成長チートになったので、生産職も極めます!

雪華慧太

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217、聖騎士

 遺跡都市ルイーナの東。
 そこには、迷宮の中に繋がっているゲートが幾つも存在する。
 その手前の広場では仲間と打ち合わせをする冒険者も居れば、武器のチェックをしている者もいた。
 数多くの冒険者たち。
 上層に向かう者、深層に向かう者様々だ。
 
 そんな中、警備隊の制服に身を包んだ若者たちの姿が見える。
 その数は三人、年齢はエイジたちと同じ年頃だ。
 一人は大きな槍を手にした少年だ。
 それほど高くない身長が故に、その槍がさらに大きなものに見える。
 槍の穂先はまるで大剣のようになっており、剣としても槍としても使えそうな代物である。

「遅いなエリク先輩。なあオリビア、俺たちだけで先に迷宮に入っちまうか? 三人で片を付けたら、きっとジーナ隊長に褒めてもらえるぜ!」

 そう言って手にした大槍をクルクルと回転させると、ビシッと構える。
 その鮮やかな手並みは、少なくてもBランクでも上位には位置する槍使いに違いない。
 言葉は軽いが、腕は確かなようである。
 オリビアと呼ばれた少女はそれを窘める。

「愚かなことを。そんなことをすれば、命令違反で罰を受けるだけよ。そもそも、ルールも守れない者に警備隊の仕事は務まりはしないわ」

 槍を持つ少年の名はライアンというようだ。
 オリビアは長身で髪はエメラルドグリーン、知的な美貌が魅力的な少女だ。
 美しい模様が入った鞘におさめられたサーベルを腰から提げている。
 警備隊の制服の上に美しい銀の鎧を着た、いかにも女騎士といったスタイルである。

「たく、オリビアはいつもそれだよな。やっぱり俺たちとは住む世界が違うぜ、何しろ元はと言えば名門貴族の家に生まれた聖騎士様だからな」

「……」

 ライアンの言葉に何故かオリビアは黙り込む。
 仲間である美貌の女騎士のそんな様子に、傍に居たもう一人の少女が横からライアンにパンチを入れる。

「ぐはっ!!」

 その拳は鮮やかにライアンの頬にヒットした。
 思わず膝をついたライアンを、正拳突きを放った少女が見おろしている。

「ライアン! お前って相変わらず、デリカシーのない奴だにゃ!!」

「痛ってええ! シェリルてめえ! 女のくせにデリカシーが無いのはお前だろ!」

 シェリルと呼ばれた少女の頭には、大きな猫耳が付いている。
 種族特有の訛りが抜けきれない口調で憤るシェリル。
 快活な雰囲気を持つ、獣人族の少女だ。
 装備を見る限り魔道士だが、魔道士らしからぬ体術で殴り倒されたライアン。

 その頬は赤く腫れあがっている。
 それを見て、オリビアは腰の剣を抜いた。
 短く治療魔法を詠唱すると、手にしたサーベルが白く光り輝く。
 その光が消えた時にはもう、ライアンの頬の腫れはおさまっていた。
 それを見て、シェリルが猫耳をパタパタとさせる。

「やっぱりオリビアは凄いにゃ。剣士なのに治療魔道士と同じような魔法が使えるにゃんて」

 その言葉にライアンも頷く。

「ああ、剣士としての素質と治療魔道士としての素質がずば抜けている証拠らしいからな。攻撃魔法と治療魔法の違いはあるけどさ、まるでジーナ隊長みたいだぜ!」

 オリビアは静かに剣を鞘に仕舞うと、首を横に振った。

「ジーナ隊長に比べれば、私などまだまだよ。でも今回の任務には私たちは適任でしょうね」

 それを聞いてライアンとシェリルは頷く。

「ああ、そうだな。なんといってもオリビアがいるのがデカいぜ、前衛も出来る回復職って言うのがな。人手が足りない中、俺たちのチームが選ばれたのは多分それが理由だぜ」

「ライアンにしては珍しく正論だにゃ。それにしてもエリク先輩は何してるにゃ! もう時間は過ぎてるにゃ!」

 頬を膨らますシェリルを眺めながら、オリビアは目を細めた。
 遠目にこちらに歩いてくるエリクの姿を捉えたからだ。

「ライアン、シェリル、どうやら来たみたいだ」

 ライアンも、オリビアの視線に気が付いてそちらを眺める。

「エリク先輩……それに、ジーナ隊長もいるぜ! ん? 何だあいつら、一緒に誰かこちらに来るぜ」
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