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第10章 新婚旅行は海がいい

キスは許しません!

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 「んんっ!?」


 「セオ様!?」



 突然だった。流れるように男の子にキスをされている。そして生まれる魔法陣。
 こ、これって____契約!?


 水色の魔法陣の文字が、ゆらゆらと水が揺れるように揺れて____右の掌に吸い込まれていく。水に触れたような感覚が掌に伝わる。



 「ッ、離れて!」



 アミィールはとうとう2人を引き離したが、時すでに遅し。掌にはしっかり水色の契約印があった。 



 睨みつけるアミィールの視線を無視して、アクアはけたけたと笑う。


『それがお礼!太陽神の力みたいに下僕とまではいかないけれど、水魔法が得意になるよ!』



 「アクア様………!セオ様、大丈夫ですか…………?」


 「あ、ああ………けど………」



 アミィール様以外とキスをしてしまった。強い罪悪感に苛まれる。…………愛する人以外に唇を奪われるなど、あってはならない事なのに…………


 じわり、と涙を浮かべるセオドアを見て、マリンは『ふうん』と声を出した。


『じゃあ、こうしましょう。アミィール』


 「なんです____っむ!」


 「アミィ!」



 マリンは、射殺すように睨みつけていたアミィールの唇に自分の唇を押し付けた。藍色の魔法陣が生まれる。波に揺れるように空中で踊る文字が___森の妖精神の契約印がある、さらけ出された足のふくらはぎに張り付いた。



 「ッ、やめて!」


 アミィールはマリンを突き飛ばす。しかしマリンは笑顔を浮かべて口を開いた。


『こうすれば、2人とも浮気したことになるでしょ?罪悪感はなくなったわね』


 「マリン様、アクア様……………!わたくしを怒らせるのが目的なら大成功です………!


 ダーインスレイヴ!」



 「アミィ!だめだよ!それ以上は…………!」




 _____この後、マリンが2人を強制送還するまで、怒り狂い剣を振り回すアミィールを止めることに苦戦していたセオドアでした。




 *  *  *



 「………………すう」


 アミィール様は裸のまま隣で寝ている。同じく裸の俺はその寝顔を愛でていた。

 撫でる手には_____2つの契約印。甲にはオレンジ色が。掌には水色が。なんというか、どちらも流れで得た契約印だ。

 契約印というのはもう調べている。
 妖精神からの加護は主従関係として呼べばその神が現れ力を貸してくれる、精霊からの加護はその属性の魔法を向上させてくれる。どちらも誉高いものだ。


 けれど、契約を結ぶには唇を重ねるしかなくて。……………今日のアミィール様は色々凄かった。妖精神や精霊を殺そうとして、必死に止めた。そしたら次はダーインスレイヴ様を捨てて魔法で痛めつけるのにシフトチェンジ、流石のマリン様も命の危険を感じたらしく海に強制送還された。

 海を楽しむどころかそのプライベートビーチでアミィール様は『消毒』と言って俺の唇を奪い、すっかりその気になった俺達は砂浜で営み、それだけでは足りず城に戻って今の今まで狂おしく愛し合った。多分今までで1番長時間、様々な姿で営んだと思う……………ッ。


 アミィール様の乱れた姿、蕩けた姿を思い出して再び息子が元気になるのを感じる。けれど、珍しくアミィール様が俺より先に寝たのだ。起こしたくない。…………俺はどうしてこう、性欲が強いんだ…………

 とはいえ、ここで落ち込んで泣きでもしたらアミィール様が起きてしまう。


 「……………テラスに行こうかな」


 セオドアは静かにそう呟いて、アミィールの唇にキスを落としてから簡易的な服に着替えて部屋を出た。













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