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第2章 主人公の心、揺れ動く
※乙女系主人公も男です
しおりを挟むアミィール様は侍女を紹介した。これからきっとエンダーというメイドと絡むこともあるだろう。自分も…………と思ったが、共にサクリファイス大帝国に行く者など決まっていない。
そんなことを思っていると、す、とレイが前に出た。
「セオドア様、ご心配なく。どんな手を使ってもサクリファイス大帝国にお供致しますので」
「しかし、レイ…………」
「…………だってサクリファイス大帝国は美女が多いからな」
そう小声で言ったレイに呆れた。エンダーのことをあーだこーだと言えないくらい堂々とした執事である。
そう呆れている主人を放って、レイは笑顔で頭を下げた。
「私はセオドア様の執事兼側近になりましたレイです。アミィール皇女様と出会えて光栄にござります。
セオドア様と共にサクリファイス大帝国に行きますゆえ、何卒お願い致します」
「ええ、レイ様ですね。よろしくお願い致します」
アミィールは頭を下げる。
ヴァリアースに有能な兵士は殆どいないけれど、この男は中々の腕前のようね。
軍事国家・サクリファイス大帝国には腕の立つ兵士はごまんといる。それを見続けてきたアミィールの審美眼は常軌を逸しているのである。
そんなアミィールはエンダーを見る。エンダーは面倒臭そうな顔をするものの、レイに声をかけた。
「………………1ヶ月後の出立のお話や諸注意があります。レイ様、こちらに」
「わかりました。ではセオドア様、少々席を外しますね」
「ああ」
2人は部屋を出ていった。アミィールは立ち上がり、セオドアの隣に座る。そして流れるような手つきでセオドアの頬に触れた。
「…………本当に、夢ではないでしょうか。セオドア様と婚約できるなど………幸せすぎて起きてても夢を見ている気分です」
「それは…………私も同じです。
本当に、ありがとうございます。アミィール様………………私、セオドア・ライド・オーファンは身分に相応しくない想いを抱いています。
その………………心よりお慕いしています、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイス様、私は貴方と共に生きても、よろしいでしょうか?」
「……………!」
セオドアはたどたどしくも、言葉を紡いだ。ちゃんとこういうことは男として先に言いたかったのだ。『愛している』は気恥ずかしくて言えなかったけれど…………それでも、きちんと言葉にしたかったのだ。
アミィールはそれを聞いてセオドアの頬にある手を止めた。驚いた顔から徐々に紅が差していく。そして、涙目になりながらも笑った。
「………………わたくし、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスもセオドア・ライド・オーファン様を心から愛しております。
永遠に、この愛を誓いましょう」
「___ッ」
アミィール様はそう言うが早いか唇を重ねてきた。もう我慢できない、と言わんばかりに何度も何度も唇を重ねてくる。
心の準備なんて出来てないから最初は戸惑った。…………けれど、重ねられる唇は熱くて、柔らかくて…………心地よくて。いつの間にか自分からアミィール様の唇に自分のそれを重ねていた。
「ん、ふぅ、…………」
2人は貪るようにキスをする。最初は受けていただけのセオドアはキスを重ねる事に積極的になった。仕舞いにはもうすっかり蕩けた顔をしたアミィールの唇に舌をいれてきた。それにはアミィールも驚く。いつもの控えめな彼からは想像出来ないくらい獣らしく、男らしさを感じた。
しかしそれは長く続かなく、すぐに我に返ったセオドアはばっ、と下がった。
「も、申し訳ございません!つ、つい……………」
「ッは……………いいんです、セオドア様。
わたくし___やはり、貴方と婚約出来て、とても幸せです」
「ッ……………」
そう言ったアミィール様はとても色っぽく、……………離れたくない、と改めて思わせたのだった。
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