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第22章 父親 にレベルアップした!▽
※男達の育児に女はついていけません
しおりを挟む「ラフェエル皇帝様、準備はいいですか」
セオドアは大真面目な顔をしてラフェエルを見る。ラフェエルはそれを見て真剣な顔で小さく頷いた。
「当たり前だ。…………これも大事な事だと噛み締めて行うんだ、セオ」
「は、この命を持ってやり遂げると誓いましょう」
「いい心構えだ。…………やるぞ」
「は!」
そう真剣な雰囲気の中、ラフェエルとセオドアは動き始めた_____。
「……………お母様、これはどういうことなのでしょうか?」
アミィールは目を細めて顔を引き攣らせながら隣にいるアルティアを見る。アルティアは壁に寄りかかりながら疲れきった顔で答えた。
「……………見ての通り馬鹿な男達が子供達の身体を洗ってるのよ」
アルティアはそう言って改めて見る。
目の前には___服とズボンをこれでもかと捲りあげ、肌を露出しながら子供達を泡だらけにしている男達。一心不乱に泡にまみれて子供達を洗っているのだ…………って、馬鹿すぎる!
アルティアはそう考えたところで自分の頭を叩いた。そして心の中で毒づく。
バカ?バカなんだよね?なにやってるのこの人達?えっ、皇族なんだよね皇帝なんだよね皇配なんだよねこのバカ達?この状況を見て『冷酷非道なクールなイケメン皇帝』と『ほわほわ癒しキャラの心優しき美青年皇配』だと思える人はいるのかしら?いないわよね?
国民たち、貴方がたがそう慕っている男たちはこんなにも馬鹿なんですよー!親バカで孫バカなんですよー!
………本来であれば子供の身体を洗うのは母親の役目だ。乳母という手はあるけれど、私は日本生まれだし私はされたことないけれどドラマとかでは割とあるシーンだし自分の子供は自分で育てたいと思ってやってた。アミィールもそうだ。
しかしこの馬鹿な男達は「自分達の子供は自分達で洗いたいんだ」と親であるアミィールに頭まで下げてこれをやっているんだ。男と言うより女子である。いやね、子供達を愛しているわけだからいいよ!いいけども!
「ラフェーは泡使いすぎよ!どれだけ自然を壊すつもり!?」
「泡をしっかり付けないと汚れは落ちん」
「セオくん!洗うならしっかり擦ってあげなさい!」
「擦って傷がついたらどうするんですか!?巫山戯たこと言わないでください!」
………とまあ、注意してもこの男共は聞かないわけで。ただただ水と泡を無駄にしている。環境汚染を率先してやっているんだから馬鹿なのだ。
「わ、わたくしが変わりますわ、セオ様」
とうとうアミィールが動き出した。しかし、顔も頭も泡だらけにしているセオドアはにっこりと笑いながら首を振る。
「大丈夫だよ、私にまかせて、アミィ」
「……………は、はい」
アミィールはとことんセオドアに弱いらしい。いつもの男勝りはどこへやら。けどここは引くところではないぞ我が娘よ。意地でも止めなければ浴室中泡だらけになること間違いなしだ。
「!」
そう考えたアルティアはぱちん、と指を鳴らした。すると男達はその場から消える。
転移魔法で2人をそれぞれの自室にて落としてきたのだ。もう見ていられない。
アルティアは戸惑うアミィールに声をかける。
「馬鹿な男達がまた来る前に終わらせるわよ、アミィール」
「はい、お母様……」
女二人は男たちのしでかし、散らかしたものを片付けながら子供達の身体を洗う。
「きゃっきゃ」
「ふーっ!」
子供達は誰にやられても上機嫌で、沢山の泡で浮かれていたのだった。
___こうして、男たちの暴走育児VS女たちの尻拭い育児の幕があがったのだった。
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