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第05話 第2王子のへそくり?
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声の主は後ろからそっと近づいてきた第2王子ドベールだった。
――不味いわ!流石に王子殿下に聞かれるなんて!――
ソクラノ王国広しと言えど第2王子ドベールほどに【悪戯】が好きなものはいないと言われて久しい。御年も40を超えていると言うのに、細君のゲルニカ妃も諦めている無類の悪戯好き。
その悪戯好きはどうやら息子であるチェサピックにも遺伝をしているようで、チェサピックもドベールに負けず劣らずの悪戯で貴族からは恐れられていた。
ただ、チェサピックはドベールの実子ではなく、ドベールの妻(妃)であるゲルニカ妃の連れ子である。
ゲルニカ妃を召し上げるまでドベールは長兄である王太子とどちらが王位に就くかを争っていた。騎士団に所属していたドベールは戦で戦死した部下の妻と結婚をした。
ドベールを庇って被弾した部下。攻撃を受ける前夜、身重の妻をいつも自慢げに語りボロボロになった絵姿を胸ポケットに入れていた。
その妻の連れ子がチェサピックだが、この結婚を許可してもらうにあたり、王位継承レースを辞退したと言われている。
国王のダルアシンが何も言わないのは、その悪戯で暴かれるのが貧困ビジネスであったり、国金の横領であったり、他国との不正貿易であったりと結果的に【国のため】になっているからだった。
――そう言えば政略的な貴族間の結婚にも物申すと言ってたわ――
貴族の結婚は親が決めた者同士が結婚となる事が多く、それが原因で後継と言う役目を産んだ後はその子供を乳母や使用人に放り投げて放蕩をする者が多い。
ピレニーが領地に行っている間、一度だけ母親のポラニアンがやって来て1か月過ごした事があった。疑惑は解けたが父親が浮気をしているという疑念があり、腹を立てたポラニアンが離縁覚悟で別居生活を選んだことが原因。
『誤解だよ!僕には君しかない。よく判っているだろう?』
『だったら!その肌にある赤い斑点は何なのです!』
梅毒が流行っていた事もあり、父の肌に出た赤い斑点と外泊が多かった事が疑いを持たれた要因。
『誤解だってば!これは蕁麻疹なんだ!』
『ほぅ!蕁麻疹とな?都合の良い蕁麻疹ですことっ!』
蓋を開けてみれば、妻と老後を過ごす古びた屋敷を購入したのは良いけれど日帰り出来るような場所でもなく、使用人に任せ切ってしまうのも違うと思ったモコ伯爵は自ら生え放題の庭の草を刈ってマダニに刺され、疲れ果てて眠ればノミと虱に刺される悲劇。
愛する妻を追いかけて領地までやって来て本当の事を暴露すれば・・・。
『まだ20代なのに今から保養ですって?!』と、呆れられた。
両親の疑惑は払拭されたのだが、それだけ貴族の間には不貞行為がまかり通っていて、今や不貞行為は見つからないようにすれば問題がないとまで解釈をされていた。
何時の時代も流れを変えるのは年若い者達。
ピレニーの父親たちの代で見つからないようにすればと言う考えを、レオカディオとアエラは周知の事実とする事で新しい風を吹かせようとしているのかも知れない。
なんて事を考えながらも、目の前にドベールがいる事実は変わらない。
愛想笑いで逃げようかとするも、待っている馬車はまだ来ない。
ゆっくりと近づいてくるドベールは眩しいほどの美丈夫。
アリサがサッと後ろに引くのをピレニーは気持ちで引き留めるが気持ちは届かない。
「さて?楽しそうな話じゃないか」
「お、伯父さま・・・」
「可愛い姪っ子がなにやら楽しそうな会話をしているのが聞こえたんだが?」
「あ~・・・今日はお日柄も良さそうですわ」
「だからかな?楽しそうな話が聞こえたんだ」
「え~・・・そうそう!伯父さまのご子息はお元気?」
「チェサにも楽しい話を聞かせてやりたいと思うほどに元気だな」
母親ポラニアンのすぐ上の兄であるドベールには誤魔化しが通じない。
ピレニーは幼い頃に領地に出向いたため、継承権は無くても王子教育を受けていたチェサピックは名前しか知らず、会った事は無かった。
ゲルニカ妃の事を言ってもこの場は逃れられそうにない。
諦めをつけたピレニーはドベールに包み隠さず打ち明けた。
「へぇ。それじゃバザーの案は元々ピレニーのものか」
「バザーと言うよりワークショップ。でもバザーにした方が人が集まるとサレス侯爵が言ったの」
「だから支援金云々の話があったのか…だが思ったより寄付が集まらないと聞くが?」
「お母様に頼んでここのコチ公爵家も紹介してもらったんだけど‥」
「あれじゃぁ無理だな。ま、俺のポケットマネーからピレニー宛に寄付してやるさ」
「えぇ~伯父さま。へそくりあったの?」
「ニカには秘密な?おっとニアにも秘密だ。女は怖いから」
気さくなのだが、ピレニーにもドベールが何を考えているかは判らない。
しかし、ドベールは「心配するな」とピレニーの肩に手を置いた。
――不味いわ!流石に王子殿下に聞かれるなんて!――
ソクラノ王国広しと言えど第2王子ドベールほどに【悪戯】が好きなものはいないと言われて久しい。御年も40を超えていると言うのに、細君のゲルニカ妃も諦めている無類の悪戯好き。
その悪戯好きはどうやら息子であるチェサピックにも遺伝をしているようで、チェサピックもドベールに負けず劣らずの悪戯で貴族からは恐れられていた。
ただ、チェサピックはドベールの実子ではなく、ドベールの妻(妃)であるゲルニカ妃の連れ子である。
ゲルニカ妃を召し上げるまでドベールは長兄である王太子とどちらが王位に就くかを争っていた。騎士団に所属していたドベールは戦で戦死した部下の妻と結婚をした。
ドベールを庇って被弾した部下。攻撃を受ける前夜、身重の妻をいつも自慢げに語りボロボロになった絵姿を胸ポケットに入れていた。
その妻の連れ子がチェサピックだが、この結婚を許可してもらうにあたり、王位継承レースを辞退したと言われている。
国王のダルアシンが何も言わないのは、その悪戯で暴かれるのが貧困ビジネスであったり、国金の横領であったり、他国との不正貿易であったりと結果的に【国のため】になっているからだった。
――そう言えば政略的な貴族間の結婚にも物申すと言ってたわ――
貴族の結婚は親が決めた者同士が結婚となる事が多く、それが原因で後継と言う役目を産んだ後はその子供を乳母や使用人に放り投げて放蕩をする者が多い。
ピレニーが領地に行っている間、一度だけ母親のポラニアンがやって来て1か月過ごした事があった。疑惑は解けたが父親が浮気をしているという疑念があり、腹を立てたポラニアンが離縁覚悟で別居生活を選んだことが原因。
『誤解だよ!僕には君しかない。よく判っているだろう?』
『だったら!その肌にある赤い斑点は何なのです!』
梅毒が流行っていた事もあり、父の肌に出た赤い斑点と外泊が多かった事が疑いを持たれた要因。
『誤解だってば!これは蕁麻疹なんだ!』
『ほぅ!蕁麻疹とな?都合の良い蕁麻疹ですことっ!』
蓋を開けてみれば、妻と老後を過ごす古びた屋敷を購入したのは良いけれど日帰り出来るような場所でもなく、使用人に任せ切ってしまうのも違うと思ったモコ伯爵は自ら生え放題の庭の草を刈ってマダニに刺され、疲れ果てて眠ればノミと虱に刺される悲劇。
愛する妻を追いかけて領地までやって来て本当の事を暴露すれば・・・。
『まだ20代なのに今から保養ですって?!』と、呆れられた。
両親の疑惑は払拭されたのだが、それだけ貴族の間には不貞行為がまかり通っていて、今や不貞行為は見つからないようにすれば問題がないとまで解釈をされていた。
何時の時代も流れを変えるのは年若い者達。
ピレニーの父親たちの代で見つからないようにすればと言う考えを、レオカディオとアエラは周知の事実とする事で新しい風を吹かせようとしているのかも知れない。
なんて事を考えながらも、目の前にドベールがいる事実は変わらない。
愛想笑いで逃げようかとするも、待っている馬車はまだ来ない。
ゆっくりと近づいてくるドベールは眩しいほどの美丈夫。
アリサがサッと後ろに引くのをピレニーは気持ちで引き留めるが気持ちは届かない。
「さて?楽しそうな話じゃないか」
「お、伯父さま・・・」
「可愛い姪っ子がなにやら楽しそうな会話をしているのが聞こえたんだが?」
「あ~・・・今日はお日柄も良さそうですわ」
「だからかな?楽しそうな話が聞こえたんだ」
「え~・・・そうそう!伯父さまのご子息はお元気?」
「チェサにも楽しい話を聞かせてやりたいと思うほどに元気だな」
母親ポラニアンのすぐ上の兄であるドベールには誤魔化しが通じない。
ピレニーは幼い頃に領地に出向いたため、継承権は無くても王子教育を受けていたチェサピックは名前しか知らず、会った事は無かった。
ゲルニカ妃の事を言ってもこの場は逃れられそうにない。
諦めをつけたピレニーはドベールに包み隠さず打ち明けた。
「へぇ。それじゃバザーの案は元々ピレニーのものか」
「バザーと言うよりワークショップ。でもバザーにした方が人が集まるとサレス侯爵が言ったの」
「だから支援金云々の話があったのか…だが思ったより寄付が集まらないと聞くが?」
「お母様に頼んでここのコチ公爵家も紹介してもらったんだけど‥」
「あれじゃぁ無理だな。ま、俺のポケットマネーからピレニー宛に寄付してやるさ」
「えぇ~伯父さま。へそくりあったの?」
「ニカには秘密な?おっとニアにも秘密だ。女は怖いから」
気さくなのだが、ピレニーにもドベールが何を考えているかは判らない。
しかし、ドベールは「心配するな」とピレニーの肩に手を置いた。
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