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第38話 エリアスの構想
しおりを挟む「旦那様は王家は王家で存続させるお考えでした」
「えぇっ?!要らないでしょう?」
「必要なのですよ。欲しているのがただ長く続くと言うだけであっても国民が欲しているのです。言ってみれば唯一の自慢です。裏を返せばそれを取り上げるとこの国で誇れるものが何もないのです。人は心の安寧を何処かで願うもの。王家は血ですが国民は長く続く小さな幸せを無意識に重ねていますからね」
エリアスは王家は存続をさせる。ただしそれは本当に長く続くことのみに特化したもの。
そしてその費用は当面現在の議会に名を連ねる者に負担をさせる。
現在の議会は解散し、新しい議会は広く平民からも議員を集める。今の議会議員は次に選ばれない限り王家存続の負担だけを強いられることになる。
そこまで大事にして甘い汁を吸ったのだから今度は吐き出す番だと言うこと。
すると当主が交代した時など王家の存続費用を出せないと考え始める。子供や孫の代になれば何の役にも立っていない王家を飼う必要があるのか?と思い始める。
そこで議会に「費用の負担」を申し出てくるはず。そうしないと永遠に出し続けねばならないし、他に言っていく先はない。
平民も混じった議会はそこで国民に問うのだ。「あなた達が負担しますか?」と。
長く続く誇りだからと賛成する者もいれば、いや埃だろうと排除を言い出す者もあらわれる。大事なのはそれが国民の声だと言うこと。
自分たちに問題提議をされた時に決断するのも自分だという責任を負わせる。
愚か者の掃きだめにようになった王家を国民が維持するか。それは賭けになる。
「一朝一夕では出来ません。何百年も続いた当たり前は先ず実権を握っている現在の議会を解体する事から始めねば始まりません。旦那様の構想では孫の代でも王家は存続する。但し実権を握るのは国民。形を変えている最中に他国には静観をしてもらうために大使館など奔走していたのですよ」
「では王家は相当に行いを見直し、自粛しないといけませんわね」
「そうですね。だからお嬢様のように人格すら奪われるような人をもう出してはいけないのです。誰にだって幸せになるために努力をする義務はあるんです。王家だけが議会により権利を行使していいなんておかしいでしょう」
――お兄様って実はまともだったんだわ――
老執事と話をしてグラシアナは決めた。
帝国の領事館には話をするが、ロペ公爵家に留まる事を。
領事館にいる方が安全なのは判るがそれは自分の身が安全なだけでエリアスとパンディトンが囚われの身の扱いを受けるのなら、救い出せるのは自分しかいない。
「何をするにも相手の動きを知りたいわ。ロペ公爵家には諜報のような仕事をする人はいるの?」
「はーい!!いまーす!」×2
「え‥‥嘘でしょ」
グラシアナは1歩目から躓くかと思った。元気よく手をあげたのはアリーとメアリーだったからである。
「得意ですよ?クズ太子の宮も王宮も何度も行った事ありますっ(V ブィッ)」
――ピースサイン・・・って事は汚れた私の私生活も知ってた?!――
「ま、まさかと思うけど、湯殿で洗ってくれてたのって…」
「知ってましたよ。でも安心してください!目は薄目にしました」
メアリーが目尻に指をあてて、ムニーっと引っ張り細い目になる。
――全然安心できない・・・まさかぬいぐるみに愚痴ってたのも聞いてたのぉ――
アリ―を見ると、うんうんと頷く。
「お嬢様よく鼻歌歌ってましたよね。寝る前の読書の時ですけど。足をパタパタさせて読んでましたよねっ♡」
――そっち?いやいや、そこも知ってたの?――
冷や汗がダラダラ流れ出す。どうりでエリアスがグラシアナの趣味嗜好を知っていたはずだ。
――ネタ元が自分だったなんてぇぇぇ――
こうなったらエリアスとパンディトンを奪還した暁には2人にエリアスを調べさせてやろうか!と考えたが直ぐにやめた。
エリアスの脳内が私的な事を考える時に自分の事だったらと思うと下手に調べて「グラシアナ情報~ジャジャーン」とか報告されたら立ち直れない。
「ま、まぁ…いいわ。じゃぁアリー、メアリー頼める?先ずはお兄様とクマさんの状況。それから監禁なりされているのなら何処に置かれているのか。城の中は抜け穴まで頭に入ってるから救出作戦を立てるわ」
「いいんですけどぉ…(もじもじ)」
「どうしたの?あ!お手当ね。お手当はどうなっているのかしら?」
「んもぉ~違いますよ~。メアリーもお嬢様とお風呂遊びをしたいんです」
「お風呂っ?!にゅ――」
「それは言っちゃダメ―!!」
アリ―に制止をされてしまった。
メアリーは「何?何?入浴?」気が付いていないが、意図せずグラシアナはアリ―から「メアリーの部分的なお悩み」を聞かされていた事を今!知ったのだった。
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