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第30話 善意と嫉妬が半分こ
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エリアスにも結婚の許可を貰い、グラシアナにも「判りました」と返事を貰ったパンディトンは積極的。
「ベル。蜂蜜を濾してみた。口当たりもいいぞ」
――えぇっ?!あの噛まないのに噛んだって食感が命なのに!――
巣箱から取り出した蜂蜜はトロットロの液体に包まれ、僅かな衝撃でポロっと壊れてしまう板状の部分がグラシアナはお気に入りだったのに「濾す」という手間を加えて帝国の皇帝にも献上するような状態の方がいいだろうと考えたパンディトンは朝食の時にエリアスよろしくお誕生日席の狭いところに椅子を並べて座る。
「今日は牛乳も今朝! 早起きした俺が搾ってきたから飲み放題だ」
――でしょうね。ピッチャーで出されたの初めてだもの――
いつもはこのピッチャーの手前にグラシアナのミルク用グラスがあるのに今日はない。
「飲ませてやるからな。この量だから蜂蜜も1kg入れてある。レモンは11個の皮を摩り下ろしたぞ」
どやぁ!とどや顔をしているが、レモンはパラパラとその皮を散らすのが良いのであって、そこまでの量を入れてしまうと牛乳が分離してしまってチーズになりかかっている。
――まさか、ピッチャーで飲め…いえ飲ませる気?――
軽く3リットルは入っていると思われるミルク。
朝の1杯は至福の1杯なのに、どうして朝から胃袋の限界をミルクで感じねばならないのか。
――半分飲んだところで絶対に噴き出すわよ――
「お待ちになって。それはピッチャーでしょう?グラスに・・・」
「何を言ってる。俺はいつもこれだぞ。今朝も3杯飲んだ」
――嘘でしょ。牛乳だけで10kg超えてるわ――
胃袋だけでなく足の先から喉元まで牛乳で飽和状態になりそうな気がする。
「エリアスがベルはイングリッシュマーティンが好きだというからさ」
――マーティンじゃなくてマフィンね――
「俺も食べてみたよ。まさにボンジュゥ~(ル)って感じだった。ベルはお洒落さんだな」
――ボンジュールはおフランスよ。国の場所も言語も違うわ――
そしてイングリッシュマフィンも千切ってくれるのだが、半分だ。うん。半分。
そして力を入れるものだからペタンコになってしまって、マーマレードものせるではなく巻くになっている。
――お腹に入れば一緒だけど、違うのよ――
目の前のパンディトンは半分が善意。グラシアナが食べやすいんだろうなと思っているが、もう半分は明らかにエリアスに対しての対抗心。
何日かエリアスとの食事風景を見ていて「俺も!」と思ったのだろう。
「では先に食べてみてくださいませ」
にこりと笑ってマーマレードのマフィン巻きを勧める。
パクリと口の中に放り込んだパンディトン。
マーマレードを巻いたぺらぺらになったイングリッシュマフィン。弾力性があり過ぎてなかなか飲み込めないらしい。
「100回は噛むと教わったが、まさにその通りだな」
「もう1つどうぞ。巻いてみました」
「フォッ!いいのか?なんだか胸がいっぱいだな」
――まさかお兄様みたいに試食済み?――
生温かい空気の中、朝食が終わると移動椅子に乗って庭の散策をする。
庭のつつじが満開でパンディトンは植え込みの向かいにあるベンチにグラシアナを抱いて座る。
この頃庭を見て思うのだ。
それぞれの花の区画の向かいには深く掛けられる椅子が設置されているがベンチではなくひじ掛けも付いた1人用の椅子。
――お兄様はここでも横抱きしようとしてたのね――
計画倒れとなってしまっただろうと思うと小さく笑いも出てしまうグラシアナだがちゃんと使い道があった。
「横抱きはちょっと…ひじ掛けに足が当たってしまうので」
「そうか。なら前抱っこにするか?向かい合ってさ」
――つつじが見たいんです。向かい合ったら見えません――
と言う事で後ろから抱えられるようにしてつつじを愛でる。
これがなかなかに心地よいのである。
薄手のシャツを上から2番目までボタンを留めずに開放しているパンディトン。
そんなパンディトンを背凭れにしての鑑賞となるのだが、騎士だったので固い胸板かと思いきやクッション性がある。まるで毛足の長い絨毯が壁になっているよう。
「あら??これは何?」
「そ、そこはっ!触れるな。危険だ」
――圧力鍋の取り扱い説明書にも似たようなこと書いてたわね――
3日前までパンディトンは腕まくりをしていたのだが、今日は袖のボタンはちゃんと留めている。
「そ、剃ったんだ。腕の毛なんか気持ち悪いだろうと思って」
「まぁ。気にしませんのに」
「でも、やぶ蚊とかが絡まって気持ち悪いだろう?」
――体毛の濃さではなく虫捕獲機となるほうが理由なのね――
パンディトンは剃ったまでは良かったけれど現在は復元中のため触れるとチクチクするのだ。
「今度は除毛クリームと剃刀じゃなくワックスにしてみるよ」
「ワックス?!かなり痛いですわよ?」
「ベルの手が俺の毛で傷むくらいなら耐えてみせるさ」
「ダメです。アリ―がお手入れで悶絶していましたのよ?内出血のようにもなってしまって。負傷するくらいならこのままでいいですわ。案外・・・気持ちいいですし。クマさんの毛はムダ毛ではありませんのよ?」
――それに腕の毛もコネコネすると縺れて塊になるの楽しいのよ――
「そ、そうか?体毛を褒められたのは初めてだな」
――ちゃんと聞いてた?褒めてないわよ?――
勿論、コネてアリンコにする行為も楽しいがその後自力で戻ろうとする復元を見るのも楽しいのだ。
――1粒で2度おいしいってこの事ね!――
初夏と言っても日陰になっている椅子のある辺りは涼しいを少し超える事がある。
「クマさん。手を貸してくださいませ」
「ん?こうか?」
グラシアナの肩に軽く顎を乗せるようにして後ろから甘えるパンディトン。剃り残した髭がツンツンと軽く頬に当たっても嫌悪は感じないし、エリアスに感じたような暑苦しさがないのは何故だろう。
後ろから包み込まれるように腕を胸の前で軽く交差させると背中はフワフワ。体全体もほんのり温かくなる。朝食後と言う事もあって、気持ち良さと満腹感からウトウトとまどろむ時間。
――ハッ!いけない!ここで寝たらまた太るわ!――
覚醒したグラシアナは移動椅子にまた座って「よっ!ほっ!ふんっ!!」車輪を手で回し漕ぎしてなんちゃって運動を開始したのだった。
「ベル。蜂蜜を濾してみた。口当たりもいいぞ」
――えぇっ?!あの噛まないのに噛んだって食感が命なのに!――
巣箱から取り出した蜂蜜はトロットロの液体に包まれ、僅かな衝撃でポロっと壊れてしまう板状の部分がグラシアナはお気に入りだったのに「濾す」という手間を加えて帝国の皇帝にも献上するような状態の方がいいだろうと考えたパンディトンは朝食の時にエリアスよろしくお誕生日席の狭いところに椅子を並べて座る。
「今日は牛乳も今朝! 早起きした俺が搾ってきたから飲み放題だ」
――でしょうね。ピッチャーで出されたの初めてだもの――
いつもはこのピッチャーの手前にグラシアナのミルク用グラスがあるのに今日はない。
「飲ませてやるからな。この量だから蜂蜜も1kg入れてある。レモンは11個の皮を摩り下ろしたぞ」
どやぁ!とどや顔をしているが、レモンはパラパラとその皮を散らすのが良いのであって、そこまでの量を入れてしまうと牛乳が分離してしまってチーズになりかかっている。
――まさか、ピッチャーで飲め…いえ飲ませる気?――
軽く3リットルは入っていると思われるミルク。
朝の1杯は至福の1杯なのに、どうして朝から胃袋の限界をミルクで感じねばならないのか。
――半分飲んだところで絶対に噴き出すわよ――
「お待ちになって。それはピッチャーでしょう?グラスに・・・」
「何を言ってる。俺はいつもこれだぞ。今朝も3杯飲んだ」
――嘘でしょ。牛乳だけで10kg超えてるわ――
胃袋だけでなく足の先から喉元まで牛乳で飽和状態になりそうな気がする。
「エリアスがベルはイングリッシュマーティンが好きだというからさ」
――マーティンじゃなくてマフィンね――
「俺も食べてみたよ。まさにボンジュゥ~(ル)って感じだった。ベルはお洒落さんだな」
――ボンジュールはおフランスよ。国の場所も言語も違うわ――
そしてイングリッシュマフィンも千切ってくれるのだが、半分だ。うん。半分。
そして力を入れるものだからペタンコになってしまって、マーマレードものせるではなく巻くになっている。
――お腹に入れば一緒だけど、違うのよ――
目の前のパンディトンは半分が善意。グラシアナが食べやすいんだろうなと思っているが、もう半分は明らかにエリアスに対しての対抗心。
何日かエリアスとの食事風景を見ていて「俺も!」と思ったのだろう。
「では先に食べてみてくださいませ」
にこりと笑ってマーマレードのマフィン巻きを勧める。
パクリと口の中に放り込んだパンディトン。
マーマレードを巻いたぺらぺらになったイングリッシュマフィン。弾力性があり過ぎてなかなか飲み込めないらしい。
「100回は噛むと教わったが、まさにその通りだな」
「もう1つどうぞ。巻いてみました」
「フォッ!いいのか?なんだか胸がいっぱいだな」
――まさかお兄様みたいに試食済み?――
生温かい空気の中、朝食が終わると移動椅子に乗って庭の散策をする。
庭のつつじが満開でパンディトンは植え込みの向かいにあるベンチにグラシアナを抱いて座る。
この頃庭を見て思うのだ。
それぞれの花の区画の向かいには深く掛けられる椅子が設置されているがベンチではなくひじ掛けも付いた1人用の椅子。
――お兄様はここでも横抱きしようとしてたのね――
計画倒れとなってしまっただろうと思うと小さく笑いも出てしまうグラシアナだがちゃんと使い道があった。
「横抱きはちょっと…ひじ掛けに足が当たってしまうので」
「そうか。なら前抱っこにするか?向かい合ってさ」
――つつじが見たいんです。向かい合ったら見えません――
と言う事で後ろから抱えられるようにしてつつじを愛でる。
これがなかなかに心地よいのである。
薄手のシャツを上から2番目までボタンを留めずに開放しているパンディトン。
そんなパンディトンを背凭れにしての鑑賞となるのだが、騎士だったので固い胸板かと思いきやクッション性がある。まるで毛足の長い絨毯が壁になっているよう。
「あら??これは何?」
「そ、そこはっ!触れるな。危険だ」
――圧力鍋の取り扱い説明書にも似たようなこと書いてたわね――
3日前までパンディトンは腕まくりをしていたのだが、今日は袖のボタンはちゃんと留めている。
「そ、剃ったんだ。腕の毛なんか気持ち悪いだろうと思って」
「まぁ。気にしませんのに」
「でも、やぶ蚊とかが絡まって気持ち悪いだろう?」
――体毛の濃さではなく虫捕獲機となるほうが理由なのね――
パンディトンは剃ったまでは良かったけれど現在は復元中のため触れるとチクチクするのだ。
「今度は除毛クリームと剃刀じゃなくワックスにしてみるよ」
「ワックス?!かなり痛いですわよ?」
「ベルの手が俺の毛で傷むくらいなら耐えてみせるさ」
「ダメです。アリ―がお手入れで悶絶していましたのよ?内出血のようにもなってしまって。負傷するくらいならこのままでいいですわ。案外・・・気持ちいいですし。クマさんの毛はムダ毛ではありませんのよ?」
――それに腕の毛もコネコネすると縺れて塊になるの楽しいのよ――
「そ、そうか?体毛を褒められたのは初めてだな」
――ちゃんと聞いてた?褒めてないわよ?――
勿論、コネてアリンコにする行為も楽しいがその後自力で戻ろうとする復元を見るのも楽しいのだ。
――1粒で2度おいしいってこの事ね!――
初夏と言っても日陰になっている椅子のある辺りは涼しいを少し超える事がある。
「クマさん。手を貸してくださいませ」
「ん?こうか?」
グラシアナの肩に軽く顎を乗せるようにして後ろから甘えるパンディトン。剃り残した髭がツンツンと軽く頬に当たっても嫌悪は感じないし、エリアスに感じたような暑苦しさがないのは何故だろう。
後ろから包み込まれるように腕を胸の前で軽く交差させると背中はフワフワ。体全体もほんのり温かくなる。朝食後と言う事もあって、気持ち良さと満腹感からウトウトとまどろむ時間。
――ハッ!いけない!ここで寝たらまた太るわ!――
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