成長チートになったので、生産職も極めます!

雪華慧太

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連載

267、飛び上がる群れ

「凄いわ! エイジ!!」

 リアナの言葉にエイジも思わず言葉を失った。
 泉の中から姿を現したのは、イルカの群れだ。
 それが泉の上空に静止した青いクリスタルを目がけて、水面から一斉にジャンプをしている。
 そのせいで泉の中央が大きく盛り上がったのだ。
 エイジは思わず声を上げた。

「凄え! 何だこりゃあ!?」

 エリスも目を丸くして、思わずエイジの腕を握りしめる。

「大きな魚! 一体何処にいたの!?」

 イルカを知らない人間が見たら、確かに大きな魚だろう。
 リアナは夢中になってそれを眺めながら叫ぶ。

「透き通っているわ! まるで宝石で出来ているみたい!」

「確かにな……」

 エイジも、呆然とその光景を眺めながらそう答えた。
 そのイルカたちは透き通っている。
 それは次から次へと青いクリスタルの中に吸い込まれるように消えていく。
 その度に大きな水しぶきが跳ねる。

(こりゃあ、まるで……)

 華麗にジャンプを繰り返すイルカたちを見て、エイジは思わずそう思った。
 その姿は幼い頃、両親に連れて行ってもらった水族館のイルカショーを思い出させる。

「凄い! 凄い!!」

 リアナは子供のようにはしゃいでいる。
 オリビアとシェリルを呆然とそれを眺め、ライアンに至っては大きな口をあんぐりと開けて見上げていた。
 イルカたちをよく観察するとその様子は宝石というよりは、イルカの形をした水といった方が正確だろう。
 夢中になって上空の小さなクリスタルに向かってジャンプし、吸い込まれていくイルカたち。
 と、同時にそのクリスタルからは、別のイルカたちが姿を現して泉に戻っていく。
 エイジの肩でリイムが悪戯っぽく笑う。

『あれは、ウォータードルフィンよ! この泉に棲んでいるんだけど、私たち精霊に近い生き物なの』

『精霊に……』

 まるで曲芸のようにジャンプを繰り返すウォータードルフィンの群れを見て、言葉を失っているエイジ。
 それを見てリイムはクスクスと笑う。
 エイジが依頼されたのは地下50階層にある泉で、手渡されたクリスタルを泉の上に投げてそれを持ち帰ることだ。
 そうすれば泉の水がクリスタルに吸い込まれると。
 それを水浴びに使うのだと聞かされていたが。

(ファルティーシアさんも人が悪いよな。こんなこと黙ってるなんてさ)

 エイジは美しい高位精霊の事を思い出す。
 こんなことを黙ってるなんて、意外とあの人も悪戯好きなんじゃないかとエイジは思った。
 そういえば、タイタンとリイムが口げんかする姿を見てクスクスと笑っていた。

『ふふ、ごめんね。エイジを驚かせたくて私も今まで黙ってたの』

『はは、こりゃあ本当に驚いたぜリイム』

 ミイムは幻想的な生き物の姿を見て、エイジの肩の上でジャンプする。

『ウォータードルフィン可愛いです!』

 リイムは小さな胸を張ると、エイジに言った。

『この泉は大昔は私たちの住み家と繋がっていたそうなの。その頃は人間や精霊は一緒に暮らしていて、この泉で身を清める精霊や人間もいたそうよ。彼らにとっても私たちにとっても、特別な泉なの』

(大昔? ……ああ、そういえばエリクさんが言ってたな。ルイーナがローゼディアの都だった頃は、人と精霊が一緒に暮らしていたらしいって)

 古代文明の全盛期はリイムの言うとおりだったのかもしれないな、とエイジは思った。

『それにしても、身を清めるって、精霊もそんなことするんだな』

 リイムは、透き通って光に輝くイルカたちを眺めながらエイジに答える。

『ウォータードルフィンやこの泉の水は特別よ。人間は勿論だけど精霊も清めて、魔力や気を高めてくれるの』

『まあ確かに、到底普通の水だとは思えないもんな』

 そもそも意思を持った水なのか、それとも生物なのだろうか?
 エイジは少し考えた後、ふぅと溜め息をついた。

(魔法や精霊が存在する世界だからな、俺に分かるはずもないか)

 リイムは頷く。

『今は精霊たちはここには来れないから、普段は精霊使いに頼むのよ。この泉を長く離れると彼らの力が弱まるから、時々こうやって入れ替えに来るってわけ』

 エイジはリイムから聞いた話を、他の仲間たちに伝えた。
 驚きながらそれを聞く一行。
 エリクも知らなかったようである。

「それにしても、驚きましたね」

 リイムの話しでは先程投げたクリスタルが無いものは、入れないようになっているらしい。
 ファルティーシアの許しがいるのだろう。
 オリビアは、ようやく収まりつつある水面の様子を見て肩をすくめる。

「さっきの私の声も、きっと彼らの仕業ね」

「ああ、多分そうだろうな」

 エイジは頷く。
 他に理由が考えられない。
 リアナはイルカという言葉をエイジから聞いて、目を輝かせると。

「イルカって聞いたことがあるわ! 海って言う大きな場所に住んでいて、とっても賢い生き物なんですって」

 少し自慢げに本で読んだ知識を披露するリアナに、エイジは笑いながら答える。

「はは、普通のイルカとは全然違うだろうけどな。大昔は人と精霊が一緒にここで身を清めたらしいぜ! 魔力や気を高めてくれるんだってさ」

 それを聞いて、ライアンは大槍を傍にある水晶の柱に立てかけると。

「魔力や気をねぇ。へえ、面白そうじゃねえかエイジ! 試しに俺たちも入ってみようぜ!!」
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