あみdan

『編み物男子部』？ができるまで。

193 その頃二人は…… ☆３ー５

　僕は彼らにいっぱい釘を刺されてから解放された。

　鳴海君の高校生活を知りたいだけではなく、鳴海君の情報を『親衛隊』に知られたくないようだった。

『親衛隊』も『ファンクラブ』も鳴海君と一緒に小学校生活を送ったクラスメート達の集まりで、男子と女子が別れてそれぞれの会を作ったんだ。

　どうして別々かと云うと……

　男子は仲のいい友達として影ながら鳴海君を見守る会として発足したんだけど、女子の場合はそもそも成り行きが違う。
　女子は鳴海君と彼女になりたい……という抜け駆け禁止！的な女子の集まりで、鳴海君は皆（女子＝親衛隊）のもの！男子には一切近づけさせない！がモットーだからだ。

　中学の時、一人だけ抜け駆けして鳴海君とデートした女子生徒がいて……
　そのあと、リンチまで発展しそうな勢いだったのを今でも覚えている。
　そうなのだ。女子は怖いのである。特に団体になると……。

　高校生活を鳴海君が楽しく過ごせるように、邪魔が入らないようにしないと……。
　もしかしたら、何かの切っ掛けで中学時代のあの痛ましい鳴海君に戻るかもしれないんだ……

　そう思うと、僕だけでは何が出来るかわからないけど、可能な限り鳴海君の盾になろう。あんな想いだけは……もう嫌だ。

　鳴海君があの先輩と一緒に居るのは本当は嬉しくないけど、鳴海君が何かの意思を持ってそう決めたのなら、見守ろう。

　でも……何かあったら、全力で、今度こそ！

　僕は何度も何度も繰り返し決意をして……家路へと電車に乗る駅へ向かった。