思いの行方

饕餮

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本編

彬の思いと残念なお知らせ

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「そんな気持ちよさそうに眠って……」

 スースーと寝息を立てて助手席で眠る紫を横目に見ながら溜息をつく。被せていた毛布を少しずらせば、少しはだけたバスローブから要と僕が着けたキスマークがあらわになった。それをそっと撫でれば、身体にまだ余韻が残っているのか、紫が小さく喘ぐ。

「全く……意外性の女だよね、君は……」

 初めて見た時はショートカットの髪だったし、要が声をかけていたから男かと思えば女で、異常に痩せてると思えば食べられないのはレイプが原因だと言う。
 抱けば思った以上のイイ声で啼くし、普通に会社務めかと思えば小説を書いていると照れながら話す。
 流されるだけの女かと思えば、拒否る時はきっぱり拒否る。

 出会って数日だというのに、そんな彼女に目が離せなくなっている自分に気付く。

 僕が要の家に行った時、寝室から紫の喘ぎ声が聞こえた。要の様子から、僕の知らないところでいずれは紫を抱くだろうと思ってはいたけど、こんなに早い段階で紫を抱くとは思わなかった。
 だから、要に簡単に抱かれている紫に怒りもしたし、遠回しに僕が恋人だと宣言したにも拘わらず紫を抱いていた要に怒りもしたけれど、僕が抱いている時のような声で喘ぐ紫の声に我慢ができなくなった。混ざりたいと……交ざりたいと思ってしまったのだ。

 自分が交ざることで、紫がフラッシュバックを起こすことは容易に想像できたが、それでも紫の声で抱いた時のことを思い出してしまえば、股間があっという間に張り詰めた。

 僕を抱いたことがある要が、スキンやローションをどこに置いてあるかを知っていたからこその暴挙。知ってはいても、二人であんなふうに抱くつもりはなかったのに……。

 怒りに任せて紫のアナルに挿れた瞬間、そんな気持ちはどこかへと飛んでしまった。

 アナルの壁から伝わる要のモノの太さと動き、蜜壺同様に狭いアナル。男を抱いている時とは違う狭さに、すぐに気持ちよくなってしまった。
 乳首とクリを同時に愛撫すれば啼いて喘ぎながら更に締めつけ、要が同時に乳首を舐めて吸えば、更に締めつけて啼き喘ぐ紫……。

 それを思い出してしまい、運転中だと言うのに紫のバスローブを更にはだけて胸をあらわにすると、乳房を揉んだり乳首を捏ねたりし始める。

「あ……ん……は……ぁ……」
「……そんな声を出されたら、寝てても抱きたくなるじゃないか……」

 本当に抱いてしまおうかと思うものの、明日は裸エプロンをしてくれる約束とたっぷり抱くと言ってあるのだ。その時まで何とか我慢しようと決めて家路を急ぐ。
 紫を先に連れていって自分のベッドに寝かせ、また車に戻って荷物を持つ。そのまま郵便受けを見に行けば、A4サイズの封筒があった。ひっくり返して見れば、その裏には父の名前。

「もしかして、頼んだやつかな……」

 随分早かったなぁ、なんてことを思いながら部屋に戻ってコーヒーを淹れ、ご飯を食べながら早速封筒を開けると。

「……予想通りというか、予想以上というか」

 内容を見てそれに苦笑しつつ、どこかでまた要と一緒に紫を抱いてもいいと思っていることに気付く。

「それもいいかもね……」

 クスリと笑って封筒を引き出しにしまうと、父に電話をしてある事を頼む。父は驚いていたものの「後日理由をちゃんと話すから」と言うと、父も納得したのか「わかった、進めておく」と電話を切った。
 ふう、と息を吐いてベッドに潜りこむと、紫を抱き締める。しばらく紫の乳房を揉んでいたものの、紫にご飯を食べさせていないことに気付いて起こしたが、紫は起きなかった。

「……冗談抜きに、やり過ぎた、かな……」

 要がいつから紫を抱いていたのかはわからないが、紫の声と身体を堪能したくて僕と要の二人でゆっくりと抱いたから、相当疲れているはずだ。しかも、僕も要も、一回の射精をわざと長引かせていたのだから、かなり長い時間、紫を喘がせ、啼かせ、揺さぶっていたことになる。

「気絶したのは当然かも……」

 気持ちよすぎて気絶したならいいんだけどとか、明日怒られるかなと内心で呟いて溜息をつく。もしかしたら紫を抱くどころか、裸エプロンすらしてくれないかも……とまた溜息をつき、今のうちに乳房を沢山揉んでおこうと考えてまたしばらく揉み、ついでにと蜜壺に指も挿れて紫を啼かせる。
 それでも起きない紫に苦笑しつつ、紫の起き抜けに抱くのもいいかもと考えて紫をイかせると、腕に閉じ込めてから眠りについた。


 ***


 目が覚めてあちこち見れば、彬が私を抱き締めながら眠っていた。そのことにホッとしながら身体を捻れば、足腰が痛い。

「うう……痛い……」

 特にお尻のほうとか。何で痛いんだっけとしばらく考えて、昨日のことを思い出して溜息をつく。

 東城に抱かれてしまった……いずれは義兄になるであろう人に。しかも彬も混じって、二人に抱かれてしまった。
 東城にもダメな時はダメって言わないと、また東城に抱かれた挙げ句、二人一緒に抱かれかねない。二人を許してしまった私にそれができるだろうか……と思っていたらお腹が鳴った。

「そう言えば、夕飯食べてない……」

 一旦家に帰ってご飯を食べようかなと思って彬の腕の中から出ようとしたら、その腕が更に絡まって首筋にキスが落とされた。腕がそのまま動き、乳房を揉みながら秘部をまさぐり始める。

「あんっ、やっ、彬、さん……っ」
「おはよう」
「おはよう……ん……っ、あっ、朝からは……」

 朝からはやめてと言おうと思ったら、またお腹が鳴った。

「あはは!」
「笑い事じゃないんだけど……」
「昨日から食べてないんだから当然かな? すぐに何か作るよ。リクエストある?」
「うーん……あ、フレンチトーストが食べたい」

 リクエストした私に「いいよ」と返事をした彬は動かしていた手と指の動きを止めると、「一緒に作ろう」と言って私の身体も起こすと、先にベッドから降りてエプロンを持って来た。

「えー? ……早速なの?」
「約束したでしょ? ところで……立てる?」
「……わかんない」

 立てない気がしなくもないんだけどと思ったものの、ベッドから降りて立ち上がれば、足腰は痛かったけれど何とか立って歩くことができた。といっても、足はプルプルと震えていたけれど。

「大丈夫そうだね。じゃあ、裸エプロン、よろしく!」

 それを見た彬が、笑いながら楽しそうにお願いをして寝室からさっさと出て行ってしまったので、溜息をついてエプロンだけを身に付ける。

「こんな約束なんかするんじゃなかった……」

 裸エプロンはかなり恥ずかしいよと思っても後の祭。

 エプロンの形――乳房の膨らみが半分近く見え、もう少し胸が大きかったら乳首が見えそう――とか、裾の短さ――太股の半分くらいのミニスカート丈――にもう一度溜息をついてバスローブを畳むと、彬の元へといった。それに気付いた彬が私を見るとにっこり微笑む。
 でも、その目には明らかな欲望が煌めいている……抱く気満々でいる。

「……うん、いいね、そのエプロン。紫のおっぱいが大きくなるのが、今からすっごい楽しみだね……」
「なに、その変態ちっくな発言……」
「変態って……。せめて男のロマンって言ってよ。当然のことながら、今後もやってもらうよ宣言? だってそのエプロンなら、もう少しおっぱいが大きくなれば確実にはみ出すでしょ? 今だって、膨らみは充分はみ出してるし」

 乳首も見えそうだよねと言いながら、彬はエプロンのふちをなぞりながら中央に寄せて胸をあらわにし、乳首を掠める。そのまま胸に顔を埋めて乳首を舐めながら腰を撫で、お尻を掴むとやわやわと揉み始めた。

「あんっ、ちょっ、彬さん! ご飯が先!」
「……ちっ」
「舌打ちしない!」
「ちょっとくらいいいでしょ? ……あ、そう言えば、要が連絡ちょうだいってさ」
「何で……」
「がっついた僕たちも悪かったんだけど、紫は僕と要に抱かれて気絶しちゃったから、話し合いしてないんだよね。……そんなに気持ち良かった?」

 そんなことを聞かれて昨日のことを思い出してしまい、思わず身体が震えて乳首が硬くなり、顔も赤くなるのがわかる。それが彬にもわかったのか私の乳首を見て目を細めて笑うと、片手は指先で乳首を捏ね回し、片手は乳房を揉みながら乳首を口に含んで舐め始める。

「紫……さっきのせいもあるかも知れないけど、乳首が物欲しそうに勃ってるよ?」
「あっ、はぅ……っ」
「てことは、こっちもかな?」
「あっ、やんっ」

 乳首を捏ねていた指先が離れ、それを秘部に持って行った彬は、更に笑みを深めてゆっくりと擦り始め、胎内に指先を入れると動かし始める。それだけで、秘部が濡れているのがわかってしまった。

「あっ、あっ、あんっ、彬、さん……っ、やっ」
「やっぱり……。さっきより濡れてるよ? 身体は期待してるみたいだから、また今度二人で抱いてあげるね。でも、今日は僕が先にたっぷりと抱いてあげる」
「あっ、あっ」
「でもその前に、要に連絡してきたら? その間に作っておくから」

 中途半端に身体を弄び、クスクス笑った彬を軽く睨んでエプロンを直す。その場を離れて自分の荷物を探すと、寝室のところにバッグと昨日着ていた洋服が紙袋に入っていた。
 それを紙袋から出しながら、そう言えば東城の連絡を知らないと思って彬に聞こうとしたら、服の間からメモが出て来た。それを開いて見れば、東城の名前と電話番号、メールアドレスが書かれていた。
 仕方なしにスマホを出してメモの番号にかけると、東城は直ぐに出た。

『……もしもし?』
「あの……紫、です。昨日は、その……」
『おう、紫か。ちょっと待ってくれ』

 そう言われてしばらく待つ。東城はどこかに移動しているのか、バタンという音が遠くで聞こえる。

『すまん、待たせた。ちょうど車に乗るとこだったんだ』
「ならかけ直します」
『ハンズフリーにしたから問題ない。どうした?』
「『どうした』は私のセリフです。彬さんに『連絡ちょうだいって言ってたよ』って言われたから……」
『ああ、そうだった……紫にこの番号教えたのは俺だったな。ってことは、メモを見つけたか?』
「はい」
『なら、今後はこっちに連絡しろ。俺もこの番号にかけるから。あとでメールも送っとけよ? で、だ。今後の予定なんだが……』

 アドレスも知られるのかと思うと、少し憂鬱だ。父はともかく、朱里にさえこの番号は教えてないというのに、東城からバレ兼ねない。
 教えないように釘を刺しておこうと考えながらも、東城の話に耳を傾ける。しばらくは週二回ツボ圧しをすることと、改善されて来たら週一回に減らすこと、ツボ圧しは別の場所でやることを告げられた。

「別の場所?」
『ああ、変な場所とかじゃないぞ? それは今度教えるが……予定は今んとこそれでいいか?』
「いいですけど……私に予定があった場合、日にちとか時間はずらしてもらえるんですよね?」
『前以て言ってくれればずらすぞ? その辺は今度会った時か、メールで教えてくれ』
「わかりました」
『じゃあ、次は三日後な。昨日と同じ場所、同じ時間に来てくれ。そこから案内するし、帰りも送って行くから。それから……昨日のお前、すげえエロ可愛くて気持ち良かったぞ? じゃあな』

 言い逃げしてさっさと電話を切ってしまった東城に絶句する。東城と言い彬と言い、何を考えているのかわからない。
 溜息をついて電話を切り、スマホとメモをバックに閉まってふと自分の身体を見る。

 多少は胸の膨らみはあるものの、痩せすぎともいえるこの身体は全然女性らしく見えない。それなのに、どうして二人とも私を抱きたがり、『気持ち良かった』と言うのか全くわからない。
 それとも、女性らしくない身体だから……男性みたいな身体だから抱きたがるのだろうか。

(確かに二人とも両刀使いバイセクシャルだけど……)

 そんなことはないと思うけれど、男性だと思われているならかなりショックだ。「できたよ」と言う彬の声に反応してそっちに行くと、フレンチトーストとサラダ、スープとコーヒーが置かれていた。
 それを見てまたお腹が鳴る。それを聞いた彬が思い切り笑い声をあげ、内心ムッとする。

「あはははは!」
「うう……」
「お待たせ。じゃあ食べようか。ちゃんと全部食べるんだよ?」

 彬にそう言われて席に着くと、「いただきます」をして食べ始める。
 綺麗に全部平らげて、彬と一緒に洗い物をして、昼食と夕食の仕込みを一緒にやって。
 仕込みの途中で「我慢できない」と言った彬に立ったまま後ろから一度抱かれ、仕込みが終わったあとでベッドで二度抱かれた。遅い昼食後に「たっぷりと抱く」と言った彬にまた抱かれそうになったけれど、なんとなく予感があってトイレに行ったら彬にとって問題が発生した。

「来そうな気配はしてたんだよね。……まるまる一週間は無理だからね?」
「……」

 キッパリと釘を刺すと、彬は黙ってしまった。
 彬にとっての問題……つまり、私に生理が来たわけで。二人にスキン無しで抱かれたから、心配していた妊娠をしていないことに内心安堵しつつも、服に着替えてから荷物を持って一旦部屋に戻った。
 下着類を生理用の物に変えてから着替え、下着を先に少し洗ってから洗濯機に服やら何やらと一緒に放り込んでスイッチを入れる。乾燥機能付きだから、放っておいても大丈夫だ。
 ノートパソコンとスマホ、財布と手帳を入れたバックを持って彬の家に行くと。

「……やっぱり我慢しないで、寝てる紫を抱けばよかった……」

 彬は残念そうな顔をしてがっくりと項垂れ、そう呟いた。

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