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261、融合する力
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「あれは……」
アンジェは思わずエイジの姿を見て息をのんだ。
見事な一閃を放って、巨大な蛇の鎌首を切り落としたエイジの大剣。
それは青白い光を帯びている。
エリスとリアナは思わず声を上げた。
「エリス! あれを見て!」
「ええ、凍り付いていくわ!」
切り離された鎌首。
その断面が強烈な冷気にさらされたかのように、ピシピシと音を立てて凍り付いていく。
エイジの肩の上で、祈るように両手を合わせている小さな精霊。
その力だろう。
(これは……)
エイジは、自らの闘気が青白い光を帯びていくのを感じる。
凍り付いていく鎌首が凄まじい断末魔を上げた。
切り落とされてなお、咆哮を上げるその姿。
何という生命力であろうか!
「エイジ! まだです!!」
エリクの声と同時に、天井から襲い掛かったのは新たな鎌首だ。
三つ首の大蛇。
そのうちの二つを切り落とされ、怒りに任せて巨大な胴体ごと天井からエイジに襲い掛かる。
「エイジのエレメントクリスタルが! それに見て、あのエイジの髪の色!」
エイジの髪がブルーに変わっていく。
彼の肩の上にいたはずの精霊の姿が消えている。
エイジの右手の小手は青く輝いていた。
魔方陣が刻まれた小手。
そこに埋め込まれた宝玉が強い光を放っている。
小手に描かれた魔法陣とは別の魔法陣が、大剣の表面に幾つも描かれている。
輝くエレメントクリスタルに反応したかのように大剣の表面に現れた、七つの魔法陣。
それは刀身に沿って一列に連なって、青い光を放っている。
一行の前に立つ剣士は、今までの戦士であってそうではない。
彼らにはそう思えた。
「アイスブレイド!」
静かにそう口にした青い髪の剣士。
彼を締め上げようと鞭のように襲い掛かる大蛇をかわし、大剣を見事に振るうその姿。
一瞬の間に、彼の大剣が5度魔物に剣撃を加えたのをエリクの瞳は捉えた。
(あの剣の腕、それは今までと変わりませんが……この冷気は)
鮮やかに切り離された鎌首と、幾つもに分断された胴体。
それは強烈な冷気に凍り付いていく。
「俺の闘気が青く……」
思わずそう呟くエイジ。
その時、エイジは自分の体の中でリイム声がするのを感じた。
『精霊と精霊使いが融合して戦うエレメンタルフュージョン。精霊使いと旅をしている仲間から聞いたことがあるわ』
『エレメンタルフュージョン……融合ってリイム、もしかして俺の中にいるのか!?』
エイジの問いにリイムは、興奮したように答えた。
『うん! 正確に言うとエイジの放つ気と同化してるの。エイジと一緒に戦いたいって願ったら、自然に』
(俺の放つ気とリイムが? ……そうか、だから俺の闘気が変化をしているのか!)
その言葉にエイジは改めて大剣を見つめる。
表面に浮かび上がった魔法陣。
(それにこの魔法陣、もしかしてファルティーシアさんの)
大剣に触れて祝福をしてくれた高位精霊の姿を、エイジは思い出した。
そして、この大剣が精霊たちの力や祝福を受けるに値するからでもあろう。
ロイの魂が込められた名剣。
青い闘気を帯びたその姿は、美しく氷の精霊剣といった雰囲気だ。
リイムは水や氷を属性とした精霊なのだろう。
(凄え……精霊と同化するとか。そう言えば俺がやってたMMOでもそんな職業があったな)
精霊を召喚して、その力と同化して戦う。
エイジはゲーム内のそんなキャラクターの姿を思い出していた。
だが実際に自分の身に起きてみると不思議な感覚だ。
ミイムが周りを跳ね回る。
『リイム格好いいです! エイジと一緒に戦ってるです!』
近くに魔物がいないことを確認しつつ、一行にもエレメンタルフュージョンを説明するエイジ。
驚くエリスと、目を輝かせるリアナ。
「驚いたわ、精霊使いってそんなことが出来るのね?」
「凄い、凄い! 青い髪のエイジも格好いいわ!」
無邪気に褒めるリアナを見て、エリスは少し咳ばらいをする。
(リアナったら、いつも私よりも先にエイジを褒めるんだから)
少し頬を膨らませたこの国の王女は、エイジを上目遣いに見つめると。
「そ、そうね……格好いいわよエイジ」
「はは、そうかなエリス」
勝気で美しい顔を、赤くしてそう呟く王女はやはり可憐である。
ローブで隠しながら、そっとエイジの手に触れるエリス。
エイジは照れたように少しだけそれを握り返すと、皆に気づかれぬように手を離した。
一方で名門ロードファエル家の血筋である美しい女騎士は、ふぅと溜め息をつきながら肩をすくめると。
「また一段と強くなったわね。悔しいけど、確かに少し格好良かったわね」
その言葉に、ライアンとシェリルが敏感に反応する。
「お、おい、シェリル聞いたか? いまオリビアがエイジのこと格好良かったって言ったよな」
「き、聞いたにゃ。オリビアが男のことそんな風に言うのは初めてにゃ、事件にゃ」
それを聞いてオリビアは顔を真っ赤にすると。
「こ、言葉のあやよ! 精霊の助けを借りて戦う精霊使いの姿がそう見えただけで、エイジが格好良かったなんて誰も言ってないわ!」
「はは、分かってるさ。オリビア」
笑いながら頭を掻くエイジ。
そんな少年の態度をジッと見つめるオリビア。
(エイジってお兄様と一緒で鈍感なタイプよね……)
兄が彼に思いを寄せる女性に対して、一向に気が付いている様子が無かったのを思い出す。
そんなことを考えながら、オリビアは再び赤面した。
それが騎士ではなく、只の少女のような振る舞いのように思えたからだ。
(馬鹿馬鹿しい。私は騎士よ)
エメラルドグリーンの髪を美しく靡かせるオリビア。
エリクは笑いながらも皆を諫める。
「まさに冷気を帯びた剣ですね。敵によっては非常に有効でしょう、精霊使いの剣士の力というのも非常に興味深い。ですが、あまり気を緩めてはいけませんよ」
アンジェはエリクの言葉に頷く。
「そうね、あれで終わりじゃない。前から数体来るわよ!」
アンジェは思わずエイジの姿を見て息をのんだ。
見事な一閃を放って、巨大な蛇の鎌首を切り落としたエイジの大剣。
それは青白い光を帯びている。
エリスとリアナは思わず声を上げた。
「エリス! あれを見て!」
「ええ、凍り付いていくわ!」
切り離された鎌首。
その断面が強烈な冷気にさらされたかのように、ピシピシと音を立てて凍り付いていく。
エイジの肩の上で、祈るように両手を合わせている小さな精霊。
その力だろう。
(これは……)
エイジは、自らの闘気が青白い光を帯びていくのを感じる。
凍り付いていく鎌首が凄まじい断末魔を上げた。
切り落とされてなお、咆哮を上げるその姿。
何という生命力であろうか!
「エイジ! まだです!!」
エリクの声と同時に、天井から襲い掛かったのは新たな鎌首だ。
三つ首の大蛇。
そのうちの二つを切り落とされ、怒りに任せて巨大な胴体ごと天井からエイジに襲い掛かる。
「エイジのエレメントクリスタルが! それに見て、あのエイジの髪の色!」
エイジの髪がブルーに変わっていく。
彼の肩の上にいたはずの精霊の姿が消えている。
エイジの右手の小手は青く輝いていた。
魔方陣が刻まれた小手。
そこに埋め込まれた宝玉が強い光を放っている。
小手に描かれた魔法陣とは別の魔法陣が、大剣の表面に幾つも描かれている。
輝くエレメントクリスタルに反応したかのように大剣の表面に現れた、七つの魔法陣。
それは刀身に沿って一列に連なって、青い光を放っている。
一行の前に立つ剣士は、今までの戦士であってそうではない。
彼らにはそう思えた。
「アイスブレイド!」
静かにそう口にした青い髪の剣士。
彼を締め上げようと鞭のように襲い掛かる大蛇をかわし、大剣を見事に振るうその姿。
一瞬の間に、彼の大剣が5度魔物に剣撃を加えたのをエリクの瞳は捉えた。
(あの剣の腕、それは今までと変わりませんが……この冷気は)
鮮やかに切り離された鎌首と、幾つもに分断された胴体。
それは強烈な冷気に凍り付いていく。
「俺の闘気が青く……」
思わずそう呟くエイジ。
その時、エイジは自分の体の中でリイム声がするのを感じた。
『精霊と精霊使いが融合して戦うエレメンタルフュージョン。精霊使いと旅をしている仲間から聞いたことがあるわ』
『エレメンタルフュージョン……融合ってリイム、もしかして俺の中にいるのか!?』
エイジの問いにリイムは、興奮したように答えた。
『うん! 正確に言うとエイジの放つ気と同化してるの。エイジと一緒に戦いたいって願ったら、自然に』
(俺の放つ気とリイムが? ……そうか、だから俺の闘気が変化をしているのか!)
その言葉にエイジは改めて大剣を見つめる。
表面に浮かび上がった魔法陣。
(それにこの魔法陣、もしかしてファルティーシアさんの)
大剣に触れて祝福をしてくれた高位精霊の姿を、エイジは思い出した。
そして、この大剣が精霊たちの力や祝福を受けるに値するからでもあろう。
ロイの魂が込められた名剣。
青い闘気を帯びたその姿は、美しく氷の精霊剣といった雰囲気だ。
リイムは水や氷を属性とした精霊なのだろう。
(凄え……精霊と同化するとか。そう言えば俺がやってたMMOでもそんな職業があったな)
精霊を召喚して、その力と同化して戦う。
エイジはゲーム内のそんなキャラクターの姿を思い出していた。
だが実際に自分の身に起きてみると不思議な感覚だ。
ミイムが周りを跳ね回る。
『リイム格好いいです! エイジと一緒に戦ってるです!』
近くに魔物がいないことを確認しつつ、一行にもエレメンタルフュージョンを説明するエイジ。
驚くエリスと、目を輝かせるリアナ。
「驚いたわ、精霊使いってそんなことが出来るのね?」
「凄い、凄い! 青い髪のエイジも格好いいわ!」
無邪気に褒めるリアナを見て、エリスは少し咳ばらいをする。
(リアナったら、いつも私よりも先にエイジを褒めるんだから)
少し頬を膨らませたこの国の王女は、エイジを上目遣いに見つめると。
「そ、そうね……格好いいわよエイジ」
「はは、そうかなエリス」
勝気で美しい顔を、赤くしてそう呟く王女はやはり可憐である。
ローブで隠しながら、そっとエイジの手に触れるエリス。
エイジは照れたように少しだけそれを握り返すと、皆に気づかれぬように手を離した。
一方で名門ロードファエル家の血筋である美しい女騎士は、ふぅと溜め息をつきながら肩をすくめると。
「また一段と強くなったわね。悔しいけど、確かに少し格好良かったわね」
その言葉に、ライアンとシェリルが敏感に反応する。
「お、おい、シェリル聞いたか? いまオリビアがエイジのこと格好良かったって言ったよな」
「き、聞いたにゃ。オリビアが男のことそんな風に言うのは初めてにゃ、事件にゃ」
それを聞いてオリビアは顔を真っ赤にすると。
「こ、言葉のあやよ! 精霊の助けを借りて戦う精霊使いの姿がそう見えただけで、エイジが格好良かったなんて誰も言ってないわ!」
「はは、分かってるさ。オリビア」
笑いながら頭を掻くエイジ。
そんな少年の態度をジッと見つめるオリビア。
(エイジってお兄様と一緒で鈍感なタイプよね……)
兄が彼に思いを寄せる女性に対して、一向に気が付いている様子が無かったのを思い出す。
そんなことを考えながら、オリビアは再び赤面した。
それが騎士ではなく、只の少女のような振る舞いのように思えたからだ。
(馬鹿馬鹿しい。私は騎士よ)
エメラルドグリーンの髪を美しく靡かせるオリビア。
エリクは笑いながらも皆を諫める。
「まさに冷気を帯びた剣ですね。敵によっては非常に有効でしょう、精霊使いの剣士の力というのも非常に興味深い。ですが、あまり気を緩めてはいけませんよ」
アンジェはエリクの言葉に頷く。
「そうね、あれで終わりじゃない。前から数体来るわよ!」
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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本当に、ありがとうございます。
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