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自然現象の賜物、それはタオル掛け
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それまでに培った「常識」が異なるのは天国でもあり地獄でもある。
「うわぁぁ!!コレット、何をしてるんだ」
「何って…湯あみをされるのでしょう?」
先に湯殿に入ったジークハルトが生まれたままの姿になった時、湯殿にコレットも入ってきたのである。
――ち、痴女?!いやいやラッキース〇ベかっ?!――
ジークハルトの目の前で堂々とワンピースを脱いでセクスィで購入したセクスィィィな下着のみになってしまった。ポロリと手にしていたタオルが手から滑り落ちるが、床に落ちることはない。
自然とタオル掛けになった部分に引っ掛かってギリギリ放送禁止を回避したのだ。
特殊な訓練をした訳ではない。自然現象の賜物だ。
あんなに「見ちゃいけない!」っと自制をきかせた自分は何だったのか?
コレットは手に持つ買ったばかりの湯あみ用タオル以外は産まれたままの姿である。
――あ、意外と胸があるんだな――
ブルブルと首を横に振る。
――下生えは薄いんだ――
ブンブンと首を振る。マズい。目のやり場がないとジークハルトは天井を見上げた。押さえが効かない息子を見てしまえば走り出したら止まらないだろうと気を逸らせるために天井の継ぎ目から夜空の星を頭に思い描いたのだ。
「コレットォ?!」
声が裏返ってしまう。喉仏もさっきから上下運動が激しい。
「どうしました?早く湯あみを致しましょう」
「ま、ま、待ってくれ。どうして…」
「どうしてって、湯あみですよね。2人で一緒に済ませた方が早く寝られます」
確かに効率的ではある。あるのだが問題点が吹き上がるではないか。
ザバーザバーっと湯桶でコレットが湯を被る音がする。
まだ湯船にも入っていないが、ジークハルトは逆上せそうだった。
「ジークハルト様、背中、洗いましょうか?」
恐ろしく男にとって願ったり叶ったりなシチュエーションではあるが考えがついて行かない。
コレットの手が背中に触れた時、ジークハルトは泡が付いていない筈なのに体の前面から白いものが壁に向かって飛んで行った。
――飛距離は最長記録を更新した――
ブルブルっ!今はそれは別問題だ。ジークハルトの心拍数は爆上がりである。
背中がメチャメチャ気持ちいい。しかしタオル掛けになった部分が限界に近く痛みを感じる。
――尿管結石になった気分だ――
素数を数え、羊を数え、夜空の星を頭に描き数えるジークハルトの努力は湯殿の泡と共にいとも簡単に洗い流されていく。
「ジークハルト様、前も洗いますか?」
「ワヒャァァ!」
――恐ろしく、グイグイくるんだなっ?!――
ジークハルトは息切れしそうである。
もう何度目の子供たち予備軍が壁を汚しただろう。
子供たちの旅立ちは劇的に心拍数が上がる上に、疲労が激しいのだ。
「待ってくれ、コレット。どうして湯殿に?!」
「どうしてって…湯で体を洗ったり汗を流すためです」
――それ、湯殿の用途な!――
ついにジークハルトはコレットと向かい合った。
2人の間。腰の高さに橋渡しされたタオルの先に発射口が見えるのをさりげなく隠す。
ちなみに幹回りは手首と言えばうそになるが手首>幹回り>>>>>小指である。
「コレット。とっても嬉しいし、綺麗だなぁと思うんだが…初日からこれはちょっと暴走し過ぎではないかと思うんだ」
「何を言ってるんです?湯殿でしょう?」
「うん。湯殿だな」
「共同浴場はみんな一緒なのに何を暴走するんです?浴場で走り回るのは危険ですよ」
「えっ?」
ジークハルトは家庭教師に教わった「歴史の教科書」を思い出したが、男女の欲情いや浴場事情についての記載はなかった。
コレットはきょとんとしている。まさかとは思った。
「共同浴場って…男女は別だろう?」
「別?いいえ?脱衣場も浴場も同じですよ。それに湯船にタオルは漬けてはいけません。タオルの持ち込みが許されているのはサウナですよ?」
そう。ほんの100年ほど前まで浴場という汗を流したり、体を洗ったりする場は裸の社交場である。そこに老若男女の区別はなかったのだ。
今でこそ男女が分けられており、お子様も5、6歳になると母は息子と父は娘と入り口で別れる。
地方に行けば「サンスーケ」という駄賃を渡せば背中を流してくれる異性がいる事はあるが、コレットの生きてきた時代には浴場で異性がいるからと恥じらうような時代ではなかったのだ。
――良いんだろうか…触っちゃっても――
煩悩の塊。ジークハルト。
背中を流そうとコレットを逆向けようとして、至福の柔らかさを誇る横乳に指先がムニっと入ってしまった。
「あっ…」
まだ洗ってはいないが、水滴の点く胸を赤く染めたのは本日3回目の鼻血。
コレットはサッと手で泡立てるとジークハルトの胸をワサワサと洗い始めた。
――煽りは限界点を超えた!――
ガバっと抱きしめると、床にベチャっと音を立ててタオル掛け代わりの立派に育ち過ぎた俺様からタオルが落ちた。
「そんなに密着すると体が洗えませんよ」
「いいんだ。もう限界点を超えてるから」
「しかたありませんね。普通は自分で洗うんですよ?」
コレットの細い指が背に回り、ジークハルトの鍛え上げた尻に触れた。
大抵の者は尻がタテに2つに分かれている。
両側から回されたコレットの指がその谷間に浸食してくる。
――触るな、危険。まだ未使用なんだ――
バッと体を離すが、泡立っている2人である。滑って転びそうになりジークハルトが下になって湯船に落ちてしまった。
「冷たっ!!湯にしてなかった!」
「ウフフ。でも気持ちいいです」
「あはっ。そうだな。気持ちいいな」
水の冷たさで煩悩が消えたジークハルト。
そんなものだと思えばプチ煩悩を抑えるのは簡単だ。単にもう出っ放しでストック切れとも言う。
性別関係なく浴場で裸は当たり前。大事な部分は自分で洗ったジークハルト。
コレットとお揃いの香りになってまた幸せを感じるのだった。
しかし、湯殿では全裸を見ても見られても全く恥ずかしがっていなかったのに寝る場所が1つしかない事実にコレットは【床で寝る】と言い張った。
「何もしないって。昨夜も足を伸ばして寝られたと喜んでたじゃないか」
「それは気が付いたら寝てたので!男女が一緒の寝台なんて…」
「だから!何もしないってば」
「男性の何もしないを信用して一緒に寝台で寝たら明日の朝は棄てられるんです」
――誰情報だよ!!ガセの謎情報だよ!――
女性を床で寝させるなどとんでもない話である。
なんとかコレットを宥めてジークハルトは並んで眠る事にしたのだが、風呂は良くて寝台はダメという境界が解らなかった。
しかし、今日は朝から色々とあり過ぎた2人である。
目を閉じると直ぐに寝入ってしまった。
スース―と寝息を立てるコレットだったが、明け方は冷え込む。
夜明け前に鍛錬をしているジークハルトが目を覚ました時、隣にピッタリとくっ付いているコレットを見て「今日は鍛錬休んじゃおうかな?」と思ったのは言うまでもない。
「うわぁぁ!!コレット、何をしてるんだ」
「何って…湯あみをされるのでしょう?」
先に湯殿に入ったジークハルトが生まれたままの姿になった時、湯殿にコレットも入ってきたのである。
――ち、痴女?!いやいやラッキース〇ベかっ?!――
ジークハルトの目の前で堂々とワンピースを脱いでセクスィで購入したセクスィィィな下着のみになってしまった。ポロリと手にしていたタオルが手から滑り落ちるが、床に落ちることはない。
自然とタオル掛けになった部分に引っ掛かってギリギリ放送禁止を回避したのだ。
特殊な訓練をした訳ではない。自然現象の賜物だ。
あんなに「見ちゃいけない!」っと自制をきかせた自分は何だったのか?
コレットは手に持つ買ったばかりの湯あみ用タオル以外は産まれたままの姿である。
――あ、意外と胸があるんだな――
ブルブルと首を横に振る。
――下生えは薄いんだ――
ブンブンと首を振る。マズい。目のやり場がないとジークハルトは天井を見上げた。押さえが効かない息子を見てしまえば走り出したら止まらないだろうと気を逸らせるために天井の継ぎ目から夜空の星を頭に思い描いたのだ。
「コレットォ?!」
声が裏返ってしまう。喉仏もさっきから上下運動が激しい。
「どうしました?早く湯あみを致しましょう」
「ま、ま、待ってくれ。どうして…」
「どうしてって、湯あみですよね。2人で一緒に済ませた方が早く寝られます」
確かに効率的ではある。あるのだが問題点が吹き上がるではないか。
ザバーザバーっと湯桶でコレットが湯を被る音がする。
まだ湯船にも入っていないが、ジークハルトは逆上せそうだった。
「ジークハルト様、背中、洗いましょうか?」
恐ろしく男にとって願ったり叶ったりなシチュエーションではあるが考えがついて行かない。
コレットの手が背中に触れた時、ジークハルトは泡が付いていない筈なのに体の前面から白いものが壁に向かって飛んで行った。
――飛距離は最長記録を更新した――
ブルブルっ!今はそれは別問題だ。ジークハルトの心拍数は爆上がりである。
背中がメチャメチャ気持ちいい。しかしタオル掛けになった部分が限界に近く痛みを感じる。
――尿管結石になった気分だ――
素数を数え、羊を数え、夜空の星を頭に描き数えるジークハルトの努力は湯殿の泡と共にいとも簡単に洗い流されていく。
「ジークハルト様、前も洗いますか?」
「ワヒャァァ!」
――恐ろしく、グイグイくるんだなっ?!――
ジークハルトは息切れしそうである。
もう何度目の子供たち予備軍が壁を汚しただろう。
子供たちの旅立ちは劇的に心拍数が上がる上に、疲労が激しいのだ。
「待ってくれ、コレット。どうして湯殿に?!」
「どうしてって…湯で体を洗ったり汗を流すためです」
――それ、湯殿の用途な!――
ついにジークハルトはコレットと向かい合った。
2人の間。腰の高さに橋渡しされたタオルの先に発射口が見えるのをさりげなく隠す。
ちなみに幹回りは手首と言えばうそになるが手首>幹回り>>>>>小指である。
「コレット。とっても嬉しいし、綺麗だなぁと思うんだが…初日からこれはちょっと暴走し過ぎではないかと思うんだ」
「何を言ってるんです?湯殿でしょう?」
「うん。湯殿だな」
「共同浴場はみんな一緒なのに何を暴走するんです?浴場で走り回るのは危険ですよ」
「えっ?」
ジークハルトは家庭教師に教わった「歴史の教科書」を思い出したが、男女の欲情いや浴場事情についての記載はなかった。
コレットはきょとんとしている。まさかとは思った。
「共同浴場って…男女は別だろう?」
「別?いいえ?脱衣場も浴場も同じですよ。それに湯船にタオルは漬けてはいけません。タオルの持ち込みが許されているのはサウナですよ?」
そう。ほんの100年ほど前まで浴場という汗を流したり、体を洗ったりする場は裸の社交場である。そこに老若男女の区別はなかったのだ。
今でこそ男女が分けられており、お子様も5、6歳になると母は息子と父は娘と入り口で別れる。
地方に行けば「サンスーケ」という駄賃を渡せば背中を流してくれる異性がいる事はあるが、コレットの生きてきた時代には浴場で異性がいるからと恥じらうような時代ではなかったのだ。
――良いんだろうか…触っちゃっても――
煩悩の塊。ジークハルト。
背中を流そうとコレットを逆向けようとして、至福の柔らかさを誇る横乳に指先がムニっと入ってしまった。
「あっ…」
まだ洗ってはいないが、水滴の点く胸を赤く染めたのは本日3回目の鼻血。
コレットはサッと手で泡立てるとジークハルトの胸をワサワサと洗い始めた。
――煽りは限界点を超えた!――
ガバっと抱きしめると、床にベチャっと音を立ててタオル掛け代わりの立派に育ち過ぎた俺様からタオルが落ちた。
「そんなに密着すると体が洗えませんよ」
「いいんだ。もう限界点を超えてるから」
「しかたありませんね。普通は自分で洗うんですよ?」
コレットの細い指が背に回り、ジークハルトの鍛え上げた尻に触れた。
大抵の者は尻がタテに2つに分かれている。
両側から回されたコレットの指がその谷間に浸食してくる。
――触るな、危険。まだ未使用なんだ――
バッと体を離すが、泡立っている2人である。滑って転びそうになりジークハルトが下になって湯船に落ちてしまった。
「冷たっ!!湯にしてなかった!」
「ウフフ。でも気持ちいいです」
「あはっ。そうだな。気持ちいいな」
水の冷たさで煩悩が消えたジークハルト。
そんなものだと思えばプチ煩悩を抑えるのは簡単だ。単にもう出っ放しでストック切れとも言う。
性別関係なく浴場で裸は当たり前。大事な部分は自分で洗ったジークハルト。
コレットとお揃いの香りになってまた幸せを感じるのだった。
しかし、湯殿では全裸を見ても見られても全く恥ずかしがっていなかったのに寝る場所が1つしかない事実にコレットは【床で寝る】と言い張った。
「何もしないって。昨夜も足を伸ばして寝られたと喜んでたじゃないか」
「それは気が付いたら寝てたので!男女が一緒の寝台なんて…」
「だから!何もしないってば」
「男性の何もしないを信用して一緒に寝台で寝たら明日の朝は棄てられるんです」
――誰情報だよ!!ガセの謎情報だよ!――
女性を床で寝させるなどとんでもない話である。
なんとかコレットを宥めてジークハルトは並んで眠る事にしたのだが、風呂は良くて寝台はダメという境界が解らなかった。
しかし、今日は朝から色々とあり過ぎた2人である。
目を閉じると直ぐに寝入ってしまった。
スース―と寝息を立てるコレットだったが、明け方は冷え込む。
夜明け前に鍛錬をしているジークハルトが目を覚ました時、隣にピッタリとくっ付いているコレットを見て「今日は鍛錬休んじゃおうかな?」と思ったのは言うまでもない。
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