〜棘〜数限りない未来を、ただ君だけに捧ぐ。
清水 弥生は、昔馴染みで後輩の小山内 拓人の結婚式にて、拓人が同じ職場の同僚と不倫関係にあるという噂話を聞かされる。兄貴分の自分の知らぬ間に、やる事はやってるんだね、という冷めた感情を持ち合わせながらも、弥生は、自分の感情に素直になって、心の中で不倫相手の女性と拓人に対する冷たい口撃を続けていた。
黛 世良という存在がありながら、他の人間と結婚をする選択をした拓人に、憮然とした気持ちを抱きながら。
『好きなんです。世良さんが』
あの日聞いた告白を、弥生は今でも鮮明に脳裏に思い出せる。世良を前にすると、誰か一人を間に挟まなければ、碌に会話一つ成り立たせる事が出来ない恥ずかしがり屋の拓人に置き石扱いを受けながら、弥生は、ただ一人、胸の柔らかな場所に深く突き刺さった棘の痛みを持て余していた。
何の為に、誰が為に。
『えー……結婚おめでとう、拓人』
全ては、ただ君一人の為に。
❇︎多角関係。不倫描写有り。苦手な方はご遠慮下さい。
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