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第40話 紹介の仕方に問題あり
「うぅぅ~緊張するぅ」
「気楽にしていいよ。侯爵家と言っても普通の家だし、父上は確かに元王子だけど王族のあれこれが嫌いで自由にさせてくれるって言うから母上と結婚して婿入りしたんだ」
(全く安心できる要素がないんだけど?)
普通の家だとか、束縛が嫌いだからとか間違いなくアリアの思うレベルとはランクが違う。
アリアにとっては片親でも同居をしている、それだけで気後れしてしまう。
束縛が嫌、自由がない。アリアにしてみればそんな理由で実家と離れられるのなら御の字だ。
親子の縁などないに等しいのに、除籍を願って手紙を出しても梨の礫。
無関心で有ることは残酷だ。ずっと縛られたままで生きていかねばならない。
通常、結婚をした時に家の籍をどうするか決めるもの。絶対ではなく保留期間も認められるけれどほとんどは家督の争いに巻き込まれたりするので結婚をしたら軸となる家に籍を移す。
アリアも移したいのだが父親がくだらない事に時間を使いたくないようで、パミル家とハース家、2つの籍を持ったままになっている。
きっと父親の存在も忘れかけた頃に死亡を知らされ、男爵家の廃家手続きに奔走することになる。気の重い話だ。
「やっぱり…日を改めたほうがいいか?」
緊張からか笑顔が消えたアリアにエルフィンは心配そうに顔を覗き込み、外気よりは温かいと言えど冷える庫内。冷たくなったアリアの手を挟んで温もりを分け与えつつ別の日にするかと問うた。
「大丈夫。緊張してるだけ。こういうには先延ばしにすればするほど行き難くなるから。今日、終わらせちゃいましょう」
「嫌だと思ったり、無理だと思ったら我慢をせずに言ってくれ」
「判った。ちゃんと言うわ」
馬車が停車をするといつも通り。扉が開けばステップが自動で出てくる。
先にエルフィンが下りるが、今日はその先が少し違った。
「おいで」
「エルフィン様。どっちの手を取ればいいの?」
「手じゃない。飛び込んでおいで。受け止める」
「馬鹿ですか!ご両親の前ですよ?どこの世界に実家でラブっぷりをアピールする夫婦がいるんですか!」
「不足してるんだよぅ~。お出かけドレスだって言ってさ、朝からメイドたちがアリアを独占してさぁ!!」
「駄々っ子にならないッ!ほら!皆さん見て笑ってるじゃない!」
侯爵家の使用人たちがエルフィンの甘えっぷりに失笑を漏らしているではないか。
(こっちが恥ずかしくなるわ!)
両手を引っ込めてくれないエルフィンに仕方なくアリアは右手だけを預けるとエルフィンはグイっとアリアの手を引き、さっとウェストを掴むと抱きしめてからゆっくり足を着地させた。
「危ないでしょう?転んだらどうするの!」
「大丈夫。その時は私が下になる」
「そういう問題じゃありませんって!」
「怒ったアリアも可愛いなぁ。キスしても?」
「ダメッ!!」
せっかく整ったかんばせなのに唇を突き出してキスを強請ってくる色魔になると良さが立ち消え。
ぐいっと近寄ってくるエルフィンを押し戻していると…。
「昼間から玄関で何をしているの!」
「母上」
(ゲェッ!!嘘やぁん。ぴえぇぇ)
嫁いできた者にとって同性の義両親はラスボス扱いで間違いない。
アリアから見れば最も畏れ多い姑にこんな場面を見られてしまったら後が怖い。
「母上、アリアです。可愛いでしょう?愛くるしいのは判りますけど3秒以上見ないでください。私を嫉妬の鬼にしたくないでしょう?最初に言っておきますが姑だから母親だから優位に立てると思わないでくださいね。アリアの素晴らしさを語って聞かせるなら5年はかかりますね」
(なんて紹介の仕方をしてくれちゃってんのよぅ!!5年って!知り合って2か月も経ってないのに!)
蔑めとは言わない。でもこの紹介はあんまりだ。
だが、エルフィンを生んだ母親だけはある。
「邪魔よ。女同士でしか判らないこともあるの。貴方は引っ込んでなさい」
「嫌です!私はアリアと1m以上離れたら生きていられないんです」
「嘘仰い。今、1m50は離れているわ」
エルフィンをグイっと押しのけた侯爵夫人はエルフィン以上の美女スマイルでアリアに微笑むと感極まったらしい。
「娘よぅ!!やっと娘が出来たわ!反抗して言いたい放題、好きな事ばかりで親は二の次三の次な息子よりやっぱり娘よぉぉ♡好きぃ!待ってたのよぉ~さぁ、こっちにいらっしゃい。好きそうなものを部屋いっぱいに用意したの」
「え。あれ?あの…」
ぐいぐいと手を引かれ。アリアは侯爵夫人によって屋敷の中に引きずり込まれた。
遠くでエルフィンがアリアを呼ぶ声がするが、「幻聴じゃなくって?」侯爵夫人は言い切る。
部屋に入ってみればドレスがずらり。
小物もずらり。化粧品もテーブル1つに乗りきらず箱から出せていないものが積まれている。
(親子って似る者なのね)
アリアはエルフィンの大人買いで場所を占領している布巾とガラス瓶が母親譲りなのだなと実感したのだった。
「気楽にしていいよ。侯爵家と言っても普通の家だし、父上は確かに元王子だけど王族のあれこれが嫌いで自由にさせてくれるって言うから母上と結婚して婿入りしたんだ」
(全く安心できる要素がないんだけど?)
普通の家だとか、束縛が嫌いだからとか間違いなくアリアの思うレベルとはランクが違う。
アリアにとっては片親でも同居をしている、それだけで気後れしてしまう。
束縛が嫌、自由がない。アリアにしてみればそんな理由で実家と離れられるのなら御の字だ。
親子の縁などないに等しいのに、除籍を願って手紙を出しても梨の礫。
無関心で有ることは残酷だ。ずっと縛られたままで生きていかねばならない。
通常、結婚をした時に家の籍をどうするか決めるもの。絶対ではなく保留期間も認められるけれどほとんどは家督の争いに巻き込まれたりするので結婚をしたら軸となる家に籍を移す。
アリアも移したいのだが父親がくだらない事に時間を使いたくないようで、パミル家とハース家、2つの籍を持ったままになっている。
きっと父親の存在も忘れかけた頃に死亡を知らされ、男爵家の廃家手続きに奔走することになる。気の重い話だ。
「やっぱり…日を改めたほうがいいか?」
緊張からか笑顔が消えたアリアにエルフィンは心配そうに顔を覗き込み、外気よりは温かいと言えど冷える庫内。冷たくなったアリアの手を挟んで温もりを分け与えつつ別の日にするかと問うた。
「大丈夫。緊張してるだけ。こういうには先延ばしにすればするほど行き難くなるから。今日、終わらせちゃいましょう」
「嫌だと思ったり、無理だと思ったら我慢をせずに言ってくれ」
「判った。ちゃんと言うわ」
馬車が停車をするといつも通り。扉が開けばステップが自動で出てくる。
先にエルフィンが下りるが、今日はその先が少し違った。
「おいで」
「エルフィン様。どっちの手を取ればいいの?」
「手じゃない。飛び込んでおいで。受け止める」
「馬鹿ですか!ご両親の前ですよ?どこの世界に実家でラブっぷりをアピールする夫婦がいるんですか!」
「不足してるんだよぅ~。お出かけドレスだって言ってさ、朝からメイドたちがアリアを独占してさぁ!!」
「駄々っ子にならないッ!ほら!皆さん見て笑ってるじゃない!」
侯爵家の使用人たちがエルフィンの甘えっぷりに失笑を漏らしているではないか。
(こっちが恥ずかしくなるわ!)
両手を引っ込めてくれないエルフィンに仕方なくアリアは右手だけを預けるとエルフィンはグイっとアリアの手を引き、さっとウェストを掴むと抱きしめてからゆっくり足を着地させた。
「危ないでしょう?転んだらどうするの!」
「大丈夫。その時は私が下になる」
「そういう問題じゃありませんって!」
「怒ったアリアも可愛いなぁ。キスしても?」
「ダメッ!!」
せっかく整ったかんばせなのに唇を突き出してキスを強請ってくる色魔になると良さが立ち消え。
ぐいっと近寄ってくるエルフィンを押し戻していると…。
「昼間から玄関で何をしているの!」
「母上」
(ゲェッ!!嘘やぁん。ぴえぇぇ)
嫁いできた者にとって同性の義両親はラスボス扱いで間違いない。
アリアから見れば最も畏れ多い姑にこんな場面を見られてしまったら後が怖い。
「母上、アリアです。可愛いでしょう?愛くるしいのは判りますけど3秒以上見ないでください。私を嫉妬の鬼にしたくないでしょう?最初に言っておきますが姑だから母親だから優位に立てると思わないでくださいね。アリアの素晴らしさを語って聞かせるなら5年はかかりますね」
(なんて紹介の仕方をしてくれちゃってんのよぅ!!5年って!知り合って2か月も経ってないのに!)
蔑めとは言わない。でもこの紹介はあんまりだ。
だが、エルフィンを生んだ母親だけはある。
「邪魔よ。女同士でしか判らないこともあるの。貴方は引っ込んでなさい」
「嫌です!私はアリアと1m以上離れたら生きていられないんです」
「嘘仰い。今、1m50は離れているわ」
エルフィンをグイっと押しのけた侯爵夫人はエルフィン以上の美女スマイルでアリアに微笑むと感極まったらしい。
「娘よぅ!!やっと娘が出来たわ!反抗して言いたい放題、好きな事ばかりで親は二の次三の次な息子よりやっぱり娘よぉぉ♡好きぃ!待ってたのよぉ~さぁ、こっちにいらっしゃい。好きそうなものを部屋いっぱいに用意したの」
「え。あれ?あの…」
ぐいぐいと手を引かれ。アリアは侯爵夫人によって屋敷の中に引きずり込まれた。
遠くでエルフィンがアリアを呼ぶ声がするが、「幻聴じゃなくって?」侯爵夫人は言い切る。
部屋に入ってみればドレスがずらり。
小物もずらり。化粧品もテーブル1つに乗りきらず箱から出せていないものが積まれている。
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