小切手を拾っただけなのに~それは侯爵子息の溺愛の始まりでした~

cyaru

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第18話  同情なんかいりません

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アリアは貧乏ゆえに色々な仕事をしてきた。

幼い頃に祖母にも何も言わずファヴァビーン伯爵領に行ってしまった父親の顔は思い出せないほど。

行ったっきりで給料を仕送りもしてくれず、ご機嫌伺いに来たファヴァビーン伯爵に「3割でいいので給金をこちらに払ってくれないか」と頼んだ時の伯爵の顔は今でも忘れられない。

祖母が元気なうちは祖母も家で出来る仕立物や刺繍、文庫本の代筆などをしていた。
アリアは幼くても祖母だけに苦労はさせられないと子供でも給金を払ってくれる仕事があると聞けば出向いて日銭を稼いできた。

エルフィンに調べ上げられた雑貨屋だったり解体屋が家屋を解体する前に行う片付けなど序の口。

新装開店の店舗の前で着ぐるみを着で奇妙な踊りを踊った事もあるし、ピンクチラシ配りの経験もある。

娼館の娼婦と客がコトを済ませた後の清掃では言葉にならない部屋の惨状に目を覆っている暇もなくそれこそを片付けた。

時期的に結婚式や葬儀が集中するときは人手が足らず教会が募集した「なんちゃってシスター」になったこともある。

ニラ、蕪、大根、芋など収穫時期になると今いる区画とは真逆の王都の東側の郊外で朝から朝までせっせと土を掘り、作物を収穫した。

アリア的に言わせてもらうなら小麦は大した稼ぎになならないがレンコンは胸まで沼のような泥土に体を沈める事もあって実入りが良かった。

歩合なので日のあるうちと言わず月明りも利用したのは言うまでもない。

そんな仕事の中で果実の収穫に駆り出されたこともある。

(うんうん。ブドウは急いでワインにしないといけないから収穫後に洗ってフミフミ。倍の日当が貰えたわ)

アリアが出向いたのは小さなブドウ農家とワイナリーだったが、そこではワインにした後のブドウの皮や種は肥料にするために埋める作業をしていた。

ただ埋めるだけでは腐らせるだけ。みんなで山に分け入って背負った籠いっぱいに落ち葉を拾い落ち葉も一緒に埋める。そうすると発酵が早くなる。
ワイナリーでは肥料も売り出して稼いでいた。

そしてエルフィンの貯蔵庫周囲のようなブヨブヨになるまでの量はなかったけれど、これだけの量があるのなら!!アリアにはとっておきの秘策があった。

「この腐った土で何かできるというのか」
「勿論です。自然には無駄なものがないんです。無駄を作るのはいつも人間。幼い頃に収穫したオレンジがどんな味かこっそり食べた時に職長のオバサンが拳骨と交換で教えてくれました」
「アリア…(遠い目)」

あれ?食べてみたくならない??アリアは遠い目をするエルフィンを不思議そうに見た。

オレンジは酸っぱさを感じるのに甘くておいしい実が高く売れるが、その周囲一帯が同じ糖度を持つ実をつけるとは限らない。とんでもなく不味いオレンジが極上のオレンジの隣に実っている事だって多々ある。


「エルフィン様。どうせ遠い目をするなら遠くの緑を見ると良いって何故だか知ってます?」
「は?」
「知らないんですね?」
「と、遠くを見ると癒されるからだろう」
「ブッブー!!残念っ!色ってお日様の影響で赤だったり青に見えるんです。遠くにあるのはたいてい山です。山と言えば木々が緑色ですよね。緑色っていうのは、緑色そのものが ”色” ってものの中で真ん中あたりにあるので目が疲れないんですよ」
「よく知ってるな?!」
「って、ワイナリーに出稼ぎに来ていた帝国の元兵士が言ってました」

(なんだ。受け売りか)

もっとガツンとこれまでの概念が引っ繰り返るかと思ったエルフィンは少々拍子抜け。

しかし、アリアはまたもやつま先でブヨブヨになった腐敗土をツンツンと弄ぶとフフンと鼻を鳴らした。



☆~☆
本日2日目\(^▽^)/

16時と17時台は更新がないですが、10時10分から22時10分まで1時間おきの更新です(#^.^#)
楽しんで頂けると嬉しいです
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