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第2話

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「ちょっと貴女!どういうことですの!?」

離婚から約半年。
もう元夫の顔も思い出せないくらいに独身生活を謳歌しておりました。

今日も友人のパーティーにお邪魔させていただき、おしゃべりに花を咲かせていたところ、突然声をかけられましたの。

どこかで見たことのあるお顔、と思いましたら、なんとあの不倫相手の女ではないですか。

「あら、ごきげんよう。新婚生活は楽しくって?」
「よくそんなこと言えましたわね!なんなんですのあの男!?話が違うじゃないっ!」

出会った時の作りこんだ弱々しい女の顔はどこへやら。もう10年も歳をとったような、苦労の染みついた鬼の形相で捲し立てるお話に耳を傾けますと。

私に負けじと特注のティアラにドレス、招待客も1000人もの結婚式を挙げたところ、招待客は集まらないわ、式の1か月後に支払いを済ませようとしたら資産はないわ、当の夫はそんな現状には無関心だわ、日に日に見た目に気を遣わず小汚くなるわ、仕事は出来ないわ散々な状況のようですの。

ふふふ。そうなると思っていましたわ。

あの方、本当に何もできない方なんでしてよ。
身なりや着るものに関しては毎日私が手入れをし、コーディネイトしたものをそのまま切る様な方でしたし。

財産だって、もともと養子で私の実家の支援が大半だったのに離婚で打ち切り。
元義実家も今回の不倫で元旦那を勘当。こちらも支援なしに。

その上、荘園や商会の仕事もできない人でしたから私が抜けて経営は散々だという噂。
離婚時の財産分与で私が収益の良い土地ばかり指定しても気づかない始末。

貴族の間では私の家との関係と、元夫の離婚後の没落ぶりを天秤にかけて、元夫との関係を断った方々がほとんどだと聞いておりますから、助けてくださる方もいらっしゃらないのでしょう。

今は残った家財や装飾品を売り払って何とか生活を保っているご様子で、内心笑いが止まりませんわ。

私がサポートしていた頃の「質の良いものを身に纏った資産家で寛容な男」と不倫していたつもりでいたのでしょうけど、化けの皮が剥がれればその実「自分の事も仕事も出来ない身なりに無頓着な資産・家柄無し男」なのですから哀れですわね。


あと、不倫女は知らないでしょうけど、離婚後1か月もたたないうちに元バカ夫から復縁を迫る手紙がこれでもかと送られてきていますのよ。

「君の真の優しさが忘れられない」「もう一度君を抱きしめたい」「僕が愛していたのは君だけだ」「君だって本当は僕がいなくて寂しいはずだ」「意地を張っていないでもう一度僕を受け入れてほしい」などなど・・・。

おえっ!

馬鹿じゃないですの?

滑稽すぎて呆れてしまいますわ。
よく自分のしたことを棚に上げてこんな手紙が書けたものですわ。



「ジェシカ!」

手紙の文面を思い出して顔をしかめておりましたら、元クソバカ無能夫のベンがパーティー会場に現れました。
これで役者は揃ったようですわ。


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