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第17章 少女漫画風味のデート!?
既にリードされてるVS既にリードしてる
しおりを挟む「…………凄い…………」
セオドアはぽつり、言葉を零す。
俺達は城下町に来た。初めての城下町は中世ヨーロッパのような街並み、綺麗な建物、活気のある人々で賑わっていて…………アミィール様が以前言っていた『ゴミゴミしている国』だとは到底思えなかった。
確かにヴァリアースより自然は少ない。けれども、大都会だというのに、ゴミゴミしているわけではなく、全てがお洒落で………乙女心をくすぐった。
「アミィ、この街は凄いよ!とても綺麗だ!」
「ふふ、喜んでもらったようでよかったですわ。………城下町というだけあって、自然が少ないのは寂しいですけど」
「そんなことないよ、ちゃんと花壇があったり、この綺麗な街並みを守ってるようで………素敵だ」
「そう言っていただけると___嬉しいですわ」
「本当に綺麗であれもこれもと………ハッ!」
セオドアはそこまで喋って我に返る。アミィール様が囀るように笑っている。か、語りすぎてはしゃぎすぎだろ俺……!もう初めて知らない街でデートしている彼女の反応じゃないか!
そう自覚するととても恥ずかしくて、赤面してしまう。そんな可愛いセオドアを見ていたアミィールはとても幸せそうだ。
うう………次こそ男らしく…………ん?
ザワザワと、街ゆく人々が俺たちを見ている。もしかしてバレた?いや、バレたなら声をかけるだろう、それだけフレンドリーな国民達だ。じゃあ何故…………あ。
そこまで考えて、気づいた。
アミィール様のエスコートは貴族が行うやり方で、手を取って歩く手法だ。これを国民がやっているのは違和感である。………そうだ!こういう時こそ恋人繋ぎのチャンスではないか!?それとなく、言ってみよう!
セオドアは赤面しながらも心を奮い立たせてアミィールに言う。
「あ、アミィ、このエスコートの仕方では目立つようだよ?」
「あら、そうなのですか?………でしたら、こちらの方がいいかもしれませんね」
「え?___ッ!?」
アミィール様は自然とエスコートの仕方を変えた。よりによってそれは…………恋人繋ぎで。いや、これをしようとしてたけど!やろうとしてたのは俺なのに!
セオドアは慌てて言葉を紡ぐ。
「な、な………なんで、この繋ぎ方を………」
「…………?ああ、この指を絡める繋ぎ方………セオ様がいつもわたくしを愛してくれる時、こうして握ってくれますでしょう?
この繋ぎ方…………わたくし、大好きなので。エスコートを変えるならこれがいいな、と」
「____ッ」
そう言ってアミィール様は繋いでいる手を持ち上げて、歯を見せて笑った。か、可愛過ぎるじゃないか………!俺がやるよりよっぽどロマンチックじゃないか………なにより、『俺が抱く時やっててそれが気に入っている』って………!殺し文句じゃないかぁ……………
乙女的にはとてもときめくし、男としては敗北感しか感じられない。複雑な気持ちに見舞われて、じわり、と涙が滲む。顔も赤い。
それを見たアミィールは首を傾げながら覗き見る。
「セオ様?……………いや、でしたか?」
「そ、そうではなく…………わ、私もこのつなぎ方をしたかったから………その、以心伝心なんだな、と」
「!………ふふふ、当たり前です。
わたくし達は、夫婦でしょう?」
「~ッ!」
そう言って目を細めたアミィール様は美しすぎて格好よすぎて俺がリードするってやっぱり無理なんじゃないかと思わせる。負けるな俺、勝つんだ俺………!
セオドアはぎゅう、と細く長い指を絡めて握った。
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