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連載
251、槌を持つ精霊
『あ、あの! 俺、もう一つお願いがあるんですけど!』
エイジの言葉に辺りは静まり返った。
精霊たちが、一斉にエイジを見つめている。
(しまった!)
と、エイジは思う。
エリクに願いは一つだと言われていたのに。
クリスタルに戻る途中だったファルティーシアが、ゆっくりと一行を振り返る。
その時──
黄色い光を帯びた精霊が、エイジたちの目の前に一直線にやってくる。
強烈な光を放ち、その様子は尋常ではない。
その光は、エイジの前で形を変えていく。
元々リイムやミイムよりも大きな精霊だが、その姿が一気に膨れ上がる。
大きなハンマーを持った巨人。
身長は2mを優に超えている。
怒りに満ちた形相でエイジを見おろしている。
リイムが水、ミイムが火だとしたら、その色といい雰囲気といい、大地の精霊といったところか。
まるで、物語に出てくる魔人のようである。
足を踏み鳴らすと、地震のごとく大地が揺れる。
「薄汚い人間が、黙って聞いておればいい気になりおって! ファルティーシア様に何を願うつもりだ、欲深い人間よ!!」
まるで獣の咆哮のように怒鳴る。
リイムがエイジの肩に隠れるようにしがみついた。
ミイムはべそをかいて、エイジの首につかまる。
『タイタンよ!』
『乱暴です! ミイムはタイタン、嫌いです』
他の精霊たちも、クリスタルの中に逃げ込むようにして消えていく。
ただし、何体かの精霊はタイタンを応援するようにその頭上を飛び回っていた。
『やれ~、やっちまえタイタン』
『そうだぜ、こんな連中追い払っちまえよ』
『生意気なんだよ!』
精霊にも、好戦的な者とそうでないものがいるようだ。
エリクが巨人を見上げながら。
「エイジ、しくじりましたね。あれはここの番人です。精霊たちに気に入られなかった者は、彼に追い返されるそうです。散々な目に遭ってね」
「すいません。俺、忠告されてたのに……」
ライアンがへっと鼻の頭を指で掻いて大槍を構える。
「何だか分からねえが、面白そうじゃねえかよ。精霊とやらと一戦交えてみるか?」
「ふにゃ。ややこしくなるから武器をしまうにゃ、ライアン」
焦って忠告を忘れて声をかけたエイジ。
それを悔やんで唇を噛み締める。
ファルティーシアはエイジを眺めながら。
『タイタン、聞くだけ聞いてみましょう。リイムとミイムがそれほど懐いている人間、欲深さから出る望みとは限るまい?』
『なりませぬ。慈悲深いファルティーシア様が願いをお聞き届けになられたかかわらず、こやつはその舌の根も乾かぬうちに別の願いを! 強欲な人間め。このタイタンがここから叩き出し、二度とこの地に足を踏み込ませぬ!』
それを聞いてミイムが涙目になる。
『エイジ、もう遊びに来ないですか? ミイム、エイジと友達になったです……』
『ごめんなミイム。俺が悪いんだ』
エイジの言葉にタイタンは、腕を組む。
『ふん、今更しおらしくしても騙されんぞ、この人間めが。二度と近寄らぬように、叩き出してくれるわ』
巨人のその言葉に、リイムが怒ったように向かっていく。
『何よ! エイジは謝ってるじゃない。この頑固者、バカバカバカ!!』
ポカポカと巨人の胸を小さな手で叩くリイム。
ミイムもエイジの首に隠れながら、巨人に叫ぶ。
『タイタン乱暴です! エイジの方が優しいです! バカバカバカ!!』
リイムの真似をしたのだろう。
言った後で、巨人に睨まれて小さくなるミイム。
『エイジ、助けてです! タイタンがミイムを睨んだです』
小さな二人の精霊たちの思わぬ抵抗に、巨人は思わずたじろいだ。
『ぐぬう! ひよっこ共が、勝手なことを言いおって!』
透き通った鈴の音のような声が、辺りに響いていく。
それが女神がごとく美しい高位精霊の笑い声だと気が付くと、リイムとミイム、そしてタイタンも目を丸くする。
三人に見られていることに気が付いて、ファルティーシアはまたいつもの如く澄ました顔に戻った。
そして、少し顔をそらすと、また手を口に当てて笑い声を上げている。
暫くすると美しい顔に少しバツの悪そうな表情を浮かべて、一同を眺めるファルティーシア。
『ここを訪れる者は、私たち精霊を信仰する精霊使いが多いですから。神のように崇められることはあっても、こんな風に賑やかなことはありませんからね。いいでしょうエイジ、特別に願いをもう一つ聞き届けましょう。その代わり貴方たちにやって欲しいことがあります』
エイジの言葉に辺りは静まり返った。
精霊たちが、一斉にエイジを見つめている。
(しまった!)
と、エイジは思う。
エリクに願いは一つだと言われていたのに。
クリスタルに戻る途中だったファルティーシアが、ゆっくりと一行を振り返る。
その時──
黄色い光を帯びた精霊が、エイジたちの目の前に一直線にやってくる。
強烈な光を放ち、その様子は尋常ではない。
その光は、エイジの前で形を変えていく。
元々リイムやミイムよりも大きな精霊だが、その姿が一気に膨れ上がる。
大きなハンマーを持った巨人。
身長は2mを優に超えている。
怒りに満ちた形相でエイジを見おろしている。
リイムが水、ミイムが火だとしたら、その色といい雰囲気といい、大地の精霊といったところか。
まるで、物語に出てくる魔人のようである。
足を踏み鳴らすと、地震のごとく大地が揺れる。
「薄汚い人間が、黙って聞いておればいい気になりおって! ファルティーシア様に何を願うつもりだ、欲深い人間よ!!」
まるで獣の咆哮のように怒鳴る。
リイムがエイジの肩に隠れるようにしがみついた。
ミイムはべそをかいて、エイジの首につかまる。
『タイタンよ!』
『乱暴です! ミイムはタイタン、嫌いです』
他の精霊たちも、クリスタルの中に逃げ込むようにして消えていく。
ただし、何体かの精霊はタイタンを応援するようにその頭上を飛び回っていた。
『やれ~、やっちまえタイタン』
『そうだぜ、こんな連中追い払っちまえよ』
『生意気なんだよ!』
精霊にも、好戦的な者とそうでないものがいるようだ。
エリクが巨人を見上げながら。
「エイジ、しくじりましたね。あれはここの番人です。精霊たちに気に入られなかった者は、彼に追い返されるそうです。散々な目に遭ってね」
「すいません。俺、忠告されてたのに……」
ライアンがへっと鼻の頭を指で掻いて大槍を構える。
「何だか分からねえが、面白そうじゃねえかよ。精霊とやらと一戦交えてみるか?」
「ふにゃ。ややこしくなるから武器をしまうにゃ、ライアン」
焦って忠告を忘れて声をかけたエイジ。
それを悔やんで唇を噛み締める。
ファルティーシアはエイジを眺めながら。
『タイタン、聞くだけ聞いてみましょう。リイムとミイムがそれほど懐いている人間、欲深さから出る望みとは限るまい?』
『なりませぬ。慈悲深いファルティーシア様が願いをお聞き届けになられたかかわらず、こやつはその舌の根も乾かぬうちに別の願いを! 強欲な人間め。このタイタンがここから叩き出し、二度とこの地に足を踏み込ませぬ!』
それを聞いてミイムが涙目になる。
『エイジ、もう遊びに来ないですか? ミイム、エイジと友達になったです……』
『ごめんなミイム。俺が悪いんだ』
エイジの言葉にタイタンは、腕を組む。
『ふん、今更しおらしくしても騙されんぞ、この人間めが。二度と近寄らぬように、叩き出してくれるわ』
巨人のその言葉に、リイムが怒ったように向かっていく。
『何よ! エイジは謝ってるじゃない。この頑固者、バカバカバカ!!』
ポカポカと巨人の胸を小さな手で叩くリイム。
ミイムもエイジの首に隠れながら、巨人に叫ぶ。
『タイタン乱暴です! エイジの方が優しいです! バカバカバカ!!』
リイムの真似をしたのだろう。
言った後で、巨人に睨まれて小さくなるミイム。
『エイジ、助けてです! タイタンがミイムを睨んだです』
小さな二人の精霊たちの思わぬ抵抗に、巨人は思わずたじろいだ。
『ぐぬう! ひよっこ共が、勝手なことを言いおって!』
透き通った鈴の音のような声が、辺りに響いていく。
それが女神がごとく美しい高位精霊の笑い声だと気が付くと、リイムとミイム、そしてタイタンも目を丸くする。
三人に見られていることに気が付いて、ファルティーシアはまたいつもの如く澄ました顔に戻った。
そして、少し顔をそらすと、また手を口に当てて笑い声を上げている。
暫くすると美しい顔に少しバツの悪そうな表情を浮かべて、一同を眺めるファルティーシア。
『ここを訪れる者は、私たち精霊を信仰する精霊使いが多いですから。神のように崇められることはあっても、こんな風に賑やかなことはありませんからね。いいでしょうエイジ、特別に願いをもう一つ聞き届けましょう。その代わり貴方たちにやって欲しいことがあります』
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