文字の大きさ
大
中
小
58 / 190
ガート帝国編
第74話 転移であちこち移動
冒険者ギルドに向かいつつ、あちこちの商店を覗いてみる。一等地にある商店なだけあって若干値段が高く感じるけれど、貴族御用達が多いんだろう……身形のいい人が買い物をしている姿が目立った。
たぶん、貴族の屋敷から買いに来ているんだろうね。
売っているものは食材がほとんどだが、肉や魚、野菜と果物、雑貨と花屋など、多岐に亘っている。本当に新鮮な魚があることに驚いたよ、わたしゃ。どこから仕入れてるんだろう?
やっぱダンジョンか川なのか?
さすがに武器や防具を扱っている店は別のところにあるのかなかったし、道具屋に関しても一般的に使うようなものばかり置いていた。
一応魔道具を売っている店も覗いてみたけれど、やっぱり炊飯器はない。ただ、ダッチオーブンは見つけたので、料理の幅は広がると思う。
そういえば、料理長のところにもあったなあ。あれでローストビーフを作ったり、コッコの丸焼きを作るのもいいかもしれない。
あとで提案してみよう。
私も欲しいのでダッチオーブンを買い、また通りを歩く。花屋も覗いてみると、確かに帝都なだけあって、あの町とは比べ物にならないくらい種や苗の数が多かった。
これといって必要なものはなったが、町にはなかった冬野菜の種が売られていたので、それを買う。あの町よりも北に位置する都市だからなんだろう、これから種まきをする用なのだと教えてくれた。
ここに来る途中に水田もあったけれど、こっちはまだ穂先は黄金色になっていなかったしね。日本に例えると、関東以北って感じの気温なんだろう。
そう考えると、本当に帝国は広いなあと感じた。大国と呼ばれるだけのことはある。
一通り巡り、そのまま冒険者ギルドへ。武器や防具の店はギルド周辺に集まっていた。
帝都の周りにはダンジョンがふたつあるらしく、その情報や地図も売られている。
ひとつは料理長たちから聞いた食材ダンジョン、もうひとつは、いろんな素材が採れる、一般的なダンジョンみたい。……どんなダンジョンを一般的と言うかは知らないので置いとく。
ある程度の情報を集めたので、人気のない路地に入ると、マップを確認する。今まで通って来た場所で必要なものが買えたり取れたりする場所には、全てピンを打ってあった。
「よし。ノン、エバ。これから転移を試すけど、どうする? 一緒に来る?」
<<行く!>>
「わかった。なら、ピオとリコにも連絡しておかないとね」
念話を飛ばしてから、あの漁港がある町へと転移魔法を使ってみる。一瞬にして町に近い場所に転移できた。そこから鉱山都市や桜やオニグルミの樹があった場所にも飛んでみたけれど、魔力は一定だった。
つまり、どんなに遠くの場所でも、某国民的RPGのように転移する場合の魔力は一定ってことだ。
これならあちこちに行けるし、拠点となる場所さえできてしまえば、転移で簡単に帰ってこれる。そうと決まれば、もう一度漁港に飛んでお兄さんのところに行くと、今回も十五箱出たとかでそれを買い占めた。
その後は村に飛んで様子を見てみると、きちんと宿屋と食事処ができていたし、アクセを売る店もできていた。アクセもツナも評判がいいようで、お客さんが並んでいることにホッとした。
ミショの実が連なっているところに行ってみれば冒険者たちが採取していて、今一番人気の調味料だと教えてくれたのだ。あの冒険者たちはしっかりと広めてくれたみたいね。
これなら、そのうち国中に広まっていくだろう。
そしてネズミ獣人がいた村に行けば、宿屋は繁盛していた。ハンバーグ目当てで近くの村や町から来ているみたい。
そして最後に、一番最初に行った獣人の村に行ってみれば、こっちも何の問題もなかった。土がよくなったことで新たに野菜を植えたらしく、それも元気に芽を出している。
これなら飢えることもなくなるだろう。
とりあえず一通り見て回ったあと、帝都に戻ってくる。戻った時も誰にも会わなかったから、特に問題になることもなかった。
そのままカッテリーニ商会に戻ると、料理長に取っ捕まった。何事!?
「アリサ、料理を教えてくれ!」
「いきなりなんなのよ」
「あの醤油と味噌を使った料理だよ! 他にもあるんだろう?」
「あるけど……」
「あと、米の炊き方をもう一度教えてくれ」
「わかった」
勉強熱心だねぇ、料理長は。もちろん、他の料理人もだけれど。
内心で苦笑しつつ、材料は何か聞くと、いい魚が手に入ったというので、それにしてほしいという。手に入った魚はサバ。
サバなら醤油煮もいいけど、味噌煮のほうがいいかな? 他にも卵を使って出汁巻き卵にしたり、サラダを作ってドレッシングを作ってもらったり、じゃがいもの味噌汁を作ってもらった。夜はオークの角煮とオーク汁にしよう。
米は水分が多かったので少し減らすようにしてもらい、お惣菜としてきんぴらごぼうとニンジンしりしり、ピーマンしりしりと大根とコッコの煮物を教え、作る。他にも焼きナスやナスの煮びたしも教えた。
「これは副菜といって、メインとは違う一品料理という位置付けなの。おかずが足りないなあと感じた時に作るといいわ」
「なるほど」
メモをしながら頷く料理人たち。本当に熱心だ。他にもステーキに合うソースをいくつか教えた。
お昼ご飯を食べたあとは、ディエゴと商談だ。といっても真珠に関することだけで、宝石を使ったアクセは保留。
「で、これが真珠よ」
「す、凄い数ですな……」
「でしょう? この箱ひとつで銀貨一枚なの」
「な、なんと……!」
ディエゴが驚くのもわかる。価値を知らないって恐ろしいよね。
ただ、あの村で真珠が売りに出されているからなのか、若干需要が高まっているらしく、お兄さん以外の人のところで真珠を買っていく人がいるんだとか。真似をしようと思っているみたい。
お兄さん曰く、あの村の職人二人のような形にできなくて、失敗続きらしいと笑っていたが。
まあねえ……土台や鎖の構造を知らないと失敗するよね。簡単そうに見えて、実は大変だし。ビーズも原材料を知らないと作れないしね。
まあ、そんな漁港にいる人たちの状況はともかく。
「真珠に関しては、道具と材料、やる気があるのであれば、職人でも作れるわ」
「そのことなのですが、興味を示した方がおりまして」
「あら。なら、その人に作ってもらう?」
「そうしていただけると助かります」
「いいわ。教えるわ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうな顔をして頭を下げるディエゴに、慌てて頭を上げるように言う。
ここから商談だ。
真珠は私が卸すこと。その時の買い取りは、原価の二倍。作成した真珠のアクセが売れた場合は、職人に八割、私に一割、店で売ったり貴族に売ったりするから、仲介料としてディエゴに一割ということで落ち着いた。
お金はいらないんだけどなあ。まあいいや。
職人を優遇するのはディエゴにとっても当たり前だったようで、他の商店よりも高く設置しているという。私には適正価格が全くわからないから、丸投げした。
「じゃあ、練習も兼ねて、五箱渡すわね。当日でいいかしら」
「ありがとうございます。当日で構いません。職人との顔合わせは、明日の午前中でどうでしょう?」
「構わないわ」
ニコニコにっこりと手堅く握手。真珠の商談はこれで終わり。
次はミショの実を使った調味料についてだ。これはミショの実とすり下ろし器をセットで売ったらどうかという案と、醤油と味噌を分けて売ったらどうかという案だ。
ただ、どっちにしても調味料として売り出す以上、レシピが必要なわけですよ。それをどうするかという問題もある。
「簡単なものならいいけれど、難しいとレシピがあったとしても、誰も手にしないと思うわよ?」
「そう、ですな……」
「一番わかりやすいのは串焼きやステーキ、おにぎりだと思うの。それを屋台で売ってみたらどうかしら」
「味見、ということですかな?」
「ええ。一番わかりやすいでしょ? 難しいレシピは料理人たちで、簡単なものは庶民といった感じで分けてもいいと思うわよ? もちろん、作れるのであれば、垣根をなくしてもいいと思うし。むしろ限定しないほうが、いいかもしれないわね」
ヒントはスーパーにいる、実演販売をしているおばちゃ……お姉様たちだ。串焼きや焼きおにぎりならば用意も簡単だし、たれとご飯の仕込みさえしてしまえばどうにでもなる。
醤油や味噌の焼ける匂いって強烈だからね~。絶対に匂いに釣られて寄ってくると思う。
そんな話をすれば、ディエゴも休憩所で作った様子を思い出したんだろう……力強く頷いた。
醤油と味噌はあとでいいからと、まずは真珠をどうにかすることに決める。
そのあとは今度行く村がどんな場所にあるのか、住人はどんな人かを聞いているうちに夕飯の仕込みの時間になり、料理長がわざわざ迎えにくるほどだった。どんだけ楽しみにしているんだ……。
結局、オーク肉を使った角煮とオーク汁、ポテトサラダとキャベツの浅漬け。ニンジンとゴボウ、大豆とコッコを使った混ぜご飯を用意したのだった。
たぶん、貴族の屋敷から買いに来ているんだろうね。
売っているものは食材がほとんどだが、肉や魚、野菜と果物、雑貨と花屋など、多岐に亘っている。本当に新鮮な魚があることに驚いたよ、わたしゃ。どこから仕入れてるんだろう?
やっぱダンジョンか川なのか?
さすがに武器や防具を扱っている店は別のところにあるのかなかったし、道具屋に関しても一般的に使うようなものばかり置いていた。
一応魔道具を売っている店も覗いてみたけれど、やっぱり炊飯器はない。ただ、ダッチオーブンは見つけたので、料理の幅は広がると思う。
そういえば、料理長のところにもあったなあ。あれでローストビーフを作ったり、コッコの丸焼きを作るのもいいかもしれない。
あとで提案してみよう。
私も欲しいのでダッチオーブンを買い、また通りを歩く。花屋も覗いてみると、確かに帝都なだけあって、あの町とは比べ物にならないくらい種や苗の数が多かった。
これといって必要なものはなったが、町にはなかった冬野菜の種が売られていたので、それを買う。あの町よりも北に位置する都市だからなんだろう、これから種まきをする用なのだと教えてくれた。
ここに来る途中に水田もあったけれど、こっちはまだ穂先は黄金色になっていなかったしね。日本に例えると、関東以北って感じの気温なんだろう。
そう考えると、本当に帝国は広いなあと感じた。大国と呼ばれるだけのことはある。
一通り巡り、そのまま冒険者ギルドへ。武器や防具の店はギルド周辺に集まっていた。
帝都の周りにはダンジョンがふたつあるらしく、その情報や地図も売られている。
ひとつは料理長たちから聞いた食材ダンジョン、もうひとつは、いろんな素材が採れる、一般的なダンジョンみたい。……どんなダンジョンを一般的と言うかは知らないので置いとく。
ある程度の情報を集めたので、人気のない路地に入ると、マップを確認する。今まで通って来た場所で必要なものが買えたり取れたりする場所には、全てピンを打ってあった。
「よし。ノン、エバ。これから転移を試すけど、どうする? 一緒に来る?」
<<行く!>>
「わかった。なら、ピオとリコにも連絡しておかないとね」
念話を飛ばしてから、あの漁港がある町へと転移魔法を使ってみる。一瞬にして町に近い場所に転移できた。そこから鉱山都市や桜やオニグルミの樹があった場所にも飛んでみたけれど、魔力は一定だった。
つまり、どんなに遠くの場所でも、某国民的RPGのように転移する場合の魔力は一定ってことだ。
これならあちこちに行けるし、拠点となる場所さえできてしまえば、転移で簡単に帰ってこれる。そうと決まれば、もう一度漁港に飛んでお兄さんのところに行くと、今回も十五箱出たとかでそれを買い占めた。
その後は村に飛んで様子を見てみると、きちんと宿屋と食事処ができていたし、アクセを売る店もできていた。アクセもツナも評判がいいようで、お客さんが並んでいることにホッとした。
ミショの実が連なっているところに行ってみれば冒険者たちが採取していて、今一番人気の調味料だと教えてくれたのだ。あの冒険者たちはしっかりと広めてくれたみたいね。
これなら、そのうち国中に広まっていくだろう。
そしてネズミ獣人がいた村に行けば、宿屋は繁盛していた。ハンバーグ目当てで近くの村や町から来ているみたい。
そして最後に、一番最初に行った獣人の村に行ってみれば、こっちも何の問題もなかった。土がよくなったことで新たに野菜を植えたらしく、それも元気に芽を出している。
これなら飢えることもなくなるだろう。
とりあえず一通り見て回ったあと、帝都に戻ってくる。戻った時も誰にも会わなかったから、特に問題になることもなかった。
そのままカッテリーニ商会に戻ると、料理長に取っ捕まった。何事!?
「アリサ、料理を教えてくれ!」
「いきなりなんなのよ」
「あの醤油と味噌を使った料理だよ! 他にもあるんだろう?」
「あるけど……」
「あと、米の炊き方をもう一度教えてくれ」
「わかった」
勉強熱心だねぇ、料理長は。もちろん、他の料理人もだけれど。
内心で苦笑しつつ、材料は何か聞くと、いい魚が手に入ったというので、それにしてほしいという。手に入った魚はサバ。
サバなら醤油煮もいいけど、味噌煮のほうがいいかな? 他にも卵を使って出汁巻き卵にしたり、サラダを作ってドレッシングを作ってもらったり、じゃがいもの味噌汁を作ってもらった。夜はオークの角煮とオーク汁にしよう。
米は水分が多かったので少し減らすようにしてもらい、お惣菜としてきんぴらごぼうとニンジンしりしり、ピーマンしりしりと大根とコッコの煮物を教え、作る。他にも焼きナスやナスの煮びたしも教えた。
「これは副菜といって、メインとは違う一品料理という位置付けなの。おかずが足りないなあと感じた時に作るといいわ」
「なるほど」
メモをしながら頷く料理人たち。本当に熱心だ。他にもステーキに合うソースをいくつか教えた。
お昼ご飯を食べたあとは、ディエゴと商談だ。といっても真珠に関することだけで、宝石を使ったアクセは保留。
「で、これが真珠よ」
「す、凄い数ですな……」
「でしょう? この箱ひとつで銀貨一枚なの」
「な、なんと……!」
ディエゴが驚くのもわかる。価値を知らないって恐ろしいよね。
ただ、あの村で真珠が売りに出されているからなのか、若干需要が高まっているらしく、お兄さん以外の人のところで真珠を買っていく人がいるんだとか。真似をしようと思っているみたい。
お兄さん曰く、あの村の職人二人のような形にできなくて、失敗続きらしいと笑っていたが。
まあねえ……土台や鎖の構造を知らないと失敗するよね。簡単そうに見えて、実は大変だし。ビーズも原材料を知らないと作れないしね。
まあ、そんな漁港にいる人たちの状況はともかく。
「真珠に関しては、道具と材料、やる気があるのであれば、職人でも作れるわ」
「そのことなのですが、興味を示した方がおりまして」
「あら。なら、その人に作ってもらう?」
「そうしていただけると助かります」
「いいわ。教えるわ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうな顔をして頭を下げるディエゴに、慌てて頭を上げるように言う。
ここから商談だ。
真珠は私が卸すこと。その時の買い取りは、原価の二倍。作成した真珠のアクセが売れた場合は、職人に八割、私に一割、店で売ったり貴族に売ったりするから、仲介料としてディエゴに一割ということで落ち着いた。
お金はいらないんだけどなあ。まあいいや。
職人を優遇するのはディエゴにとっても当たり前だったようで、他の商店よりも高く設置しているという。私には適正価格が全くわからないから、丸投げした。
「じゃあ、練習も兼ねて、五箱渡すわね。当日でいいかしら」
「ありがとうございます。当日で構いません。職人との顔合わせは、明日の午前中でどうでしょう?」
「構わないわ」
ニコニコにっこりと手堅く握手。真珠の商談はこれで終わり。
次はミショの実を使った調味料についてだ。これはミショの実とすり下ろし器をセットで売ったらどうかという案と、醤油と味噌を分けて売ったらどうかという案だ。
ただ、どっちにしても調味料として売り出す以上、レシピが必要なわけですよ。それをどうするかという問題もある。
「簡単なものならいいけれど、難しいとレシピがあったとしても、誰も手にしないと思うわよ?」
「そう、ですな……」
「一番わかりやすいのは串焼きやステーキ、おにぎりだと思うの。それを屋台で売ってみたらどうかしら」
「味見、ということですかな?」
「ええ。一番わかりやすいでしょ? 難しいレシピは料理人たちで、簡単なものは庶民といった感じで分けてもいいと思うわよ? もちろん、作れるのであれば、垣根をなくしてもいいと思うし。むしろ限定しないほうが、いいかもしれないわね」
ヒントはスーパーにいる、実演販売をしているおばちゃ……お姉様たちだ。串焼きや焼きおにぎりならば用意も簡単だし、たれとご飯の仕込みさえしてしまえばどうにでもなる。
醤油や味噌の焼ける匂いって強烈だからね~。絶対に匂いに釣られて寄ってくると思う。
そんな話をすれば、ディエゴも休憩所で作った様子を思い出したんだろう……力強く頷いた。
醤油と味噌はあとでいいからと、まずは真珠をどうにかすることに決める。
そのあとは今度行く村がどんな場所にあるのか、住人はどんな人かを聞いているうちに夕飯の仕込みの時間になり、料理長がわざわざ迎えにくるほどだった。どんだけ楽しみにしているんだ……。
結局、オーク肉を使った角煮とオーク汁、ポテトサラダとキャベツの浅漬け。ニンジンとゴボウ、大豆とコッコを使った混ぜご飯を用意したのだった。
感想 2,851
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない・完結
まほりろ王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
婚約破棄されたので、王家の死亡通知を先に出しました
くるみ婚約破棄を告げられたセレスティアは、静かに微笑んだ。
「では、王家の救命措置を終了いたします」
その一言で、王国は大混乱。役目を終えたセレスティアは、晴れやかに旅立つ。