文字の大きさ
大
中
小
54 / 254
連載
209、五本の柱
「うぉおおおお! 凄え!!」
思わず、そう叫んでしまう。
ミーナが言っていたように、そこにはまるで上空から地上を眺めているような光景が広がっていた。
窓から下を眺めると、そこには街並みが広がっている。
「あれが遺跡都市ルイーナですわ」
「『ルイーナですわ』ってフローラさん……」
おっとりした口調でそう言われて少し気を取り直したが、俺はまだ呆然としていた。
エリスやリアナも同様だ。
「噂では聞いたことがあったけど、凄いわね」
「ええ、本当に!」
俺たちは、ようやく自分たちがすでにゴンドラの中に居ることに気が付いた。
いや、これはゴンドラというよりは……
(巨大なエレベーターだな)
俺はそう思った。
ゴンドラはゆっくりと下に向かって動いている。
驚いている俺を見て、ミーナは尻尾をフリフリすると。
「お空に来たです!」
「あ、ああ。そうだな、ミーナ」
ミーナが言っていた通りだ。
俺たちは、少なくても眼下の都市から数百メートルは上空にいる。
まるで可動式の展望台から街を眺めている気分だ。
フローラさんが説明してくれる。
「このゴンドラは、ルイーナから伸びる五本の支柱にそって地上まで下りるようになっているんですよ。ほら見てください」
俺はフローラさんが指さす方を見た。
そこには、同じような巨大な柱が見える。
そして、その柱の表面に敷かれたレールのようなものに沿って、幾つかのゴンドラが下降や上昇をしているのが見えた。
中にいると分からないが、流線型でレールに沿って動いている様子は小さな列車のようにさえ見える。
「凄え……ああなってるのか!」
遠目に見ると、自分たちが乗っているゴンドラがどんなものなのか一目瞭然だ。
眼下の遺跡都市から伸びている巨大な柱は、俺たちが下っている柱も合わせて合計で五本。
柱ごとに、複数のゴンドラが上昇下降を繰り返しているようである。
あまりのスケールに圧倒される。
アニメや小説の中に出てくる超古代文明の都市に迷い込んだようだ。
エリスが俺の隣にやってきて、そっと手を握ると言った。
「凄いわ……見て、エイジ。迷宮の中なのに、まるで昼のように明るいもの」
「ああ、凄いなこれは。こんな都市が迷宮の中に作られてるなんて」
巨大な都市の天井は淡い光を放っており、辺りを照らしている。
一体誰が作ったのだろうか?
フェロルクの水道橋を見た時も凄いと思ったが、これは比較にならない。
「凄い! 凄い!!」
リアナもミーナと手を繋いで、窓から辺りを見渡して声を上げていた。
ミーナは、リアナを見上げると胸を張って言う。
「古代文明がルイーナを作ったです。三千年以上も前って言われてるです」
恐らく、遺跡のガイドをしている母親の真似をしているのだろう。
ちょっと澄ましてそう説明をしてくれるミーナが可愛くて、一緒に乗っている冒険者たちもほっこりとしていた。
リアナは、それを見てクスクスと笑いながら。
「ふふ、ミーナったら。小さなガイドさんね」
そう言われてミーナは嬉しそうだ。
母親のフローラさんに憧れているのだろう。
モフモフした尻尾を揺らしながら、リアナと一緒に窓の外を眺めている。
俺はフローラさんに尋ねた。
「三千年以上も前にこんな凄い物を作ったなんて、一体どんな文明だったんですか?」
俺の疑問にフローラさんは、優雅に尻尾を揺らしながら答えてくれた。
「研究者によって様々な説はありますが、今の魔法とは少し違う魔法科学と呼ばれる技術を持った超高度文明だったと言われています。研究者たちは、その文明のことをローゼディアと呼んでいますわ」
「ローゼディア……」
俺はそう呟くと、改めて眼下の都市を眺めていた。
柱や巨大な都市の天井や壁の淡い光。
余程高度な文明だったのだろうと思わせる。
(三千年も前のものが、こうやって残ってるんだからな)
迷宮全体がその文明の遺跡だという説があるとフローラさんは言うが、その中でもルイーナは特別らしい。
朽ちることがない特別な石材でつくられており、まだその技術すらよく分かっていないそうだ。
このゴンドラを動かしている動力さえも。
フローラさんの話に聞き入っていると、ミーナが俺のズボンを引っ張る。
そして、俺に教えて聞かせるように言う。
「今も沢山の人が研究をしてるです。でも謎は多いです!」
母親の受け売りではあるだろうが、一生懸命俺に伝えたかったのだろう。
「そうか『謎は多い』かミーナ」
「そうです、エイジお兄ちゃん!」
そう言って得意げに尻尾を立てるミーナ。
フローラさんはそれを聞いて顔を真っ赤にした。
「もう、ミーナったら。変な口癖まで真似るんだから」
どうやら、そのセリフはフローラさんの口癖のようだ。
それだけ分かっていないことも多いと言うことだろう。
親子のそんな姿に、俺たちは思わず笑顔になる。
そんな中、俺はあるものに気が付いた。
「……あれは、一体?」
思わず、そう叫んでしまう。
ミーナが言っていたように、そこにはまるで上空から地上を眺めているような光景が広がっていた。
窓から下を眺めると、そこには街並みが広がっている。
「あれが遺跡都市ルイーナですわ」
「『ルイーナですわ』ってフローラさん……」
おっとりした口調でそう言われて少し気を取り直したが、俺はまだ呆然としていた。
エリスやリアナも同様だ。
「噂では聞いたことがあったけど、凄いわね」
「ええ、本当に!」
俺たちは、ようやく自分たちがすでにゴンドラの中に居ることに気が付いた。
いや、これはゴンドラというよりは……
(巨大なエレベーターだな)
俺はそう思った。
ゴンドラはゆっくりと下に向かって動いている。
驚いている俺を見て、ミーナは尻尾をフリフリすると。
「お空に来たです!」
「あ、ああ。そうだな、ミーナ」
ミーナが言っていた通りだ。
俺たちは、少なくても眼下の都市から数百メートルは上空にいる。
まるで可動式の展望台から街を眺めている気分だ。
フローラさんが説明してくれる。
「このゴンドラは、ルイーナから伸びる五本の支柱にそって地上まで下りるようになっているんですよ。ほら見てください」
俺はフローラさんが指さす方を見た。
そこには、同じような巨大な柱が見える。
そして、その柱の表面に敷かれたレールのようなものに沿って、幾つかのゴンドラが下降や上昇をしているのが見えた。
中にいると分からないが、流線型でレールに沿って動いている様子は小さな列車のようにさえ見える。
「凄え……ああなってるのか!」
遠目に見ると、自分たちが乗っているゴンドラがどんなものなのか一目瞭然だ。
眼下の遺跡都市から伸びている巨大な柱は、俺たちが下っている柱も合わせて合計で五本。
柱ごとに、複数のゴンドラが上昇下降を繰り返しているようである。
あまりのスケールに圧倒される。
アニメや小説の中に出てくる超古代文明の都市に迷い込んだようだ。
エリスが俺の隣にやってきて、そっと手を握ると言った。
「凄いわ……見て、エイジ。迷宮の中なのに、まるで昼のように明るいもの」
「ああ、凄いなこれは。こんな都市が迷宮の中に作られてるなんて」
巨大な都市の天井は淡い光を放っており、辺りを照らしている。
一体誰が作ったのだろうか?
フェロルクの水道橋を見た時も凄いと思ったが、これは比較にならない。
「凄い! 凄い!!」
リアナもミーナと手を繋いで、窓から辺りを見渡して声を上げていた。
ミーナは、リアナを見上げると胸を張って言う。
「古代文明がルイーナを作ったです。三千年以上も前って言われてるです」
恐らく、遺跡のガイドをしている母親の真似をしているのだろう。
ちょっと澄ましてそう説明をしてくれるミーナが可愛くて、一緒に乗っている冒険者たちもほっこりとしていた。
リアナは、それを見てクスクスと笑いながら。
「ふふ、ミーナったら。小さなガイドさんね」
そう言われてミーナは嬉しそうだ。
母親のフローラさんに憧れているのだろう。
モフモフした尻尾を揺らしながら、リアナと一緒に窓の外を眺めている。
俺はフローラさんに尋ねた。
「三千年以上も前にこんな凄い物を作ったなんて、一体どんな文明だったんですか?」
俺の疑問にフローラさんは、優雅に尻尾を揺らしながら答えてくれた。
「研究者によって様々な説はありますが、今の魔法とは少し違う魔法科学と呼ばれる技術を持った超高度文明だったと言われています。研究者たちは、その文明のことをローゼディアと呼んでいますわ」
「ローゼディア……」
俺はそう呟くと、改めて眼下の都市を眺めていた。
柱や巨大な都市の天井や壁の淡い光。
余程高度な文明だったのだろうと思わせる。
(三千年も前のものが、こうやって残ってるんだからな)
迷宮全体がその文明の遺跡だという説があるとフローラさんは言うが、その中でもルイーナは特別らしい。
朽ちることがない特別な石材でつくられており、まだその技術すらよく分かっていないそうだ。
このゴンドラを動かしている動力さえも。
フローラさんの話に聞き入っていると、ミーナが俺のズボンを引っ張る。
そして、俺に教えて聞かせるように言う。
「今も沢山の人が研究をしてるです。でも謎は多いです!」
母親の受け売りではあるだろうが、一生懸命俺に伝えたかったのだろう。
「そうか『謎は多い』かミーナ」
「そうです、エイジお兄ちゃん!」
そう言って得意げに尻尾を立てるミーナ。
フローラさんはそれを聞いて顔を真っ赤にした。
「もう、ミーナったら。変な口癖まで真似るんだから」
どうやら、そのセリフはフローラさんの口癖のようだ。
それだけ分かっていないことも多いと言うことだろう。
親子のそんな姿に、俺たちは思わず笑顔になる。
そんな中、俺はあるものに気が付いた。
「……あれは、一体?」
感想 665
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑される悪役貴族に転生したので、全財産配って逃げます ~俺が全部手放した瞬間、王国が回らなくなったけどもう遅い~
「ヴァルトハイム伯爵家嫡男ユリウス。貴様の断罪を、ここに宣言する」
断罪の場で、俺は前世の記憶を取り戻した。ここはかつて遊んだノベルゲームの世界で、悪役貴族ユリウスは一年後に処刑される。
冗談じゃない。領地も金も地位も、全部置いて逃げる。それだけを決めた。
ところが、解放した罪人が。配った財産が。放り出したはずの領民が。
なぜか勝手に力をつけて、次々と俺のところへ戻ってくる。
一方その頃、王都では――ユリウスなしで回らない事態が始まっていた。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
無能スキルと追放された第三王子ですが、母様の再婚を成功させたら辺境伯を継がされそうです
五歳のスキル授与式で「無能スキル」と判定された第三王子レイニード。
その結果、俺は母様と一緒に王宮を追放された。
だが、正直に言おう。
むしろ大歓迎である。
王宮では母様も俺も冷遇されていたのだから。
こうして辿り着いた辺境伯領で、俺はある決意をした。
――母様を幸せにしよう。
実は辺境伯は昔から母様に想いを寄せているらしい。
ならば息子として全力で応援するしかない。
一方、無能と言われた俺のスキルは全然無能ではなかった。
【カタログ通販】【ヒャッキーン】【錬金術】
便利な道具や生活用品を次々と生み出し、さらに光・土・空間・生活魔法まで使えるため、辺境はどんどん発展していく。
ついでに世間から無能扱いされていた人材たちを集めてみたら、なぜか有能な人ばかりだった。
異母兄である第一王子は次期国王に。
第二王子は騎士団長に。
俺は二人を陰ながら支えながら、のんびり暮らしたいだけなのに――。
「レイニード、次の辺境伯はお前だ」
「嫌です」
「駄目だ」
「嫌です」
母様の再婚を成功させたら、なぜか辺境伯を継がされそうです。
これは、家族大好きな元・無能王子が、大切な人たちを幸せにしながら平穏な生活を目指す、ほのぼの辺境発展ファンタジー。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。