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新世界

勇者パーティ、新たな旅路へ

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「——ッ!」
 
 ここは……? 確か私はビヒュルデに黄金化されて……ベルセルク王を……。
 
「——助けなきゃ!」
 
 私が目覚めるとそこは宿の一室だった。あ、あれ? 私確か……王の宮殿にいたはず……。
 
「目覚めたんだね、ミズシマちゃん」
 
 そう言って私に話しかけてきたのは、アリーゼだった。
 
「アリーゼ! 王は! ベルセルク王はどうなったの?!」
 
「死んだよ」
 
 アリーゼはただ真面目な表情で言った。私はそれを簡単に受け入れる訳もなく、
 
「——ッ!? う、嘘だ」
 
 とアリーゼに言うと、彼女は事の経緯を私に説明してくれた。
 
「ミズシマちゃん、君はあの日から2週間昏睡していたよ、それでこの2週間でベルセルク王からその息子アスタリスクが王に即位したよ。そして、今日はベルセルク王の葬式さ」
 
「……そう……なんだ、ビヒュルテは倒したの?」
 
「分からない、だがこの2週間は魔族達は襲ってきてないから安心はしていいと思う」
 
「……そうなんだ」
 
 私が言うと、アリーゼは真剣な眼差しで、
 
「ミズシマちゃん、起きたばっかりで悪いけどベルセルク王の葬儀に参列してくれるかな?」
 
「う、うん分かった」
 
 ※
 
 ベルセルク王の葬儀には沢山の市民と、他の国々の要人達が参列していた。その場の誰もが涙を流して、それをハンカチで拭いていた。こんなにも慕われていたのだと心から分かった。
 
 そして、その場にいた市民たちは涙を流しながら、献花を供えていく。私があの時ビヒュルデを足止めできていれば、と何度も思ってしまう。
 
「そう気に病まなくていいミズシマちゃん、これは仕方がなかったことだ。誰にも予想出来なかったんだ」
 
 アリーゼは涙ひとつ流さず言う。
 
「アリーゼ……」
 
 そんな話をしていると、私たちが献花をする番が来た。アリーゼは何一つ表情を崩さないまま花を取り、私とムートも花を取る。
 
 花を取った私は棺に入ったベルセルク王の手付近に花を添える。
 
「短い間だったけど、お世話になりました」
 
 私が言い終えると、次はムートが花を添える。
 
「貴様に剣を教えたのは後悔はしてないぞ、安らかに眠ってくれ」
 
 ムートもそう言葉を王に言い残し、アリーゼは花を王の顔の隣に置いた。
 
「またいつか……いやあの世でまた酒を交わそう、仇は必ず討ち取る、さらばだ友よ」
 
 一切表情を崩さなかったアリーゼ、だが彼女の方に視線を送ると、彼女は王の死を惜しむように歯を食いしばり、左手を握りしめていた。
 
 ※
 
 ベルセルク王国が見えるとある崖にて。
 
「……生きていたんですね」
 
 私がそこに現れた者に言うと、
 
「貴方も生きていたんだ、イザナギ」
 
 ビヒュルデは顔に深い傷を負いながらも、元気な様子で立って居た。何故生きているのか疑問に思っていると、ビヒュルデはそれを察し言った。
 
「なんで私が生きてるのか気になってるようね。スライムの特性を使ったのよ、スライムは斬撃や打撃を食らっても爆散し、破片となった体の一部を集めれば復活する特性、私はそれを使ってなんとか生き延びた……でも何故か顔の傷だけはあの勇者の特殊な剣の効果で修復できないのよね」
 
「そうなんですか」
 
「それより、貴方はどうやって生き延びたの?」
 
 ビヒュルデがそう聞いてきたので、私は水島に敗れた時にテアラ様に助けられたことを話した。
 
「貴方のボス結構有能なのね、羨ましいわ」
 
「これからどうするのですか?」
 
「うーん、魔王様の任務の国を食らうことは失敗したけど、王は殺せたから結果オーライね、私はまた一人で人間の心臓を食べる旅を続けるわ、貴方はどうするの?」
 
 とビヒュルデは聞いてきた。あの日テアラ様に助けられて言われた事を守るならば、
 
「私も着いて行きます、テアラ様の命令もあるので」
 
「そう、じゃあぼちぼちここを離れるわよ」
 
 そう言って彼女は近くにあった森の中へ入っていく。私も彼女の後を追うように森の中に入った。
 
 ※
 
 ベルセルク王国の王室にて。
 
「本当に行かれるんですね」
 
 アスタリスク王がアリーゼに言う。
 
「はい、もう厄介事は終わりましたので、私たちは旅を続けながら魔王を討伐して参ります」
 
「わかりました、気をつけて行ってください。あと父の仇を討ってくださいアリーゼ様」
 
「はい、ビヒュルデは絶対に私の手で葬ります」
 
 アリーゼはアスタリスク王との会話を終え、私たちは宮殿を出て、宿に戻り国を出る支度をした。
 
「さて、次の旅路に向かおうか」
 
「うん」
 
「そうだな」
 
 アリーゼの言葉に私とムートが言うと、私たち勇者パーティは新たな旅路に向かう一歩を踏み出した。
 
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