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第28章 不安要素と新たなる決意
主人公、始動
しおりを挟む「…………ほんとうに、よろしいのでしょうか」
アミィールはそう言って眉を下げる。セオドアは優しく笑って頷く。
「ああ。セラとアドは私に任せて。今日はラフェエル皇帝様にお願いして1日何もしなくていいと言われたんだ。
アミィは執務があるだろう?重要な事柄だってある」
「…………娘が倒れているのに、仕事など………」
「アミィ」
セオドアはアミィールを抱き締める。
そして、優しい声で言った。
「子供達は勿論大事だ。………けれど、国民を、国政を蔑ろにしてはいけない。
私に頼っていいんだ。………私だって、父親なんだよ?」
「……………セオ様、わかりました。
早く終わらせ、すぐに帰ってまいります」
「ああ。待っている」
セオドアとアミィールはお互いの頬にキスをしていってらっしゃいをする。アミィールを見送ってから、セオドアは自分のベッドを見た。
セラフィールとアドラオテルが眠っている。アドラオテルはさっきまで起きてたんだ。『セラが起きるまで俺が起きてなきゃいけないんだ!』と可愛く言っていたが、まだまだ2歳。育ち盛りだ。眠いに決まっている。
セラフィールの事もあるけれど、1日休みはありがたい。………存分に、調べることができる。
セオドアはオレンジ色の手の甲と腕に張り付いた紫色を見た。
そして、呟く。
「____太陽神様、星の妖精神様、お知恵をお貸しください」
そう言うとふたつの光が煌々と輝きだし___小さな太陽神・ドゥルグレと、小さな星の妖精神・ゼグスが現れた。2人は基本呼び出す時はこのサイズなのだ。妖精のようで可愛い。
『なんだよ、セオドア』
『やあ、セオドア』
『げっ、なんで元人間が居るんだよ』
『禁忌の神まで居るとは聞いてなかったなあ』
2人は呑気に話し始める。2人の掛け合いを見ている気分にはなれなかった。
「2人とも、来ていただき感謝です。
___お聞きしたいことが、あります」
『?』
『?』
セオドアは静かに問いかける。
「復活の『代償』を完全に消すことは可能ですか?」
『それは前にも言ったろう。無理だ。
お前の力は"器"がありきの力だ。肉体という"器"を治して、そして器に魂を戻す』
ドゥルグレはそう言って耳をほじった。次に答えたのはゼグスだった。
『その"器"自体にヒビが入っているんだ。そして、その器は人間や草木のようなものでは無い。"最上の神"の器。初代龍神の血を脈々と受け継いできた__歴史ある器だよ。"器を入れ替える"秘術があれば、救いようがあるが、それは残念ながら、ない。
そもそも、アルティアが"器"を取り戻したのでさえ奇跡。それ以上は…………今の時点では、何も変わらない』
『そうだ。時代が変わればまだ打開策はあるかもしれねえ。けど、今はない。どんなに探しても"無"だ』
「ッ…………」
無理だと断言されると、凹む。
そもそも復活なんて方法自体が奇跡なのは知っている。それ以上を望むのが間違いだとも知っている。
けれど。諦められない。
「___では、質問を変えます。
『代償』を確実に抑圧できる方法は、ないのですか?」
そう聞くと、2人は顔を合わせた。
何かを目配りしているようにさえ思えるそれは、長くは続かなかった。
『確実なものは___ない』
『けれど、可能性は___ある、といえばある』
「………!」
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