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第14章 ダブル誕生イベント!
すっかり慣れた主人公
しおりを挟むラフェエルはセオドアを遠くから見ながら、考える。
あまりに綺麗すぎて、正直関わり方がわからないのだ。…………私達一族は『生贄』として血を浴びてきた。アルティアの先祖は『龍神』としてその魂を喰らってきた。……………あまりにも醜く、穢れた道しか知らない。だから、私達の娘は同じような道を選んだ。
だが。
あの男は_____かけ離れすぎているのだ。血を見ただけで青くなり、かすり傷だけで怯え、…………それなのに、"人間の心"がわからないアミィールは、あろう事かあの男を好いたのだ。
最初は信じられなかった。………けれど、こうして関わっていくと、わかるのだ。
血を浴びすぎた俺達は、無意識にあの男の持つ『綺麗さ』を求めてしまっている、と。
あの男と話しているだけで自分が少しマシに見えるのだ。血を浴びている事実を忘れ、罪を忘れることが出来る。………もうすっかり、この家には居なくてはならない男になっている。
だが…………………サクリファイス大帝国皇族になったからには伝えねばならない。
我々がどれだけ罪深い存在かを。………どれだけの罪を犯しているのかを。
しかし______
「……………ラフェエル様?」
気づいたら、リーブが心配そうに顔を覗いてきていた。私はセオドアから目を逸らし、口を開いた。
「……………行くぞ」
「は」
私は歩き出す。
あの男にどう、自分たちの罪について話せばいいのか考えながら____…………
* * *
「~♪」
セオドアは鼻歌交じりに花の苗を花壇に植えていた。久しぶりに大好きな土いじりが出来て幸せなのだ。
……………最近、バタバタしていたもんな。執務も忙しく、大人達に絡まれて…………そりゃあ、アミィール様と甘いひとときを過ごしているおかげで毎日幸せだし、相変わらずこの城に住む人々は優しいし不満などはない。
けれど、土をいじれなかったのは辛かった………!季節が冬ということもあって、自重してた。………もう春だ。これから沢山この庭園にも花が咲き乱れる季節がくる。そして、その花を愛でながらアミィール様とお話出来れば、とても幸せだろうな……………
もう結婚して2年目を迎える。結婚しても愛が冷めることはなく、それどころか増す一方で。今では触れているだけでは満足出来なくなるくらい、アミィール様のことを求めている。
俺がこうして幸せな気分で居られるのも、全部最愛の妻のおかげなのだ。
だから日頃の感謝をしたいのだが、………思いつくものは殆どあげてしまったような気がする。お菓子も小物も、全部喜んでくれた。次は何をあげようか、………なんて考えられるのも、ひとつの幸せだよな____「セオドアく~ん」…………げげっ。
悪魔の声がして、思わず背筋が伸びる。この2年で身についた防衛本能が『面倒くさいことが起きる』と言っている。
逃げたい。よし、逃げよ___「セーオドアくぅん!」…………
立ち上がった所に無常にも絡まる細い腕。そして、黒い髪…………もう見なくてもわかる。
「……………アルティア皇妃様、お戯れは本当におやめください…………」
セオドアは何もかも諦めたような絶望的な顔をして振り返ると___愛おしい御方によく似た美女、義母でありサクリファイス大帝国皇妃のアルティアがいた。
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