17 / 19
第17話 気持ち悪い拗らせ
しおりを挟む
「ビビアン。この女とはもう手を切る。約束するよ」
「いえ、別に約束して頂かなくて結構ですよ?」
「何故だ?」
何故って言われても貴方に気持ちが全くないし、記憶が抜けた期間の私がどうして耐えていたのかも今の私には判らないもの。
「伯爵様。リオーナさんと手を切るかどうか私には関係がありません。好きになさってください」
「好きにしろって…本気で言っているのか?」
「はい」
「君は私の妻だろう?私は君の夫なんだぞ?」
「そうですね。でも溺れてあわやだった私が目を覚ました時、貴方は何と言ったか覚えています?」
「私が…何か言ったのか?」
(大丈夫?性病以外に頭も診てもらった方が良いんじゃない?)
何年も前の事を覚えているかと問うているわけじゃないんだけどな。
顔を合わせるのも指で数えられるくらいだし、自分の言ったことくらい覚えておいてもらいたいんだけど。
仕方がないのでブレン伯爵の声色を真似てみた。
「このまま目を覚まさねば皆が幸せに過ごせたと言うのに。どこまでも面倒くさい女だ‥‥って言われましたよ?ハッキリ言わせてもらいますが、そんな事を言われて嫉妬?しませんよ。腹が立つかって言われたらこんなくだらない時間に付き合わされることに腹が立つと言っておきましょう」
ダラダラしても仕方ない。
計算をしたら離縁届を出せるまであと15日なんだから私もしなきゃいけない事が山ほどある。
事実今日だって、有効な離縁書の束を持って貴族院に行こうと思っていたんだもの。
「本気でそんな事を言っているのか?強がりはよせ」
「うーん…ブレン伯爵」
「なんだ」
「医師の診断書も目を通していると思いますけど、私、本当にここ8年の記憶がないんです。あの時15歳って年齢を笑い飛ばされましたけど、本当に頭の中は15歳なんです。住んでいた家が火災で焼失した事も父や兄が領地に行った事も記憶がないんです。当然貴方と結婚をした事も」
「あんな診断書。嘘に決まっている。君が私の事を忘れるはずがない」
確かに記憶って言うのは外から見ただけじゃ判らないだろうから信じられないかも知れないけど…。
言わずにおこうと思ったけど、言うしかなさそう。
「私にとっては亡き母の思い出がある家が焼失した事の方がインパクトの強い思い出になりますがそれすら知らないんです。それを踏まえてお聞きしますけど、忘れるはずがない記憶。何があるんです?」
夫婦なのは間違いないので、もしかするとマリエンさんが側付きになる前にブレン伯爵とは蜜月と呼べる時間があったかも知れない。だから賭けではあった。
でもその賭けはどうやら私の勝ちのよう。
「それは‥‥でも!約束する。これからは絶対にこんな真実の愛だなんて言って他の女とどうにかなることはない」
「キモッ」
ぽろっと本音が出てしまった。
「ごめんなさい。これからって言われても今の状況になって数か月。リオーナさんとのあれこれを聞きたくなくても聞いている身としてはご遠慮願いたいですし…ホントに気持ち悪いおじさんにしか見えないんです」
「お、おじさん?」
「はい。見た目も実年齢も23歳なので実際はそんなに年齢は離れていないんだと自分に言い聞かせても、気持ちが15歳なのでおじさんにしか見えない上に3年で6人目の真実の愛とか乙女の恋愛観をぶち壊す事しかしてないですし、事業も赤字を補ってくれているかと思いきや貸付でしょう?悪徳高利貸しの方がまだ真っ当な商売してる気すらしてくるんです。何から何まで気持ち悪いし…嫉妬?腹が立つ?吐き気のしそうな拗らせオヤジにしか見えないし思えないんです」
ハッキリ言うのはどうかと思ったけれど、嫌なんだってのは解ってもらわないと。
「ビビアン・・・判った。判ったよ。悪い所は直す。だからそんな事を言わないでくれ」
(解ってないじゃない)
「解ってないですよね。嫌なんです。好きとか嫌い以前に生理的に受け付けない部類と言ったら良いでしょうか。何より束になるほど頂いている離縁書。それがブレン伯爵様の真意だと私は考えています。あんなもの無暗に出すものじゃないですしね。結婚の経緯などあるでしょうけど記憶のない私には何を言われても響きません」
「離縁届は君に私の事を意識して欲しかったんだ!本気じゃないんだ!」
その一言に更に気持ち悪さが上積みになってしまったんだけど、リオーナさんが突然笑い始めてしまった。
「いえ、別に約束して頂かなくて結構ですよ?」
「何故だ?」
何故って言われても貴方に気持ちが全くないし、記憶が抜けた期間の私がどうして耐えていたのかも今の私には判らないもの。
「伯爵様。リオーナさんと手を切るかどうか私には関係がありません。好きになさってください」
「好きにしろって…本気で言っているのか?」
「はい」
「君は私の妻だろう?私は君の夫なんだぞ?」
「そうですね。でも溺れてあわやだった私が目を覚ました時、貴方は何と言ったか覚えています?」
「私が…何か言ったのか?」
(大丈夫?性病以外に頭も診てもらった方が良いんじゃない?)
何年も前の事を覚えているかと問うているわけじゃないんだけどな。
顔を合わせるのも指で数えられるくらいだし、自分の言ったことくらい覚えておいてもらいたいんだけど。
仕方がないのでブレン伯爵の声色を真似てみた。
「このまま目を覚まさねば皆が幸せに過ごせたと言うのに。どこまでも面倒くさい女だ‥‥って言われましたよ?ハッキリ言わせてもらいますが、そんな事を言われて嫉妬?しませんよ。腹が立つかって言われたらこんなくだらない時間に付き合わされることに腹が立つと言っておきましょう」
ダラダラしても仕方ない。
計算をしたら離縁届を出せるまであと15日なんだから私もしなきゃいけない事が山ほどある。
事実今日だって、有効な離縁書の束を持って貴族院に行こうと思っていたんだもの。
「本気でそんな事を言っているのか?強がりはよせ」
「うーん…ブレン伯爵」
「なんだ」
「医師の診断書も目を通していると思いますけど、私、本当にここ8年の記憶がないんです。あの時15歳って年齢を笑い飛ばされましたけど、本当に頭の中は15歳なんです。住んでいた家が火災で焼失した事も父や兄が領地に行った事も記憶がないんです。当然貴方と結婚をした事も」
「あんな診断書。嘘に決まっている。君が私の事を忘れるはずがない」
確かに記憶って言うのは外から見ただけじゃ判らないだろうから信じられないかも知れないけど…。
言わずにおこうと思ったけど、言うしかなさそう。
「私にとっては亡き母の思い出がある家が焼失した事の方がインパクトの強い思い出になりますがそれすら知らないんです。それを踏まえてお聞きしますけど、忘れるはずがない記憶。何があるんです?」
夫婦なのは間違いないので、もしかするとマリエンさんが側付きになる前にブレン伯爵とは蜜月と呼べる時間があったかも知れない。だから賭けではあった。
でもその賭けはどうやら私の勝ちのよう。
「それは‥‥でも!約束する。これからは絶対にこんな真実の愛だなんて言って他の女とどうにかなることはない」
「キモッ」
ぽろっと本音が出てしまった。
「ごめんなさい。これからって言われても今の状況になって数か月。リオーナさんとのあれこれを聞きたくなくても聞いている身としてはご遠慮願いたいですし…ホントに気持ち悪いおじさんにしか見えないんです」
「お、おじさん?」
「はい。見た目も実年齢も23歳なので実際はそんなに年齢は離れていないんだと自分に言い聞かせても、気持ちが15歳なのでおじさんにしか見えない上に3年で6人目の真実の愛とか乙女の恋愛観をぶち壊す事しかしてないですし、事業も赤字を補ってくれているかと思いきや貸付でしょう?悪徳高利貸しの方がまだ真っ当な商売してる気すらしてくるんです。何から何まで気持ち悪いし…嫉妬?腹が立つ?吐き気のしそうな拗らせオヤジにしか見えないし思えないんです」
ハッキリ言うのはどうかと思ったけれど、嫌なんだってのは解ってもらわないと。
「ビビアン・・・判った。判ったよ。悪い所は直す。だからそんな事を言わないでくれ」
(解ってないじゃない)
「解ってないですよね。嫌なんです。好きとか嫌い以前に生理的に受け付けない部類と言ったら良いでしょうか。何より束になるほど頂いている離縁書。それがブレン伯爵様の真意だと私は考えています。あんなもの無暗に出すものじゃないですしね。結婚の経緯などあるでしょうけど記憶のない私には何を言われても響きません」
「離縁届は君に私の事を意識して欲しかったんだ!本気じゃないんだ!」
その一言に更に気持ち悪さが上積みになってしまったんだけど、リオーナさんが突然笑い始めてしまった。
1,127
あなたにおすすめの小説
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる