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第七章 変わりすぎた日常

3話 姉のような人

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 この後も一人で愚痴を言いだすソフィアを見て色々とストレスが溜まってるんだろうなぁって思うけど、彼女の場合は吐き出せば落ち着くから言わせるだけ言わせといてあげた方がいいだろう。
そもそも師匠も師匠で、こんな溜め込みやすい人を診療所で働かせているのかと疑問になるけど、どうせ人前に出てストレス耐性を上げる修行だとかそんな理由なんだろうなぁ……。
でも留学が急に決まったって、国と国の交友関係を考えたら断れなかったのかもしれない。
それに彼女はこの国で師匠を除いたら一番の知性を誇る本物の天才だからこそ、こうやって色々と溜め込みつつも理性的な部分で動いた結果の筈。

「……ふぅ、レースさんはやっぱりいいですね、私がこうやって色々とストレスを溜め込んだらカルディア様と違って黙って聞いててくれるのだもの」
「レースは、ソフィア様が愚痴を言ってる時に残念な人って言ってましたよ?」
「そんなっ!?私残念じゃないですよ!?確かに王城内でも大臣や騎士隊長達に焦るとポンコツになるって言われますけどちゃんとやってるんですからねっ!、私のそういう所もう10年以上の付き合い何ですから分かってるでしょう!?それにカルディア様のお屋敷に居た時は敬語何て使わなかったのにどうしてそんなに丁寧な口調で話すのっ!?、あの時みたいに仲良くしてよー、その為に態々カルディア様にも効果がある程に高度な防音魔術を使ったんだよ?」
「……あなたはもう王位を継承してこの国の王になったんだから言葉遣いを気を付けるのは当然でしょ?、特にダートと出会ってから色々と知ったんだけどこういう時の距離感は大事なんですよ、親しき仲だからこそ礼儀が必要なんだと思うんです」

 この人と初めて出逢った時はまだ魔王ではなくぼくの中ではただの女の子だったから気にしてなかったけど、今やこの国の王になった彼女に対してそんな砕けた口調で話す何て事が出来る訳がない。
とはいえぼくと7つ程しか違わない彼女は当時まだ小さい子供の時に魔術と治癒術を学ぶ為に必要な学園に幼くして入学する事が許可されたり、更には短期間で学園で首席卒業したりと色んな伝説がある人だけど、根は誰よりも努力家である事を知ってるからぼくからしたら血の繋がっていない姉のようなものなのかもしれない……、そう思うと確かにソフィアの言うように少しだけ砕けた口調で話してもいいのかも?って思うけど本当にいいのだろうか。

「えっと、さっきからいつも以上に表情がころころと変わってるけど大丈夫?」
「え?あぁうん、この人と出会った時の事とかを思い出してたら、そういやこの人は姉みたいな距離感の人だったなって思い出してさ、口調を崩すかどうか悩んでたかな」
「……へぇ?、ソフィア様がお姉さんみたいな人なんだ?」
「あのぅ、ちょっとダートさんの雰囲気が怖いのですが……」
「あ、ごめんなさい、私のレースの過去を知っている人が目の前にいると思うとちょっと思う事がありまして」

 何だろう、残念な姉と何故か嫉妬心を剥き出しにしているダートがぼくの前にいるという光景を理解することが出来ない。

「あら?もしかして私がレースさんのお姉ちゃん的な立場なのを知って妬いてますー?、そうですよぉ?私は彼の事をまだこーんな小さい頃から知ってるんですよぉっ!羨ましいですか?」
「羨ましいですけどそんな過去よりもこれからのレースを見て行けるのでそれで満足です」
「あら、ダートさんは凄い良い子なんですね、将来私みたいな美人さんになれますよっ!」
「美人になると言って貰えるのは嬉しいのですけど、五大国会議の時皆の前で躓いて顔から転んだ人に言われても何ていえばいいのか分からないです」
「あ、あの時はですねっ!ずっと座って本を読んでたら会議に送れそうになっちゃってっ!急いで立ち上がって転移の魔術で栄花まで飛んだら、脚が痺れちゃってて上手く歩けなかっただけなんです……」

 ダートが何とも言えない顔でこっちを見るけど、多分ぼくと同じ事を思っている気がする。
何ていうか……、何て言えばいいのか、そう

「「……残念な人」」
「あぁっ!?二人して私の事を残念ってっ!でもちゃんとやる事はやってるので普段は知的美人なお姉さんなんですよ!?」
「うん、それは知ってるから大丈夫だよ……、でさ視察の意味は何となく分かったけど何でここが都市になったの?」
「お、やっと砕けた口調になりましたねっ!ふふんっ!昔を思い出しちゃって嬉しくなっちゃいますって、えっと町が都市になった理由ですが、それはですねぇ、この都市にトレーディアスやストラフィリアの王族であるレースさんの滞在、流石に町に他国の王族を滞在させるわけには行かないので都市にする事にしました……、その結果ミオラーム様が興味を持って来る事になる何て思いませんでしたけどね」
「なるほど……、でも都市って言ってもこの近辺は未開の森ばかりだから色んな問題があるんじゃない?」

 色んな問題がと言った瞬間にソフィアの眼の光が消える。
これはもしかして触れては行けない事に触れてしまったのかもしれない……

「問題ばかりだよぉ、何か有名な傭兵団の【死絶傭兵団】がこの都市にいきなり来たと思ったら、今日からここを拠点にするから宜しくと言い出して国籍の変更申請をして来たおかげでこの国所属のSランク冒険者が増えて二人になっちゃって、他国とのパワーバランスが崩れちゃうしさぁ、それに更には教会にトレーディアスに滞在していた筈の【教皇】ミコト様が何故か滞在なさる事になって、あちらの教会側から返還要求が定期的に来てますけどこれに関しては強制力は無いので無視してますが……、このまま帰さない場合はメセリーで新たに治癒術師の資格を得た者を今後教会で受け入れないって言いだしてるので、そのうちあちら側が自滅するでしょうね。あとあとぉっ!」
「……後?」
「問題という訳では無いのですけどぉ、カルディア様とマスカレイド達の娘さん、マーシェンス所属のSランク冒険者【宵闇 フィリア・フィリス】がミオラーム様の護衛としてこの国にくるそうですよ、覚えてますか?レースさんが首都に居た時にたまに帰って来てたりしたあのハーフエルフの女の子」
「あぁ……、そうなんだ」
「えっ!?お義母様に娘が居たのっ!?私今初めてしったよ!?」

――ダートが驚いて大きな声を出すけどしょうがないと思う。
あの人は人と接するのが苦手な人だから帰って来ても滅多に姿を見せないし、何よりもハーフエルフという珍しい種族のせいで迫害を受けやすいとの事で、普段は変装して姿を変えている。
でも、そんな人との交流に難がある人がマーシェンスの王様の護衛とは珍しいと驚くのだった。
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