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本編
エピローグ
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「それで? それで? おばあちゃんはどんなところを旅したの?」
「そうねえ……私のお母さんの国にも行ったわねえ」
話をねだったのは玄孫の子どもだ。総勢五人の男女が私の周囲に集まり、私の若いころの話を聞いている。
さすがに転移してきたという話はしていないけど、そういった部分を抜きにしてアントス様の話もしたのだ。アマテラス様やツクヨミ様、スサノオ様はアントス様の上司として話している。
エアハルトさんと結婚して、四千年たった。
鳳凰が従魔にいたからなのか、魔神族としてはとても長生きしたエアハルトさんとアレクさん。両親は千年前に相次いで亡くなり、『アーミーズ』のメンバーもそのころに相次いでなくなった。
病気ではなく、ちゃんと天寿を全うして逝ったのだ。
そしてアレクさんが五百年前に、ナディさんもあとを追うように亡くなった。
マルクさんは私たちが結婚して五百年たったころに、ハインツさんも同じころ亡くなった。
夫となったエアハルトさんは、「アントス様のところで待っているから」との言葉を最期に、五百年前に逝ってしまった。もちろん、彼の従魔たちもこの世にいない。
そして私の従魔たちと眷属たちはというと、眷属たちのほうが寿命が短いそうで、二千年前に逝ってしまった。彼らもアントス様のところで待っているからとの言葉を残して。
そしてレンとシマが一年前に、ソラとユキが半年前に、ロックが去年逝った。アントス様のところにいるからと。不思議なことに、眷属たちも従魔たちも、遺体が残らなかった。
まるで、そのまま神界に行ったみたいに。
今、私の側にいるのは、最初に従魔になってくれたラズとスミレ、みんなのリーダーポジションだったロキしか残っていない。そんな三匹も、私の寿命に合わせるかのように、今は私と一緒に寝ている。
「ばあちゃん!」
「「ひいおばあちゃん!」」
「「「神酒が作れた!」」」
「まあ! それはよかったわ! これで心置きなく、おじいさんのところに逝けるわねぇ」
「そんなこと言うなよ、俺はもっとばあちゃんに教えてもらいたいよ」
エアハルトさんによく似た二番目の息子の長男――孫と、孫の娘と息子が一緒に入ってきて嬉しい報告をしてくれる。孫の見た目は三十代後半。一番エアハルトさんに似ているから、本当に懐かしくなる。
エアハルトさんと結婚して、初夜で授かった子が長男。それを皮切りに、三年おきに長女、次男、次女と四人の子どもを授かった。
長男と次女が「冒険者になる」と言って家を飛び出し、今やSランクになって世界中を旅している。時々手紙と一緒にその国の特産品や薬草を送ってくるから、元気でやっているんだろう。
ただ、そろそろいい年なんだから引退してほしいとは思うものの、本人たちは至って元気だから、彼らの息子や娘たちが「なんとかしてくれ」と泣き付いてきたこともあった。
長女は官僚となって王宮で働いていたけど、グレイさんの長男に見初められて結婚した。今はグレイさんたちのあとを継いで、立派な領主になっている。そんなグレイさんたちも、八百年前に亡くなったし、娘たちももうじき領主を交代する。。
そして次男は薬師になると言って私に弟子入りし、立派な薬師になった。店も彼が継いでいて、その弟子として孫が一人とひ孫二人、修業をしていた。
次男を含めた四人は、どうも私の〝渡り人〟としての血を強く継いだらしく、魔神族とは思えないほど器用だったからこそ、薬師になれたんだろう。
「見せてくれるかしら」
「ああ」
三人から神酒を受け取り、しっかりと【アナライズ】で見る。三本ともまだレベル1だけど、きちんとできていた。
「まだレベル1だから、きっと薬草のすり潰しか、イビルバイパーの処理が甘いのね。しっかりすり潰したり処理したりて、頑張ってね」
「ああ。いつかきっと、父さんやばあちゃんと同じレベル5にしてみせるさ」
「「頑張るから!」」
「ええ。楽しみにしているわ」
そこからまた一人、二人と人数が増えていく。彼らの話を聞いたり、私やエアハルトさん、『フライハイト』や『アーミーズ』の話をねだられたり。
そうそう、『フライハイト』は長男がリーダー、次女がサブリーダーとなってそのあとを継いでくれた。『アーミーズ』もヨシキさんの長男がリーダーとなり、それぞれの子どもたちがその立場を継いでいる。
そしてリョウくんは父のあとを継いで医者となり、今も店の前の診療所で医者を続けている。薬師になったのは三番目の子で長女、次男が冒険者となった。
私からすれば弟と妹だ。リョウくん同様に、血の繋がりがなくても私を姉として慕ってくれた、とてもいい子たちだ。
子どもたちや孫たちと話をしていると、あっという間にお昼となり、夜になる。そこに、冒険者をしている長男や次女、里帰りしてきた長女までもが帰ってきて、とても賑やかだ。
だからこそ、私はもうすぐエアハルトさんに会えると、確信していた。
おそらく、最期の晩餐となるであろう食事は、ココッコを丸ごと使った鶏粥。最近は食が細くなってあまり食べられなかったけど、とても美味しくて、珍しくおかわりをした。
ラズやスミレ、ロキもおかわりをしていたよ。
「とても美味しかったわ」
「嬉しいわ、お義母さん」
「ごちそうさま」
<<<ごちそうさま!>>>
「いい食事だったねえ、ラズ、スミレ、ロキ」
<<<うん!>>>
三匹を撫でていると、お腹がいっぱいになったからなのか、眠くなってくる。
「母さん?」
「眠いねえ……。ああ、おじいさんたちが……エアハルトさんとロックたちが迎えにきたわ」
「母さん!」
「リンおばあちゃん!」
「ラズ!?」
「スミレまで!」
「ロキも!」
「逝かないで!」
ベッドに横たわると、すぐに眠気がくる。ふと気配がして窓を見ると、エアハルトさんやロック、レンやシマ、ソラとユキがそこにいる。
みんながなにか言っているけど、私にはそれが聞こえない。ラズとスミレ、ロキが光るとその姿を消し、エアハルトさんたちの側に現れる。
「優衣、迎えに来た。アントス様やアマテラス様たちが待っている」
「はい、今いきますね。みんな、ありがとうね、お迎えにきてくれて。そして子どもたち、これからも頑張って、幸せになるんだよ」
白髪で皺だらけだった手が、いつの間にかエアハルトさんやみんなと出会ったころの姿に戻っている。
私とエアハルトさんが神界に行くことを決めたのは、あの結婚式のせいだった。アントス様の祝福に混じって、なんとアマテラス様とツクヨミ様、そして他の日本の神様たちまでもが祝福をしてしまっていて、あの時点で半神半人になってしまったらしい。
そうなると、寿命がちゃんと来ても輪廻の輪にのることができなくなり、神になるしかなくなってしまった。それをオ・ハ・ナ・シ・したときに聞いたからエアハルトさんと一緒になってボコったのはいい思い出だ。
私の役割は薬師の神、そしてエアハルトさんは冒険者の神。その職業を祝福するという役目を仰せつかった。
アントス様と時空神しかいなかったこの世界に、新たな神となってしまったのだ、私たちは。そのことをアントス様が世界中に知らせたせいで、教会に像が建てられる始末。
教会ではアントス様の右にエアハルトさんが、左に私が並んでいる。
初めて西地区の教会でそれを見たとき、エアハルトさんと一緒に遠い目になったんだよ……。まあ、それを知ったのはおばあちゃんやおじいちゃんと言える年齢になってからだったのと、像が私たちの若いころのものだった。
だから、私たちのことを知っている人以外には正体がバレなかったことだけが救いかな? まあ、王太子様――現在の王様と王妃様にはバレバレだったけどね。
彼らは今年、息子に譲るとおふれが出ていたけれど、もう交代したのかな。最近はずっとベッドの上だったから、そのあたりの情報がまったくわからない。
結婚したあとも店をして、ドラール国を旅したり、ダンジョンに潜ったり。弟子は、息子が「弟子にしてください!」と頭を下げるまで取ることはしなかった。
その代わりではないけど母が弟子をとって、しっかり指導していた。その母もちゃんと神酒を作れるようになったんだから凄い。
「ほら、手を出して。ロキに跨ったら上に行こう」
「はい」
しっかりとエアハルトさんの手を握り、エスコートしてもらう。眼下では子どもたちやたくさんの孫たちが私に縋って泣いていたけど、死んだようで死んだわけじゃない。
教会にくれば会えると話しておいたし、いつも見ているからと手を振り、ロキに跨るとアントス様の下へ。
「これからはもう、一人じゃないですよ、アントス様」
「ああ。俺と優衣、俺たちの従魔たちや優衣の眷属たちがしっかりサポートするから」
「ありがとう。たまにはお茶会や食事会をしたいね」
「たまにと言わず、毎日だっていいんですよ?」
「そうだな。食べる必要がないといっても、やっぱ優衣の料理は食いたいし」
「ここに来てまでいちゃつかないくても……」
僕も伴侶を探そうかなあ……というアントス様を生温い目で見たあと、アマテラス様たちに向き合う。
「「これからよろしくお願いいたします、アマテラス様」」
「ええ、よろしくね、優衣、エアハルト。しっかりアントスをビシバシと叱ってちょうだい」
「「わかりました」」
「ええ~!? アマテラス様、それはないです!」
「おだまり! あんたがやらかしたせいで、こうなったんでしょうに!」
「アマテラス様だって仕出かしたじゃないですか! 僕よりも上級の神が関わったら、こうなるってわかっておいででしたよね!?」
「それはそれ、これはこれよ!」
「横暴だーーー!!」
アントス様とアマテラス様が言いあいをしている様子を、エアハルトさんや従魔たち、眷属たちと一緒になって見ていた。
人間としての生は終わったけど、これから神としての生が始まる。神様とはどんな存在かきちんと勉強しつつ、アントス様を支えていこう。
***
教会の鐘が鳴る。それは、生き神となったリンのためのもの。
その哀しい響きに、薬師が、そしてリンに世話になった人々が祈りを捧げる。
それはエアハルトのときも同様で、それぞれ祈りを捧げたのだ。
これ以降、リンとエアハルトの子孫のみが――正しくは優衣の血を濃く引いた者だけが神酒を作れる薬師となり、人々を助けることになる。
< 本編・了 >
「そうねえ……私のお母さんの国にも行ったわねえ」
話をねだったのは玄孫の子どもだ。総勢五人の男女が私の周囲に集まり、私の若いころの話を聞いている。
さすがに転移してきたという話はしていないけど、そういった部分を抜きにしてアントス様の話もしたのだ。アマテラス様やツクヨミ様、スサノオ様はアントス様の上司として話している。
エアハルトさんと結婚して、四千年たった。
鳳凰が従魔にいたからなのか、魔神族としてはとても長生きしたエアハルトさんとアレクさん。両親は千年前に相次いで亡くなり、『アーミーズ』のメンバーもそのころに相次いでなくなった。
病気ではなく、ちゃんと天寿を全うして逝ったのだ。
そしてアレクさんが五百年前に、ナディさんもあとを追うように亡くなった。
マルクさんは私たちが結婚して五百年たったころに、ハインツさんも同じころ亡くなった。
夫となったエアハルトさんは、「アントス様のところで待っているから」との言葉を最期に、五百年前に逝ってしまった。もちろん、彼の従魔たちもこの世にいない。
そして私の従魔たちと眷属たちはというと、眷属たちのほうが寿命が短いそうで、二千年前に逝ってしまった。彼らもアントス様のところで待っているからとの言葉を残して。
そしてレンとシマが一年前に、ソラとユキが半年前に、ロックが去年逝った。アントス様のところにいるからと。不思議なことに、眷属たちも従魔たちも、遺体が残らなかった。
まるで、そのまま神界に行ったみたいに。
今、私の側にいるのは、最初に従魔になってくれたラズとスミレ、みんなのリーダーポジションだったロキしか残っていない。そんな三匹も、私の寿命に合わせるかのように、今は私と一緒に寝ている。
「ばあちゃん!」
「「ひいおばあちゃん!」」
「「「神酒が作れた!」」」
「まあ! それはよかったわ! これで心置きなく、おじいさんのところに逝けるわねぇ」
「そんなこと言うなよ、俺はもっとばあちゃんに教えてもらいたいよ」
エアハルトさんによく似た二番目の息子の長男――孫と、孫の娘と息子が一緒に入ってきて嬉しい報告をしてくれる。孫の見た目は三十代後半。一番エアハルトさんに似ているから、本当に懐かしくなる。
エアハルトさんと結婚して、初夜で授かった子が長男。それを皮切りに、三年おきに長女、次男、次女と四人の子どもを授かった。
長男と次女が「冒険者になる」と言って家を飛び出し、今やSランクになって世界中を旅している。時々手紙と一緒にその国の特産品や薬草を送ってくるから、元気でやっているんだろう。
ただ、そろそろいい年なんだから引退してほしいとは思うものの、本人たちは至って元気だから、彼らの息子や娘たちが「なんとかしてくれ」と泣き付いてきたこともあった。
長女は官僚となって王宮で働いていたけど、グレイさんの長男に見初められて結婚した。今はグレイさんたちのあとを継いで、立派な領主になっている。そんなグレイさんたちも、八百年前に亡くなったし、娘たちももうじき領主を交代する。。
そして次男は薬師になると言って私に弟子入りし、立派な薬師になった。店も彼が継いでいて、その弟子として孫が一人とひ孫二人、修業をしていた。
次男を含めた四人は、どうも私の〝渡り人〟としての血を強く継いだらしく、魔神族とは思えないほど器用だったからこそ、薬師になれたんだろう。
「見せてくれるかしら」
「ああ」
三人から神酒を受け取り、しっかりと【アナライズ】で見る。三本ともまだレベル1だけど、きちんとできていた。
「まだレベル1だから、きっと薬草のすり潰しか、イビルバイパーの処理が甘いのね。しっかりすり潰したり処理したりて、頑張ってね」
「ああ。いつかきっと、父さんやばあちゃんと同じレベル5にしてみせるさ」
「「頑張るから!」」
「ええ。楽しみにしているわ」
そこからまた一人、二人と人数が増えていく。彼らの話を聞いたり、私やエアハルトさん、『フライハイト』や『アーミーズ』の話をねだられたり。
そうそう、『フライハイト』は長男がリーダー、次女がサブリーダーとなってそのあとを継いでくれた。『アーミーズ』もヨシキさんの長男がリーダーとなり、それぞれの子どもたちがその立場を継いでいる。
そしてリョウくんは父のあとを継いで医者となり、今も店の前の診療所で医者を続けている。薬師になったのは三番目の子で長女、次男が冒険者となった。
私からすれば弟と妹だ。リョウくん同様に、血の繋がりがなくても私を姉として慕ってくれた、とてもいい子たちだ。
子どもたちや孫たちと話をしていると、あっという間にお昼となり、夜になる。そこに、冒険者をしている長男や次女、里帰りしてきた長女までもが帰ってきて、とても賑やかだ。
だからこそ、私はもうすぐエアハルトさんに会えると、確信していた。
おそらく、最期の晩餐となるであろう食事は、ココッコを丸ごと使った鶏粥。最近は食が細くなってあまり食べられなかったけど、とても美味しくて、珍しくおかわりをした。
ラズやスミレ、ロキもおかわりをしていたよ。
「とても美味しかったわ」
「嬉しいわ、お義母さん」
「ごちそうさま」
<<<ごちそうさま!>>>
「いい食事だったねえ、ラズ、スミレ、ロキ」
<<<うん!>>>
三匹を撫でていると、お腹がいっぱいになったからなのか、眠くなってくる。
「母さん?」
「眠いねえ……。ああ、おじいさんたちが……エアハルトさんとロックたちが迎えにきたわ」
「母さん!」
「リンおばあちゃん!」
「ラズ!?」
「スミレまで!」
「ロキも!」
「逝かないで!」
ベッドに横たわると、すぐに眠気がくる。ふと気配がして窓を見ると、エアハルトさんやロック、レンやシマ、ソラとユキがそこにいる。
みんながなにか言っているけど、私にはそれが聞こえない。ラズとスミレ、ロキが光るとその姿を消し、エアハルトさんたちの側に現れる。
「優衣、迎えに来た。アントス様やアマテラス様たちが待っている」
「はい、今いきますね。みんな、ありがとうね、お迎えにきてくれて。そして子どもたち、これからも頑張って、幸せになるんだよ」
白髪で皺だらけだった手が、いつの間にかエアハルトさんやみんなと出会ったころの姿に戻っている。
私とエアハルトさんが神界に行くことを決めたのは、あの結婚式のせいだった。アントス様の祝福に混じって、なんとアマテラス様とツクヨミ様、そして他の日本の神様たちまでもが祝福をしてしまっていて、あの時点で半神半人になってしまったらしい。
そうなると、寿命がちゃんと来ても輪廻の輪にのることができなくなり、神になるしかなくなってしまった。それをオ・ハ・ナ・シ・したときに聞いたからエアハルトさんと一緒になってボコったのはいい思い出だ。
私の役割は薬師の神、そしてエアハルトさんは冒険者の神。その職業を祝福するという役目を仰せつかった。
アントス様と時空神しかいなかったこの世界に、新たな神となってしまったのだ、私たちは。そのことをアントス様が世界中に知らせたせいで、教会に像が建てられる始末。
教会ではアントス様の右にエアハルトさんが、左に私が並んでいる。
初めて西地区の教会でそれを見たとき、エアハルトさんと一緒に遠い目になったんだよ……。まあ、それを知ったのはおばあちゃんやおじいちゃんと言える年齢になってからだったのと、像が私たちの若いころのものだった。
だから、私たちのことを知っている人以外には正体がバレなかったことだけが救いかな? まあ、王太子様――現在の王様と王妃様にはバレバレだったけどね。
彼らは今年、息子に譲るとおふれが出ていたけれど、もう交代したのかな。最近はずっとベッドの上だったから、そのあたりの情報がまったくわからない。
結婚したあとも店をして、ドラール国を旅したり、ダンジョンに潜ったり。弟子は、息子が「弟子にしてください!」と頭を下げるまで取ることはしなかった。
その代わりではないけど母が弟子をとって、しっかり指導していた。その母もちゃんと神酒を作れるようになったんだから凄い。
「ほら、手を出して。ロキに跨ったら上に行こう」
「はい」
しっかりとエアハルトさんの手を握り、エスコートしてもらう。眼下では子どもたちやたくさんの孫たちが私に縋って泣いていたけど、死んだようで死んだわけじゃない。
教会にくれば会えると話しておいたし、いつも見ているからと手を振り、ロキに跨るとアントス様の下へ。
「これからはもう、一人じゃないですよ、アントス様」
「ああ。俺と優衣、俺たちの従魔たちや優衣の眷属たちがしっかりサポートするから」
「ありがとう。たまにはお茶会や食事会をしたいね」
「たまにと言わず、毎日だっていいんですよ?」
「そうだな。食べる必要がないといっても、やっぱ優衣の料理は食いたいし」
「ここに来てまでいちゃつかないくても……」
僕も伴侶を探そうかなあ……というアントス様を生温い目で見たあと、アマテラス様たちに向き合う。
「「これからよろしくお願いいたします、アマテラス様」」
「ええ、よろしくね、優衣、エアハルト。しっかりアントスをビシバシと叱ってちょうだい」
「「わかりました」」
「ええ~!? アマテラス様、それはないです!」
「おだまり! あんたがやらかしたせいで、こうなったんでしょうに!」
「アマテラス様だって仕出かしたじゃないですか! 僕よりも上級の神が関わったら、こうなるってわかっておいででしたよね!?」
「それはそれ、これはこれよ!」
「横暴だーーー!!」
アントス様とアマテラス様が言いあいをしている様子を、エアハルトさんや従魔たち、眷属たちと一緒になって見ていた。
人間としての生は終わったけど、これから神としての生が始まる。神様とはどんな存在かきちんと勉強しつつ、アントス様を支えていこう。
***
教会の鐘が鳴る。それは、生き神となったリンのためのもの。
その哀しい響きに、薬師が、そしてリンに世話になった人々が祈りを捧げる。
それはエアハルトのときも同様で、それぞれ祈りを捧げたのだ。
これ以降、リンとエアハルトの子孫のみが――正しくは優衣の血を濃く引いた者だけが神酒を作れる薬師となり、人々を助けることになる。
< 本編・了 >
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