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第三部 宰相閣下の婚約者
729 断罪の茶会(5)
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どうやらアルノシュト伯爵は動揺のあまり足あるいは膝をテーブルの下でぶつけていて、その音が響いていたらしかった。
何かに動揺をした――何に?
「陛下……」
まさか、とエドヴァルドの唇が動いているのも見える。
「うん? まあ、おまえの部下には当初の目的についての報告を優先して貰いたかったからな。残ったヤツに瀕死の病人を運ばせただけだ」
あくまで目的は〝痺れ茶〟在庫の捜索、病人を見つけたのは副次的効果だったと国王陛下は笑っている。
「勝手にと思うかも知れんが、派遣したヤツはそもそも茶葉の方の被害者かと思って、証拠確保として運んで来たんだ。それでは責められまいよ」
「それは……」
「ああ、そう言う意味ではもう一人今頃運び込まれているのかも知れん。そっちは最初から茶葉の被害者であることが分かっていたわけだしな」
「――――」
エドヴァルドが、反論困難とばかりに口を閉ざしている。
茶葉の被害者。
アルノシュト家の謎の病人はともかくとして、もう一人連れて来たと国王陛下が仄めかせているのは……もしかして、ナルディーニ侯爵の実弟クレト卿のことなんだろうか。
息子か侯爵本人か、どちらの主導だったかはともかく、クレト卿の妻であるデリツィア夫人を動かすために軟禁していたと言う話が事実であれば、ナルディーニ侯爵自身が王宮に呼ばれて来たタイミングを見計らって、連れ出して来た可能性がある。
気になる。
すっごく気にはなるけれど、これはきっと飲食をして茶会を成立させないことには、きっと陛下はそれ以上の手札を明かさない。
「シャーリー」
「え?」
「食べよう」
「今?」
「うん。でないと、きっと話が進まない」
一部を除いて、私たちのテーブルは別調理であることを知らされていない。
こちらから食べ始めれば、他のテーブルに対しての圧力になるだろうし、陛下が嬉々として乗っかってくるのも目に見えていた。
それに。
「そう何度もエドヴァルド様に先陣切らせるのもね……」
未だ誰も手を付けないとなれば、再び矢面に立つのはあのテーブルの誰かになる。
宰相として、イル義父様やコンティオラ公爵よりまずは自分が――と考える可能性は高い。
それがエドヴァルド・イデオンと言う人だろうから。
「レイナ……」
「よし、まずはクリームスープからいこうかな」
ホタテが浮いているわけではないところから言っても、きっとエキスか何かを利用してのクリームスープなんだろう。
小さな器に合わせた、小さなスプーンを使って中身を口へと運ぶ私に、シャルリーヌも慌てて追従した。
「…………美味し」
「そうね。お世辞抜きに美味しいわ……これ、何か隠し味入ってない? すっごく深い味わいがする」
美味しい、としか言えない私とは対照的に、さすが淑女教育か王妃教育か、シャルリーヌの料理に対する比喩は私よりも上手だった。
「スヴァレーフ、ジェイ、野菜を原材料に、あとは隠し味に魚醬を入れてある、当店のオリジナルスープです」
私とシャルリーヌが料理に口をつけたのを目にしたからか、いつの間にか〝アンブローシュ〟のコティペルト支配人が近くに来ていて、そうスープの説明をしてくれた。
「えっ、魚醤」
バリエンダールで主に流通しているのかと思いきや、海を挟んで相対しているクヴィスト公爵領やコンティオラ公爵領にも、多少の流通はあるとの話だった。
「そっか、すでに魚醤は先発の商会があるってコトですよね……」
瓶を工夫して、ユングベリ商会でも取り扱えないかと思っていたところに関しては、少し調査と話し合いが必要なのかも知れない。
「後で取り扱っている商会を教えて――というか、紹介して頂けませんか?」
「そうですね……普段であれば、あまり私どもが間に入ることはしていないのですが、本日はちょうどご本人がいらっしゃっているようですし……」
「え?」
そう言ってコティペルト支配人が教えてくれたのは、カプート子爵やコデルリーエ男爵らのいるテーブルにいる、フラーヴェク子爵が持つ商会が魚醬を取り扱っているのだと言う話だった。
「フラーヴェク子爵……」
コンティオラ公爵からの紹介を受ける機会がなかったものの、恐らくは〝痺れ茶〟でハニトラまがいの目に遭って、伯爵家を追い出された子爵兼商会長だ。
自身の復権のための裁判に関係して〝痺れ茶〟の通過を黙認した可能性があるからこそ、この場に呼ばれていたのか。
(えっ、待って待って! それなら投資詐欺事件の原告の代表になって貰う司法取引の材料が一つ増える! 彼がヒチル伯爵位に復帰するにあたって、今、フラーヴェク商会として持っている魚醤の権利を買うかシェアするかを持ちかければいいんだ!)
高位貴族と下位貴族との間には公務にも歴然とした差がある。
伯爵家の領主本人が商会の経営も行うと言うのは、まず無理だ。名前だけならともかく絶対に実態が伴わない。
何なら後ろ暗いところを持たない従業員がいればその従業員たちごと、ヒチル伯爵家を顧客とする新たな商会として、看板をユングベリ商会にかけ替えることもやぶさかじゃない。
「すみません、支配人。お手数ですがあとでぜひご紹介下さい」
そう言って軽く頭を下げた私にコティペルト支配人は笑顔で「かしこまりました」と頷いてくれた。
「魚醤の輸入と流通のメドが立ちそうなんだ?」
それまで私とコティペルト支配人との会話に耳を傾けていたシャルリーヌが、会話の途切れたところでそんな風に声をかけてきたので「そうね」と私は同意を示した。
「もともとバリエンダールででも安定した供給が難しいとは聞いていたのよ。何せきっかけが、塩漬け放置から出来た偶然の産物らしいから」
「機械化社会じゃないものね……安定供給化の途中ってことか……」
「そうそう。だからバリエンダールで塩の割合とか発酵期間とか研究する傍ら、少しずつ仕入れ販売していこうかと思ってたのよ」
だけどフラーヴェク商会として魚醬を仕入れていると言うことなら、量はともかく一定数の供給は可能な状態にあると言うことではないのか。
「あとでちゃんとお話しなくちゃ」
ここまでの流れから考えれば、フラーヴェク子爵自身はそこまで断罪はされないはずだ。
ここの料理を食べて、自ら〝痺れ茶〟を飲んで、あとは裁判の原告代表となることと商会の営業権あるいは販路の一部を手放すことで贖罪と見做されれば、それ以上は罪として何かを問われることはないと思いたいのだけれど。
「ねえレイナ、料理のバリエーションが増えたら、また試食会して? 内容によってはボードリエの父も喜ぶんじゃないかしら」
学園の食堂メニューのことを仄めかせているんだろう。
シャルリーヌの話には、私はこの場では「そうね」とだけ頷くに留めた。
今はそれ以上は話せないし、関連のある内容でもないからだ。
「じゃあ、次どれを食べる?」
「うーん……」
意識を目の前の料理に戻そうとしたそこへ、パンパンと誰かが手を叩く音がその場に響いた。
「いやはや、自ら率先して料理を口にしてくれるとは、さすが宰相の婚約者ともなれば肝の据わり具合が違う」
……料理に関しては、私のテーブルと陛下のテーブルは何の小細工もなされていないはずでは。
「水だけではなく、料理も率先して口にしようとしていた宰相とは良き夫婦となれそうだな――姉君」
ボードリエ伯爵令嬢も、聖女の代理として我が国に貢献してくれているだけのことはある……などと満面の笑みで手を叩いている国王陛下の声が、どこか遠くに響く。
ふと視線を向ければ、フォークとナイフを手に肉厚ホタテを切ろうとしていたエドヴァルドの視線と交錯した。
気付けば隣にいるイル義父様も、エドヴァルドが飲み干した水と同じであろう水の入ったグラスを手に持っている。
イル義父様もきっと私と同じように、エドヴァルド一人に背負わせるわけにはいかないと思ったに違いない。
テーブルが離れてしまっている以上は「こちらのテーブルは大丈夫」と言う意味をこめて、微笑っておくことしか私には出来なかった。
何かに動揺をした――何に?
「陛下……」
まさか、とエドヴァルドの唇が動いているのも見える。
「うん? まあ、おまえの部下には当初の目的についての報告を優先して貰いたかったからな。残ったヤツに瀕死の病人を運ばせただけだ」
あくまで目的は〝痺れ茶〟在庫の捜索、病人を見つけたのは副次的効果だったと国王陛下は笑っている。
「勝手にと思うかも知れんが、派遣したヤツはそもそも茶葉の方の被害者かと思って、証拠確保として運んで来たんだ。それでは責められまいよ」
「それは……」
「ああ、そう言う意味ではもう一人今頃運び込まれているのかも知れん。そっちは最初から茶葉の被害者であることが分かっていたわけだしな」
「――――」
エドヴァルドが、反論困難とばかりに口を閉ざしている。
茶葉の被害者。
アルノシュト家の謎の病人はともかくとして、もう一人連れて来たと国王陛下が仄めかせているのは……もしかして、ナルディーニ侯爵の実弟クレト卿のことなんだろうか。
息子か侯爵本人か、どちらの主導だったかはともかく、クレト卿の妻であるデリツィア夫人を動かすために軟禁していたと言う話が事実であれば、ナルディーニ侯爵自身が王宮に呼ばれて来たタイミングを見計らって、連れ出して来た可能性がある。
気になる。
すっごく気にはなるけれど、これはきっと飲食をして茶会を成立させないことには、きっと陛下はそれ以上の手札を明かさない。
「シャーリー」
「え?」
「食べよう」
「今?」
「うん。でないと、きっと話が進まない」
一部を除いて、私たちのテーブルは別調理であることを知らされていない。
こちらから食べ始めれば、他のテーブルに対しての圧力になるだろうし、陛下が嬉々として乗っかってくるのも目に見えていた。
それに。
「そう何度もエドヴァルド様に先陣切らせるのもね……」
未だ誰も手を付けないとなれば、再び矢面に立つのはあのテーブルの誰かになる。
宰相として、イル義父様やコンティオラ公爵よりまずは自分が――と考える可能性は高い。
それがエドヴァルド・イデオンと言う人だろうから。
「レイナ……」
「よし、まずはクリームスープからいこうかな」
ホタテが浮いているわけではないところから言っても、きっとエキスか何かを利用してのクリームスープなんだろう。
小さな器に合わせた、小さなスプーンを使って中身を口へと運ぶ私に、シャルリーヌも慌てて追従した。
「…………美味し」
「そうね。お世辞抜きに美味しいわ……これ、何か隠し味入ってない? すっごく深い味わいがする」
美味しい、としか言えない私とは対照的に、さすが淑女教育か王妃教育か、シャルリーヌの料理に対する比喩は私よりも上手だった。
「スヴァレーフ、ジェイ、野菜を原材料に、あとは隠し味に魚醬を入れてある、当店のオリジナルスープです」
私とシャルリーヌが料理に口をつけたのを目にしたからか、いつの間にか〝アンブローシュ〟のコティペルト支配人が近くに来ていて、そうスープの説明をしてくれた。
「えっ、魚醤」
バリエンダールで主に流通しているのかと思いきや、海を挟んで相対しているクヴィスト公爵領やコンティオラ公爵領にも、多少の流通はあるとの話だった。
「そっか、すでに魚醤は先発の商会があるってコトですよね……」
瓶を工夫して、ユングベリ商会でも取り扱えないかと思っていたところに関しては、少し調査と話し合いが必要なのかも知れない。
「後で取り扱っている商会を教えて――というか、紹介して頂けませんか?」
「そうですね……普段であれば、あまり私どもが間に入ることはしていないのですが、本日はちょうどご本人がいらっしゃっているようですし……」
「え?」
そう言ってコティペルト支配人が教えてくれたのは、カプート子爵やコデルリーエ男爵らのいるテーブルにいる、フラーヴェク子爵が持つ商会が魚醬を取り扱っているのだと言う話だった。
「フラーヴェク子爵……」
コンティオラ公爵からの紹介を受ける機会がなかったものの、恐らくは〝痺れ茶〟でハニトラまがいの目に遭って、伯爵家を追い出された子爵兼商会長だ。
自身の復権のための裁判に関係して〝痺れ茶〟の通過を黙認した可能性があるからこそ、この場に呼ばれていたのか。
(えっ、待って待って! それなら投資詐欺事件の原告の代表になって貰う司法取引の材料が一つ増える! 彼がヒチル伯爵位に復帰するにあたって、今、フラーヴェク商会として持っている魚醤の権利を買うかシェアするかを持ちかければいいんだ!)
高位貴族と下位貴族との間には公務にも歴然とした差がある。
伯爵家の領主本人が商会の経営も行うと言うのは、まず無理だ。名前だけならともかく絶対に実態が伴わない。
何なら後ろ暗いところを持たない従業員がいればその従業員たちごと、ヒチル伯爵家を顧客とする新たな商会として、看板をユングベリ商会にかけ替えることもやぶさかじゃない。
「すみません、支配人。お手数ですがあとでぜひご紹介下さい」
そう言って軽く頭を下げた私にコティペルト支配人は笑顔で「かしこまりました」と頷いてくれた。
「魚醤の輸入と流通のメドが立ちそうなんだ?」
それまで私とコティペルト支配人との会話に耳を傾けていたシャルリーヌが、会話の途切れたところでそんな風に声をかけてきたので「そうね」と私は同意を示した。
「もともとバリエンダールででも安定した供給が難しいとは聞いていたのよ。何せきっかけが、塩漬け放置から出来た偶然の産物らしいから」
「機械化社会じゃないものね……安定供給化の途中ってことか……」
「そうそう。だからバリエンダールで塩の割合とか発酵期間とか研究する傍ら、少しずつ仕入れ販売していこうかと思ってたのよ」
だけどフラーヴェク商会として魚醬を仕入れていると言うことなら、量はともかく一定数の供給は可能な状態にあると言うことではないのか。
「あとでちゃんとお話しなくちゃ」
ここまでの流れから考えれば、フラーヴェク子爵自身はそこまで断罪はされないはずだ。
ここの料理を食べて、自ら〝痺れ茶〟を飲んで、あとは裁判の原告代表となることと商会の営業権あるいは販路の一部を手放すことで贖罪と見做されれば、それ以上は罪として何かを問われることはないと思いたいのだけれど。
「ねえレイナ、料理のバリエーションが増えたら、また試食会して? 内容によってはボードリエの父も喜ぶんじゃないかしら」
学園の食堂メニューのことを仄めかせているんだろう。
シャルリーヌの話には、私はこの場では「そうね」とだけ頷くに留めた。
今はそれ以上は話せないし、関連のある内容でもないからだ。
「じゃあ、次どれを食べる?」
「うーん……」
意識を目の前の料理に戻そうとしたそこへ、パンパンと誰かが手を叩く音がその場に響いた。
「いやはや、自ら率先して料理を口にしてくれるとは、さすが宰相の婚約者ともなれば肝の据わり具合が違う」
……料理に関しては、私のテーブルと陛下のテーブルは何の小細工もなされていないはずでは。
「水だけではなく、料理も率先して口にしようとしていた宰相とは良き夫婦となれそうだな――姉君」
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ふと視線を向ければ、フォークとナイフを手に肉厚ホタテを切ろうとしていたエドヴァルドの視線と交錯した。
気付けば隣にいるイル義父様も、エドヴァルドが飲み干した水と同じであろう水の入ったグラスを手に持っている。
イル義父様もきっと私と同じように、エドヴァルド一人に背負わせるわけにはいかないと思ったに違いない。
テーブルが離れてしまっている以上は「こちらのテーブルは大丈夫」と言う意味をこめて、微笑っておくことしか私には出来なかった。
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