愛することはない?教育が必要なようですわね!?

ゆるぽ

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原因判明?

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予約設定を間違い、明日(9/23)公開の話を先に後悔しておりました。
こちらが今日(9/22)のお話です。

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「これはだいぶ予想外だわ…」


鉄拳制裁上等!とテンションMAXだったシンシアはジンからの報告書を見て一気にテンションがゼロにまでさがってしまっていた。



「お気持ちは分かります。正直わたしも意外でした」




ジンの調査によれば、レイモンドが愚かになった原因は



学園で流れていた噂については単純にクラスメイトの令嬢と話しているところを見たクラスメイトの令息が、冗談で「2人は真実の愛w」といったのが尾ひれがついて拡散されたものだった。


それについてはクレアが言っていた通りレイモンドの適切な処置のおかげですぐに誤解が解けていた。




「…ここまでなら普通に優秀なのに…何がきっかけで人が堕ちるかなんてわからないものね…」



その後しばらくは何もなかったのだが、クラスメイトから勧められた流行りの小説を読んでからだんだんと行動がおかしくなっていった。


レイモンドが読んだ小説は悪役令嬢シリーズと呼ばれるシリーズ物で、話ごとに主人公が変わる恋愛もの。恋の邪魔をする悪役令嬢という困難を乗り越え運命の相手と結ばれるという流れの大衆小説だ。


シンシア自身も暇つぶしとしてたまに読んでいるが、ノリが軽くさらっと読めるエンタメ性の強い作品と認識しており高く評価していた。




「子供が読んでも明らかに作り話フィクションだとわかるように構成された作品でどうして、影響なんて受けちゃったのよ…」




悪役令嬢シリーズを読んでからのレイモンドは、真実の愛こそが素晴らしいと言い出したり、最近養子になったことで男爵令嬢になった少女にたいして「親から虐待されているんだろう!僕が守ってあげる」と付きまっているという。


特に男爵令嬢に対する付きまといについては今のところバレないように立ち回っているのか、令嬢本人以外には認識されていないのでそこまで問題にはなっていないが放っておけばとんでもないことになるだろう。


ついこの間まで平民で男爵令嬢になったばかりの少女のストレスを思うとシンシアは悲しくなった。


早く対処しなければ。






「…ねえジン…わたくしはてっきりレイモンドが誰かにたぶらかされて道を踏み外したと思ってたの。でも真実は物語に影響を受けて勝手にアホウになっただけって…現実はなんて残酷なのかしら…」


「そのことについてなのですが、個人的な見解を述べてもよろしいでしょうか?」


「ええ、かまわないわ」





ジンが調べたところ、悪役令嬢シリーズを読むまでレイモンドは大衆小説というものを読んだことが一度もなかったらしい。

そもそもの話としてレイモンドは今までずっと勉学など次期当主として必要な知識や技術を得ることに集中していたため大衆的な娯楽そのものに触れる機会が無かったのだ。


ヴィオーラ侯爵家にそういった娯楽品が無かったわけでもなければ、特別禁止していたわけでは無いのだが家庭教師の「遊びは勉強が終わってから」を忠実に守った結果。


勉強を頑張る→頑張りすぎて終わるころにはへとへと→娯楽を愉しむ余裕がない。という悪循環が生まれていた。


そう、彼が堕ちたのは真面目過ぎるが故であったのだ。






「…というのが個人的な意見です」

「…なるほどよく分かったわ」





親が子に何かしらの禁欲を課すと強い反動があることがある…と聞いたことがある。


例えばお菓子を一切食べさせないようにすると、大人になって自由に食べれれるようになってからお菓子をとんでもない量食べるようになってしまい何キロも太ってしまったとか。


レイモンドについては直接禁止にはしていないものの、彼の真面目さもあって結果的に娯楽に対して禁止していたのと同じ状態になっていたのだ。


初めて触れる世界に全く免疫のないレイモンドの心には防ぐすべなどなかったといえよう。


だがそれでも疑問は残る。




「物語の影響でレイモンドが男爵令嬢をヒロイン、レンシア嬢を悪役令嬢だとおそらく認識してしまっているとして、どうしてすでに結婚してるなんて思っているのかしら?」


「それに関してはおそらく些細な原因による勘違いであると予想しているのですが、些細なことのためいまだ確証が得られておりません。もう少しお待ちください」


「…面倒ね」

「面倒とは?」


「大方原因は分かったのだし、これ以上こまごま調べるのは面倒くさいでしょう?さっさと本人に聞いた方が早いわ」



そういってシンシアは立ち上がると使用人を呼ぶベルを鳴らした。



「今日のディナーでネタ晴らし。明日から再教育よ」



そういったシンシアの顔は悪魔のごとく。だが側にいたジンがそれを指摘することはない。


触らぬ主にたたりなし。
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