成長チートになったので、生産職も極めます!

雪華慧太

文字の大きさ
119 / 254
連載

274、大いなる記憶

「分かったわ。二人とも私としっかり手を繋いで!」

 メグの言葉に、エイジとエリスは顔を見合わせて頷く。
 そして、それぞれ右と左からメグの手を握る。
 しっかりと手が握られたのを見て、メグは言った。

「目を閉じて私に心を委ねて。貴方たちを、大いなる記憶に導いてあげる」

「大いなる記憶?」

 エイジに問いにメグは頷いた。

「ええ、大昔の記憶。この泉が覚えている記憶なの。代々ウォータドルフィンの長が引き継ぐものなのよ」

「大昔の記憶……」

 エリスは呟いた。
 メグはエリスの顔を覗き込むようにして答える。

「そうよ、昔から多くの人間や精霊たちがこの泉で体を清めてきたの。その人々や精霊たちの記憶。何代にもわたって受け継がれていくうちに、大分薄れて消えかかっている部分もあるけれど……」

 エイジはメグに尋ねた。

「いいのかメグ? そんな大事なものを俺たちに」

 メグはエイジの顔を悪戯っぽく見上げると、首を縦に振った。

「ふふ、エイジはそれに匹敵するほどの世界を、私たちに与えてくれたんだもの。私たちはここから動けない。だから記憶を共有することだけが楽しみなの」

 楽し気に辺りではしゃいでいる子供たちを見て、メグは笑った。

「みんなが、こんなに楽しそうにしてるのは本当に久しぶり。これは、新しい世界を私たちに与えてくれた貴方へのプレゼントよ」

 エリスは不思議そうにエイジに尋ねる。

「エイジ、新しい世界って何のこと?」

「ああ……何ていうか、そのさ」

(まさか、飛行機が飛んでる映像をエリスに見せるわけにもいかないもんな。メグたちには知られちゃったから仕方ないけどさ)

 エイジはそう思った。
 ましてや自動車や人で溢れた都会の光景を目の当たりにされたら、なんと説明したらいいのか分からない。
 口ごもるエイジを見て、メグが笑うとエリスに言った。

「エイジと私の秘密。エリスは幸せだもの。好きな人と、いつでも何処にでもいけるんだから。それだけで十分じゃない?」

 メグはそれ以上は言わずに、しっかりと二人の手を握った。
 そして、順番にエイジとエリスを見上げると約束を求める。

「絶対に私の手を離さないと誓って! これから行くのはこの泉が持つ記憶の世界。もし貴方たちが手を離したら、戻ってこられなくなるかもしれないわ」

 メグの言葉にエイジとエリスは頷く。

「分かった、メグ。約束するよ」

「ええ、私も! だからお願い、そこに連れて行って」

 固い決意がこもった二人の眼差しを見て、メグは大きく息を吐く。
 するとその全身が、虹色の輝きを増していく。
 まるで波紋のような揺れが、エイジとエリスの精神体に伝わっていく。
 そして、二人も虹色の光に包まれていった。

「うお!」

「きゃああ!!」

 眩い光が目の前に広がって、二人は思わず目を閉じた。
 暫くするとその光のトンネルを抜けて、目の前にある光景が見えてくる。
 エイジとエリスは、しっかりとメグの手を握りながらそれを眺めていた。
 メグがエイジたちに声をかける。

「二人とも、あれを見て!」
感想 665

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。