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第三章 戦う意志と覚悟
19話 ミュカレー
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ミュカレーと呼ばれた人が、アキラさん刀を後ろを向かずに何らかの魔術を使って受け止める。
それと同時に、凄まじい暴風が巻き起こり診療所の窓ガラスが割れ近くに居たダートとコルクが体制を崩して吹き飛ばされるけど異変に気付いたジラルドが、急いで向かっていたおかげで何とか二人を体全体を使って受け止める事が出来た。
……ぼくはと言うと、悲しい事に状況に追いつけずに動けないままだ。
「いきなり切りかかって来るなんて怖いわね……、何をそんなに怒っているの?」
ミュカレーがゆっくりと振り向くとアキラさんに話しかける。
その顔は懐かしい友人を見ているような親しい相手に接するような雰囲気を出していて困惑してしまう。
「……もう一度言うぞ、何故貴様がここにいる?」
「あら、久しぶりに会ったのに冷たいのね」
「……答える気は無いのだな?」
「以前同じ組織に居たのに詰め居たのね……、本当は隠した方が良いのだけれどどっちみち後で分かるだろうから教えてあげる。、マスカレイドに頼まれて異世界から来たというダートっていう女の子が研究の為に必要だから連れて来て欲しいって言われてね?調べていたらルードからこの町に居たって言うじゃない?だから捕獲しに来たのよ」
今この人は何て言った?ダートを捕獲しに来た?
それにマスカレイドから異世界人と言う事を聞かされていて、研究の為に必要だって彼女に何をする気だ。
もし連れていかれたら絶対碌な事にはならないだろうから守らなければと思ってダートの元に向かうと……二人を受け止めた時に打ちどころが悪かったのか意識の無いジラルドに彼を必死に起こそうとしているコルク、そしてぼくに向かって縋り付くようにしがみ付いてくるダートがいた。
「レ、レース……違うの、私異世界の人じゃ……」
「ダート落ち着いてっ!」
「お願い違うのっ!だから嫌いにならないで……」
駄目だ、完全に錯乱している。
知られるのがそこまで怖かったのか……その程度でぼくがダートを嫌う事なんて無いのにって思うけど、これは今迄のぼくの行動のせいなのかもしれない。
何とかして落ち着かせてジラルドを起こしてアキラさんの所に行かないと……
「例えダートが異世界から来た人でも、ぼくがダートを嫌いになる事は無いから大丈夫だよ……」
「……ほんと?信じていいの?」
「頼りないかもしれないけど信じて欲しい」
「わかった……信じる」
「ありがとう……」
ダートはそういうとしがみ付くのを止めてその場に座り込んでしまって立ち上がろうとしない。
いったい次はどうしたのだろうか……
「えっと……、何か安心したら腰が抜けて動けなくなっちゃった……」
「あぁ……うん、それならここでジラルド達が起きるまで二人で守って貰ってていい?あの倒れ方だと頭を打っていないからその内目を覚ますだろうし……」
「分かった……、怖いけどコーちゃんと二人で何とかするね」
「ありがとう……じゃあ、力になれるか分からないけど行ってくるね」
取り合えずダートが落ち着いてくれて良かった……。
そんな事を思いながら、にらみ合ったまま動かない二人の所に向かう。
「……愛しの彼女さんとのやり取りはもういいの?見ていて面白かったけど、戦いの場でやるのはどうかと思うわよ?」
「えっ?……すいません」
まさか敵に注意をされる事になるなんて思わなかった。
何なんだこの人は……理解が出来ない。
「その割には私がこうやって牽制していなかったら危害を加えていたのだろう?」
「当然じゃない、私は結果的にどのような形であれ戦う事が出来ればそれいいの……考えてみてよアキラ、親しい人が目の前で息絶えたらダートはどんな顔をすると思う?多分激昂して私に襲い掛かってくるでしょ?」
「堕ちたものだな……、貴様が栄花騎士団の最高幹部だった頃はそうではなかっただろう」
「当然よ、相手から常に戦いを挑んでくれるのよ?あれ程恵まれた環境は無かったわ?……まぁ、最終的にバレて追い出される事になったのは計算違いだったけどね」
このやり取りを見て思う事は、このミュカレーって人は狂ってしまっているという事だ。
多分……戦う事でしか自分を満たす事が出来ない人なのかもしれない、しかも自分の為なら幾らでも他人に危害を加える事が出来る狂気をはらんでいる。
「ミュカレー、貴様は壊れている」
「酷いわね……、昔は私の事をキクって呼んでくれる位に仲が良かったのに悲しくなるわ?」
「あの時の貴様は、次期副団長候補と言われる程に尊敬できる人物だったからな……、とは言え騎士団を退団させられて以降冒険者になりAランクになったと当時試験官を担当したケイから聞いた時は心を入れ替えたのかと思ったが……やはり人の性質は変わらないのだな」
「当然よ……。人には生まれ持った性質と環境によって養われた性格があるわ?後者はいくらでも本人の努力次第で変えられるだろうけど前者が変わるわけないじゃない」
と言う事はこの人は生まれ持った性質の部分が最初から歪んでいたのだろうか……、そしてその歪んだ部分を埋めてくれる環境が無いまま育ってしまったのかもしれない。
もしかしたらぼくもダート達に会えなかったらそうなっていたのだろうか……
「それよりもこんなに長話していていいの?……アキラは私の能力を知っているでしょう?」
「覚えているさ、心器は風で編んだ刀で特性切断と得意の風属性の魔術を合わせた遠近関係ない一撃必殺を得意とする……そして闇天が示すように、その能力は暗闇に紛れて魔術で空に飛びあがり天から一方的に風の刃で蹂躙するのだろう?」
「良くできました……では遊びましょうか」
……ミュカレーはそういうと周囲の大気を巻き込んで行き手元に心器の刀を顕現させるたけど、ぼくの眼には獲物は持っている事を意識することで辛うじてそこに武器があると分かる程度で攻撃されたら防げないと思う。
ルードの時は何とかなったけど今回はあの時よりも危険かもしれないと警戒をすると唐突に風属性の魔術を使い飛び上がりぼく達の方では無く、ダート達の方へ襲い掛かった。
それと同時に、凄まじい暴風が巻き起こり診療所の窓ガラスが割れ近くに居たダートとコルクが体制を崩して吹き飛ばされるけど異変に気付いたジラルドが、急いで向かっていたおかげで何とか二人を体全体を使って受け止める事が出来た。
……ぼくはと言うと、悲しい事に状況に追いつけずに動けないままだ。
「いきなり切りかかって来るなんて怖いわね……、何をそんなに怒っているの?」
ミュカレーがゆっくりと振り向くとアキラさんに話しかける。
その顔は懐かしい友人を見ているような親しい相手に接するような雰囲気を出していて困惑してしまう。
「……もう一度言うぞ、何故貴様がここにいる?」
「あら、久しぶりに会ったのに冷たいのね」
「……答える気は無いのだな?」
「以前同じ組織に居たのに詰め居たのね……、本当は隠した方が良いのだけれどどっちみち後で分かるだろうから教えてあげる。、マスカレイドに頼まれて異世界から来たというダートっていう女の子が研究の為に必要だから連れて来て欲しいって言われてね?調べていたらルードからこの町に居たって言うじゃない?だから捕獲しに来たのよ」
今この人は何て言った?ダートを捕獲しに来た?
それにマスカレイドから異世界人と言う事を聞かされていて、研究の為に必要だって彼女に何をする気だ。
もし連れていかれたら絶対碌な事にはならないだろうから守らなければと思ってダートの元に向かうと……二人を受け止めた時に打ちどころが悪かったのか意識の無いジラルドに彼を必死に起こそうとしているコルク、そしてぼくに向かって縋り付くようにしがみ付いてくるダートがいた。
「レ、レース……違うの、私異世界の人じゃ……」
「ダート落ち着いてっ!」
「お願い違うのっ!だから嫌いにならないで……」
駄目だ、完全に錯乱している。
知られるのがそこまで怖かったのか……その程度でぼくがダートを嫌う事なんて無いのにって思うけど、これは今迄のぼくの行動のせいなのかもしれない。
何とかして落ち着かせてジラルドを起こしてアキラさんの所に行かないと……
「例えダートが異世界から来た人でも、ぼくがダートを嫌いになる事は無いから大丈夫だよ……」
「……ほんと?信じていいの?」
「頼りないかもしれないけど信じて欲しい」
「わかった……信じる」
「ありがとう……」
ダートはそういうとしがみ付くのを止めてその場に座り込んでしまって立ち上がろうとしない。
いったい次はどうしたのだろうか……
「えっと……、何か安心したら腰が抜けて動けなくなっちゃった……」
「あぁ……うん、それならここでジラルド達が起きるまで二人で守って貰ってていい?あの倒れ方だと頭を打っていないからその内目を覚ますだろうし……」
「分かった……、怖いけどコーちゃんと二人で何とかするね」
「ありがとう……じゃあ、力になれるか分からないけど行ってくるね」
取り合えずダートが落ち着いてくれて良かった……。
そんな事を思いながら、にらみ合ったまま動かない二人の所に向かう。
「……愛しの彼女さんとのやり取りはもういいの?見ていて面白かったけど、戦いの場でやるのはどうかと思うわよ?」
「えっ?……すいません」
まさか敵に注意をされる事になるなんて思わなかった。
何なんだこの人は……理解が出来ない。
「その割には私がこうやって牽制していなかったら危害を加えていたのだろう?」
「当然じゃない、私は結果的にどのような形であれ戦う事が出来ればそれいいの……考えてみてよアキラ、親しい人が目の前で息絶えたらダートはどんな顔をすると思う?多分激昂して私に襲い掛かってくるでしょ?」
「堕ちたものだな……、貴様が栄花騎士団の最高幹部だった頃はそうではなかっただろう」
「当然よ、相手から常に戦いを挑んでくれるのよ?あれ程恵まれた環境は無かったわ?……まぁ、最終的にバレて追い出される事になったのは計算違いだったけどね」
このやり取りを見て思う事は、このミュカレーって人は狂ってしまっているという事だ。
多分……戦う事でしか自分を満たす事が出来ない人なのかもしれない、しかも自分の為なら幾らでも他人に危害を加える事が出来る狂気をはらんでいる。
「ミュカレー、貴様は壊れている」
「酷いわね……、昔は私の事をキクって呼んでくれる位に仲が良かったのに悲しくなるわ?」
「あの時の貴様は、次期副団長候補と言われる程に尊敬できる人物だったからな……、とは言え騎士団を退団させられて以降冒険者になりAランクになったと当時試験官を担当したケイから聞いた時は心を入れ替えたのかと思ったが……やはり人の性質は変わらないのだな」
「当然よ……。人には生まれ持った性質と環境によって養われた性格があるわ?後者はいくらでも本人の努力次第で変えられるだろうけど前者が変わるわけないじゃない」
と言う事はこの人は生まれ持った性質の部分が最初から歪んでいたのだろうか……、そしてその歪んだ部分を埋めてくれる環境が無いまま育ってしまったのかもしれない。
もしかしたらぼくもダート達に会えなかったらそうなっていたのだろうか……
「それよりもこんなに長話していていいの?……アキラは私の能力を知っているでしょう?」
「覚えているさ、心器は風で編んだ刀で特性切断と得意の風属性の魔術を合わせた遠近関係ない一撃必殺を得意とする……そして闇天が示すように、その能力は暗闇に紛れて魔術で空に飛びあがり天から一方的に風の刃で蹂躙するのだろう?」
「良くできました……では遊びましょうか」
……ミュカレーはそういうと周囲の大気を巻き込んで行き手元に心器の刀を顕現させるたけど、ぼくの眼には獲物は持っている事を意識することで辛うじてそこに武器があると分かる程度で攻撃されたら防げないと思う。
ルードの時は何とかなったけど今回はあの時よりも危険かもしれないと警戒をすると唐突に風属性の魔術を使い飛び上がりぼく達の方では無く、ダート達の方へ襲い掛かった。
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