62 / 254
連載
217、聖騎士
遺跡都市ルイーナの東。
そこには、迷宮の中に繋がっているゲートが幾つも存在する。
その手前の広場では仲間と打ち合わせをする冒険者も居れば、武器のチェックをしている者もいた。
数多くの冒険者たち。
上層に向かう者、深層に向かう者様々だ。
そんな中、警備隊の制服に身を包んだ若者たちの姿が見える。
その数は三人、年齢はエイジたちと同じ年頃だ。
一人は大きな槍を手にした少年だ。
それほど高くない身長が故に、その槍がさらに大きなものに見える。
槍の穂先はまるで大剣のようになっており、剣としても槍としても使えそうな代物である。
「遅いなエリク先輩。なあオリビア、俺たちだけで先に迷宮に入っちまうか? 三人で片を付けたら、きっとジーナ隊長に褒めてもらえるぜ!」
そう言って手にした大槍をクルクルと回転させると、ビシッと構える。
その鮮やかな手並みは、少なくてもBランクでも上位には位置する槍使いに違いない。
言葉は軽いが、腕は確かなようである。
オリビアと呼ばれた少女はそれを窘める。
「愚かなことを。そんなことをすれば、命令違反で罰を受けるだけよ。そもそも、ルールも守れない者に警備隊の仕事は務まりはしないわ」
槍を持つ少年の名はライアンというようだ。
オリビアは長身で髪はエメラルドグリーン、知的な美貌が魅力的な少女だ。
美しい模様が入った鞘におさめられたサーベルを腰から提げている。
警備隊の制服の上に美しい銀の鎧を着た、いかにも女騎士といったスタイルである。
「たく、オリビアはいつもそれだよな。やっぱり俺たちとは住む世界が違うぜ、何しろ元はと言えば名門貴族の家に生まれた聖騎士様だからな」
「……」
ライアンの言葉に何故かオリビアは黙り込む。
仲間である美貌の女騎士のそんな様子に、傍に居たもう一人の少女が横からライアンにパンチを入れる。
「ぐはっ!!」
その拳は鮮やかにライアンの頬にヒットした。
思わず膝をついたライアンを、正拳突きを放った少女が見おろしている。
「ライアン! お前って相変わらず、デリカシーのない奴だにゃ!!」
「痛ってええ! シェリルてめえ! 女のくせにデリカシーが無いのはお前だろ!」
シェリルと呼ばれた少女の頭には、大きな猫耳が付いている。
種族特有の訛りが抜けきれない口調で憤るシェリル。
快活な雰囲気を持つ、獣人族の少女だ。
装備を見る限り魔道士だが、魔道士らしからぬ体術で殴り倒されたライアン。
その頬は赤く腫れあがっている。
それを見て、オリビアは腰の剣を抜いた。
短く治療魔法を詠唱すると、手にしたサーベルが白く光り輝く。
その光が消えた時にはもう、ライアンの頬の腫れはおさまっていた。
それを見て、シェリルが猫耳をパタパタとさせる。
「やっぱりオリビアは凄いにゃ。剣士なのに治療魔道士と同じような魔法が使えるにゃんて」
その言葉にライアンも頷く。
「ああ、剣士としての素質と治療魔道士としての素質がずば抜けている証拠らしいからな。攻撃魔法と治療魔法の違いはあるけどさ、まるでジーナ隊長みたいだぜ!」
オリビアは静かに剣を鞘に仕舞うと、首を横に振った。
「ジーナ隊長に比べれば、私などまだまだよ。でも今回の任務には私たちは適任でしょうね」
それを聞いてライアンとシェリルは頷く。
「ああ、そうだな。なんといってもオリビアがいるのがデカいぜ、前衛も出来る回復職って言うのがな。人手が足りない中、俺たちのチームが選ばれたのは多分それが理由だぜ」
「ライアンにしては珍しく正論だにゃ。それにしてもエリク先輩は何してるにゃ! もう時間は過ぎてるにゃ!」
頬を膨らますシェリルを眺めながら、オリビアは目を細めた。
遠目にこちらに歩いてくるエリクの姿を捉えたからだ。
「ライアン、シェリル、どうやら来たみたいだ」
ライアンも、オリビアの視線に気が付いてそちらを眺める。
「エリク先輩……それに、ジーナ隊長もいるぜ! ん? 何だあいつら、一緒に誰かこちらに来るぜ」
そこには、迷宮の中に繋がっているゲートが幾つも存在する。
その手前の広場では仲間と打ち合わせをする冒険者も居れば、武器のチェックをしている者もいた。
数多くの冒険者たち。
上層に向かう者、深層に向かう者様々だ。
そんな中、警備隊の制服に身を包んだ若者たちの姿が見える。
その数は三人、年齢はエイジたちと同じ年頃だ。
一人は大きな槍を手にした少年だ。
それほど高くない身長が故に、その槍がさらに大きなものに見える。
槍の穂先はまるで大剣のようになっており、剣としても槍としても使えそうな代物である。
「遅いなエリク先輩。なあオリビア、俺たちだけで先に迷宮に入っちまうか? 三人で片を付けたら、きっとジーナ隊長に褒めてもらえるぜ!」
そう言って手にした大槍をクルクルと回転させると、ビシッと構える。
その鮮やかな手並みは、少なくてもBランクでも上位には位置する槍使いに違いない。
言葉は軽いが、腕は確かなようである。
オリビアと呼ばれた少女はそれを窘める。
「愚かなことを。そんなことをすれば、命令違反で罰を受けるだけよ。そもそも、ルールも守れない者に警備隊の仕事は務まりはしないわ」
槍を持つ少年の名はライアンというようだ。
オリビアは長身で髪はエメラルドグリーン、知的な美貌が魅力的な少女だ。
美しい模様が入った鞘におさめられたサーベルを腰から提げている。
警備隊の制服の上に美しい銀の鎧を着た、いかにも女騎士といったスタイルである。
「たく、オリビアはいつもそれだよな。やっぱり俺たちとは住む世界が違うぜ、何しろ元はと言えば名門貴族の家に生まれた聖騎士様だからな」
「……」
ライアンの言葉に何故かオリビアは黙り込む。
仲間である美貌の女騎士のそんな様子に、傍に居たもう一人の少女が横からライアンにパンチを入れる。
「ぐはっ!!」
その拳は鮮やかにライアンの頬にヒットした。
思わず膝をついたライアンを、正拳突きを放った少女が見おろしている。
「ライアン! お前って相変わらず、デリカシーのない奴だにゃ!!」
「痛ってええ! シェリルてめえ! 女のくせにデリカシーが無いのはお前だろ!」
シェリルと呼ばれた少女の頭には、大きな猫耳が付いている。
種族特有の訛りが抜けきれない口調で憤るシェリル。
快活な雰囲気を持つ、獣人族の少女だ。
装備を見る限り魔道士だが、魔道士らしからぬ体術で殴り倒されたライアン。
その頬は赤く腫れあがっている。
それを見て、オリビアは腰の剣を抜いた。
短く治療魔法を詠唱すると、手にしたサーベルが白く光り輝く。
その光が消えた時にはもう、ライアンの頬の腫れはおさまっていた。
それを見て、シェリルが猫耳をパタパタとさせる。
「やっぱりオリビアは凄いにゃ。剣士なのに治療魔道士と同じような魔法が使えるにゃんて」
その言葉にライアンも頷く。
「ああ、剣士としての素質と治療魔道士としての素質がずば抜けている証拠らしいからな。攻撃魔法と治療魔法の違いはあるけどさ、まるでジーナ隊長みたいだぜ!」
オリビアは静かに剣を鞘に仕舞うと、首を横に振った。
「ジーナ隊長に比べれば、私などまだまだよ。でも今回の任務には私たちは適任でしょうね」
それを聞いてライアンとシェリルは頷く。
「ああ、そうだな。なんといってもオリビアがいるのがデカいぜ、前衛も出来る回復職って言うのがな。人手が足りない中、俺たちのチームが選ばれたのは多分それが理由だぜ」
「ライアンにしては珍しく正論だにゃ。それにしてもエリク先輩は何してるにゃ! もう時間は過ぎてるにゃ!」
頬を膨らますシェリルを眺めながら、オリビアは目を細めた。
遠目にこちらに歩いてくるエリクの姿を捉えたからだ。
「ライアン、シェリル、どうやら来たみたいだ」
ライアンも、オリビアの視線に気が付いてそちらを眺める。
「エリク先輩……それに、ジーナ隊長もいるぜ! ん? 何だあいつら、一緒に誰かこちらに来るぜ」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。