕事を投げている自覚はあるし、返事を書く暇なんかないか、返事のしようもなかったか、下手をすれば手紙そのものを読んでいないか……いずれにしても、それどころじゃない気が、ひしひしとしている。
私はむしろ「お義兄様」呼びへの反応より、更に仕事を持ち込んだことへの反応の方が、遥かに気になる。
(そろそろ「ぎゃふん」は出るかな……)
そのままのセリフが聞きたいわけではないのだけれど、とりあえず現状と反応が見たい。
三者三様の女性陣を乗せて、馬車は粛々とキヴェカス法律事務所に向かっていた。
981
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?
和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」
腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。
マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。
婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。