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第26章 ドキドキ?ハラハラ?家族旅行!
かまくらの醍醐味 #とは
しおりを挟む「きゃー!」
「きゃー!」
アイスバーンに来て三日が経ちました。今日は家族で雪遊びです。勿論、やらねばいけないことはございますが、それはまだ日にちがあるので、後からやろうと思っています。
せっかくの1週間旅行。執務が無いわけではないですが、楽しみたいと思います。
子供達は初めての雪で大はしゃぎです。…………けれども、1番はしゃいでるのは。
アミィールはそこまで考えて、ちら、と子供達から離れたところを見る。そこには____満面の笑みで雪をかき集め、山を作っている愛おしい御方。
わたくしは子供達を見つつ、近寄る。
「セオ様、なにをなさっているのですか?」
「ああ!アミィ!今私はかまくらを作っているのだ」
「かまくら?」
初めての言葉に首を傾げる。…………セオドア様はとても不思議な御方で、偶に聞いたことの無い言葉を発するんです。わたくしがわからなくてもお母様やフランが同意したりして、少しだけ寂しくなります。
けれど。
「アミィも出来たら入ってくれるかい?」
「勿論ですわ。入らせてくださいまし」
「はは、なら頑張らないとな」
そう言って張り切るセオドア様は可愛いです。胸がぎゅう、と苦しくなり、ふわふわします。そして、何かお手伝いしたくなります。
「雪を集めればよいのですか?」
「ん?ああ、そうだけれど…………」
「わたくしもお手伝いします。よろしいですか?」
「本当かい?助かるよ」
セオドア様の笑顔を頂きました。…………これは、張り切ってしまいます。
アミィールは顔を緩めながら手を前に出した。ピンク色の光を纏って言う。
「風魔法」
「へ?」
戸惑うセオドアを横目に風が舞う。沢山の雪が舞踊り、目の前にこんもりと盛られる。
「ここからどうするのですか?」
「えっと、整えて、真ん中に人が入れるくらいのスペースを………」
「了解致しました。
氷魔法、土魔法」
アミィールはそう言って片手から出る薄茶の魔力で穴を空け、氷魔法で外側と内側をコーティングした。
アミィールはとてもいい笑顔で聞く。
「これでよろしいのでしょうか?」
「あ、うん………そうだね…………」
セオドアはそう苦笑いしながら思った。
…………なんの達成感もなくかまくらが出来てしまった…………アミィール様のことはとても大好きだ、愛している。けれど、たまに思うんだ、達成感なしになんでも出来ちゃうから全ての物事に熱中することって滅多にないんだろうな、と………
そんなことをしみじみ思うセオドアを他所に、雪に浮かれていた子供達は目を輝かせて近寄ってきた。
「ゆきのおうちー!」
「ちっさいよ!これじゃ全員はいれないよお!」
「ふふふ、みんなで体を寄せ合えば入りますよ。ですよね、セオ様」
「ああ。……みんなではいろうね」
「はいるー!」
「仕方ないからはいってあげる」
家族達はしばらく身を寄せあって楽しく談笑していた。かまくらの中はとても温かくぬくぬくしていたのだが、1時間後にアドラオテルが『もっと広くする!』といって天井を突き破り、寒くなったのだった。
* * *
「フラン様、もう少し聖の力を強めてください」
「わ、わかってるわよォ………」
「………………」
ゼグスさんへの魔力提供は1日3時間、ゆっくり行われた。アミィール様は闇の力を、フラン様は聖の力をゼグスの手を掴んで流し込む。
嫉妬はもちろんするけれど、これを同時にやることが大事らしい。
アミィール様の闇の力をその身一つで受けたらゼグスは闇の傀儡になるらしい。それを防ぐために聖の力をぶつける。なんともRPGゲームのような相殺方法だ。
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