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奔走編

逃亡者、懐かしい相手と遭遇する

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僕とミアを乗せた馬車は帝都に向かって順調に進んでいた

馬車は貸し切っている。
元々は乗り合い馬車で行こうと思ったんだけど、冒険者ギルドのマスターが用意してくれた。
用意してくれたと言っても、保留にしている代金の支払いを待ってもらってる文だと言っていたので、利息の代わりだろう

断るのも良心がはばかられたので乗せてもらうことにした

馬車に揺られること3日目、僕に念話が届いた。
「ミア、緊急事態みたいだ。馬車を止めて待っててほしい」

僕はそれだけ言って声の主の元へ向かった
「えっ、お兄ち…」

ミアが何か言おうとしたようだけど、時間がないかもしれない

僕は転移のスキルを使用する

転移
行ったことのある場所へ一瞬で行くことが出来る
転移できる距離は各種ステータスに依存

逃亡者の職業は相変わらず攻撃用のスキルは覚えないが、隠れたり、逃げたりするのに便利そうなスキルはたくさん覚えた。その中の最たるものがこの転移だ。
転移で逃げる相手をどうやって捕まえるのだろうか?本当に逃亡者としての生き方をするなら僕は死ぬまで捕まらないだろう

僕は声の主の家に転移したがそこには誰もいなかった。
外に出ると広場に人が集まっていたので、近づくと目的の人物がいた。

「ルカ、大丈夫?」

「え……ハイトさんどうして?」
ルカは信じられないものを見る目で僕を見ている

「それは後で説明するよ。何かあったんじゃないの?」
僕はルカを広場から連れ出して話を聞く

「王国が攻めてくるんです。隣の村はもうダメみたいで、こっちに向かってるって」
ルカは早口で説明する。
王国か……

「数はわかる?」

「500人くらいみたい」

「村を攻めるには多すぎるね。狙いはこの先の街かな」

「かもしれません。隣の村からは襲われた後に食料とかの物資を持ってかれたようです。」

「ならこの村も目的は同じかもしれないね」

「村の人たちがどうするか話し合ってるんです。逃げるなら街まで逃げないといけないけど、食料をそれだけ持って逃げるのは準備の時間も足りないし、追ってきた時に逃げれなくなるから。でもこのまま逃げたところで多分街まで体が持たないと思う」

「状況はわかったよ。僕がなんとかするからルカはみんなを広場から出ないようにして欲しい。広場には誰も通さないから」

「そんな……相手は500人もいるんですよ。いくらハイトさんが強くても無茶です」

「心配しなくても大丈夫だよ。ルカと分かれてから色々あってね。500人くらいなら負ける気しないよ」

「本当ですか?私の為に無理するつもりじゃないですか?」

「本当だよ。ルカの為なら無理をしてもいいとは思うけどね」

「わかりました。ハイトさんを信じます。それでミアちゃんはどこにいるんですか?」

「ミアはここにいないよ。それも終わったら説明するよ」

「……私はみんなに説明してきます。ハイトさん、無理だったら私のことは気にせずに逃げてくださいね」

「そんなことにはならないから安心して待ってて」
僕はルカの頭を撫でてから、村の入り口に向かう

王国兵ってことは僕のこと知ってる人がいるかもしれないし偽装だけしとくか
僕は白髪の老人に化ける。熟練の魔法使いをイメージした

まずは出方を伺うか
僕は土魔法で村人を作り村の入り口に立たせる。
動くことは出来ないけど様子を見るだけなら大丈夫だろ

しばらく待っていると進軍してきたのがわかった
僕は先頭を歩いている4人を見て驚く

川霧と岡野と斉藤、それに姫野さんか。
姫野さんだけが異質だな
何かに怯えているようにも見える

僕は物陰に隠れて様子を伺う
すると目を疑う光景を目にする

岡野が魔法で僕が立たせた村人の頭を撃ち抜いたのだ

岡野は狩りでもしているかのように、斉藤とハイタッチしている

僕は言葉を失う。
いくら異世界に来たからってやっていい事と悪いことの判断はつくはずだ

一応鑑定をしたけど洗脳されてたりはしないようだ。

指揮をしているのは川霧だな

どうしたものか。適当にあしらって撤退させようと思ってたけど、あれを見てしまうとこのまま返すわけにはいかない。
あれは土人形だったけど、隣の村の人はああやって殺されたのだろう。

わからないのは姫野さんだな。白なのか黒なのか。

僕は姿を見せる

僕を見つけるとゲームでもしているかのように今度は斉藤が魔法を放ってきた

魔法は僕の頭を直撃した
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