私のお猫さま 25歳を迎えて猫又さまになりました

月見こだま

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第四部

03:キジトラの証言1

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 わたしの問いかけに、――シン、と沈黙が落ちた。
 ミケは自分が呼ばれたと思ったのか、『にゃあ』と一声鳴いたけど。

「あ、ミケのことじゃなくって……って、ややこしい……」

 化け犬が『みけ様』と呼んでいたから、猫又食いも『みけ』という名前のはずだ。――つまり、三毛猫なのだろうと思った。
 かといって、『猫又食い』と呼ぶのに、既に違和感があった。

(どうしよう)

「――花屋敷さん」

 ふと、その場にいなかったはずの人の声。

 声の方を見ると、そこに居たのは。

「神谷さん……!」
「直樹……」

 神谷さんだった。その隣には、少し体の大きい、キジトラ柄の猫。
 その猫のしっぽは――

「ふな!?」

 ミケのしっぽがピンと立った。

「猫又二十年目の次郎です。よろしくお願いします。お嬢さん、驚かせてすいません」
「次郎!」
「裕子、悲しいだろうけど、本来くるべき別れだ。泣き止みなさい」

 二股のしっぽのキジトラは、裕子さんにそう言った。猫又二十年――きっとこの子は、この場に残されたもう一人の子だ。

「ずっと黙っていましたが、私が疑問にお答えします」
「次郎、どういうことだ」
「クロにもずっと言えませんでした。私のせいで、猫又食いと戦うことになったのですから。ですが、言うべき時が来ました」

 次郎くんのしっぽが、迷うように床を撫でる。

「戦うって――そういえば……」
「ええ。私を守るために、クロは戦いました。――私は、ここで最初に保護された猫又なのです」
「お嬢さんには少々、退席願いたいのですが――」
「ミケ、俺と向こう行こう」
「んにゃ!? どうしてにゃ!!」
「おやつあげるから」
「お二人はどうぞこちらへ。次郎、こちらは任せなさい」
「ふなあ!!」
「ミケちゃんはささみとお魚どちらが好きかな」
「ささみですね」
「ささみ!」

 ミケの耳がぴくっと動く。――どうやら、おやつに釣られたらしい。
 神谷さんと若葉はこちらを気にしつつ、ミケを連れて行った。――ミケがいると、不都合なことがあるのかな。

「――次郎」
「はい。――まず、シロのことですが――。外へ出るときに見送ったのは私です」

 促されて、口にした言葉に全員が言葉を失くした。

「なぜ」

 裕子さんが、信じられないと言う。だけど、わかる気がした。きっとそれが、さっきの引っ掛かりの正体。



「シロが望んだからです」

 次郎くんが、静かに告げる。




「シロだけではありません。『猫又としての生を終わらせたい』――そう望んだ猫たちにとっては、『みけ』が救いだったのです」

 シロくんが、肯定するようにか細く鳴いた。

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